高品質で安定した通信サービスの提供
基本的な考え方
地震や豪雨をはじめとした大規模自然災害が相次ぐなか、社会インフラである通信というコミュニケーション手段は、その重要性を一層高めつつあります。常に高品質で安定した通信サービスを提供するために、信頼性の高いネットワーク構築に向けた不断の取り組みを行うとともに、非常時にも迅速かつ的確な対処によって通信を確保できるよう、さまざまな施策を推進しています。
高品質で安定した通信サービスの確保
サービス提供エリアと通信インフラ
NTT東日本グループは、1道1都15県で通信インフラを整備し、サービスを提供しています。
光ケーブルや電柱などのアクセス系設備は、NTT東日本の通信ビルからお客さま宅やオフィスまでを“つなげる”役割を担っています。都市部か住宅部か、また積雪や凍結、雷などの気候特性はあるかなど、エリアに合わせて構築されています。
24時間365日、通信ネットワークのリアルタイム監視
あらゆる人々がいつでも、どこでも安心してインターネットや電話といった通信サービスが利用できる環境を提供するために、信頼性の高い通信ネットワークの構築に取り組んでいます。また、ネットワークが常に安定して機能するよう、24時間365日、リアルタイムでネットワーク運行状況を一元的に監視・制御するとともに、トラブルが発生した場合には、迅速かつ的確な回復措置と、サービスの状況をいち早くお客さまへお届け出来るよう、オペレーションツールの高度化やオペレータの訓練を日々実施しています。
重大事故発生および再発防止の取り組み
2023年4月3日のフレッツ光の大規模障害では、多数の設備アラームが同時発生したことで、回復まで時間を要し、多くのお客さまにご迷惑をおかけしました。本事象を踏まえて、定期的に実施していた設備アラームの集約・分析をリアルタイムに変更することで、影響の常時可視化と即時把握を可能とする等、お客さまへの影響を最小限にするようオペレーションを進化させています。
並行してゼロタッチオペレーションに向けた取り組みも行っており、故障発生頻度が多いIP系装置から自動化(警報検知から遠隔回復措置まで)を進めており、順次対象を拡大しています。また、現地作業員とオペレータの連携や、故障原因の追究等の自動化が困難な作業においてはAIの導入により効率化することを検討しています。
これらの取り組みによりオペレータは、高度なトラブル対応や、それを解決するための技術力向上に注力し、通信サービスのさらなる高品質化に努めています。
今後も、このような”高品質な通信サービスを提供し続ける取り組み”を継続的に実施し、どのような時においても通信を「つなぎ続ける」ことができるよう、高い使命感をもって取り組みを継続していきます。
設備の予防保全の実施
通信サービスの安心、安全、信頼の確保に向け、指定公共機関として防災に関して取るべき措置を定め、円滑かつ適切な災害対策を遂行するために「防災業務計画」を定めています。また、通信設備や建物、鉄塔などは、地震・風水害・火災・停電などさまざまな災害を想定した設計基準を定め、耐災性を確保しています。
2023年度も通信設備の点検・改修を定期的に実施し、予防保全に努めてきました。併せて地域の通信設備の異常や劣化・損傷等については、チームNTTのみだけでなく、周辺にお住まいのお客さまからも情報提供いただけるよう、web113(HP)や113番(電話)により不良設備の申告受付を行っています。
引き続き、事故の未然防止に向けて、不安全設備の早期発見・解消の取り組みを強化していきます。
お客さま満足度向上に向けた品質の充実・強化
故障時の対応
お客さまの通信サービスが安定的にご利用いただけるよう、日々通信設備の保全に努めていますが、万が一故障等が発生してしまった場合に備え、故障受付窓口におけるお客さまサポート体制を整備しています。オペレータによるお客さま対応に加え、Web受付サポートのコンテンツを充実させており、故障受付窓口のマルチチャネル化で、お客さまの多様なライフスタイルに対応できるように取り組んでいます。
今後もお客さまに安心してサービスをご利用いただけるよう、一層のサポート体制の充実と強化に取り組んでいきます。
災害時の通信障害の対応
台風や豪雨等の自然災害は時と場所を選ばず発生し、通信サービスに支障をきたす場合があります。例えば大雨による河川氾濫や強風等で通信ビルの浸水や屋外の通信設備へ甚大な被害が発生した場合、東日本全域からの復旧班の派遣を行い、早急なサービス復旧に取り組みます。加えて、西日本との円滑な連携体制により、広域支援班の受け入れを行うなど、NTTグループ一丸となって修理対応を行うことで、通信サービス等への影響を最小限にとどめる体制を整えています。
過去の災害発生時には地域のお客さまの困りごとは何か、地域の声を聴き、解決に向けて避難所や役場等に「お困りごと受付窓口」を設置することで、多くのお客さまにご活用いただいています。今後もお客さまへ安定的に通信サービスをご利用いただけるよう、継続して自然災害へ迅速に対応できる体制づくりに取り組んでいきます。
「現場力向上フォーラム」の開催
現場力向上フォーラムは、現場で働く社員の「スキル継承」や「ノウハウの水平展開」「新技術のスキル習得促進」を目的に毎年開催されているもので、NTT東日本グループの社内イベントとしては、最大級の規模を誇ります。
イベントは、「技能競技会」「ワークショップ」「展示」の3つの要素で構成されています。2024年1月開催の「第17回現場力向上フォーラム」では、ライブ配信や双方向コミュニケーションといったデジタルを駆使したオンラインコンテンツの配信に加え、一部の技能競技会と展示をNTT中央研修センタにて集合形式で実施。オンライン形式と集合形式をミックスしたハイブリッド形式での開催となりました。
集合形式で実施された技能競技会の模様は、低遅延配信技術を活用し、オンラインでライブ配信され、現地に行くことができなかった社員も競技の観覧、参加選手の応援が可能となるなど、より多くの社員が参加できるイベントとなりました。また、社員だけでなく、多くの社外の方々にもご覧になっていただき、NTT東日本グループの技術力や新たな取り組みをアピールしました。今後もフォーラムの開催を通じ、社員の現場力の向上・発信に取り組んでいきます。
災害時における重要通信の確保と安否確認
災害対策の基本方針
NTT東日本グループでは、地震、火災、豪雪、風水害等、予期せぬ災害に備え、「通信ネットワークの信頼性向上」「サービスの早期復旧」「重要通信の確保」の3つを災害対策の基本方針として、さまざまな対策に取り組んでいます。
通信ネットワークの信頼性向上
地震・火災・風水害等に強い設備づくり、通信伝送路の複数ルート化や24時間365日のネットワーク監視および制御等を行い、災害等の不測の事態が発生しても通信サービスが途絶えないように備えています。昨今の災害状況を踏まえ、停電耐力の強化や水防対策による信頼性向上を実施しています。
サービスの早期復旧
災害により設備が被災したときには、災害対策機器等の活用や全国からの復旧用資機材の調達、復旧要員の確保により、サービスの早期回復に努めます。災害対策機器としては、長期の広域停電に備える移動電源車や、衛星を経由して電話サービス等を提供する衛星通信車両、NTT局舎の設備が被災した場合に臨時のNTT局舎として電話サービス等を提供するための非常用可搬型加入者収容装置などを導入しています。また、通信設備の故障が社会に及ぼす甚大な影響を鑑み、当社が故障発生の事実および影響範囲を的確に把握し迅速に対処を行うしくみとして、気象予測データと過去の被災状況のAI学習による高度な被災予測や、現地で目視が困難な場所へのドローンによる上空調査など、技術革新を取り入れながら、日々、早期復旧に努めています。
重要通信の確保
地震や台風等の大規模な災害時に、被災地周辺への安否を気遣う通話等が増加し、交換機の処理能力を越えてシステムダウンとなる恐れやネットワーク全体に影響を及ぼす恐れがある場合、一般の通話を制御することで、緊急通報(110、118、119番等)、防災機関等の緊急通信や重要通信を確保します。
公衆電話・災害時用公衆電話
災害時の通話制御を受けない電話として公衆電話があります。また、公衆電話には避難所等に設置される災害時用公衆電話(特設公衆電話)があり、市町村と連携して事前配備を進めることで、通信の確保に努めています。被災者の方は、災害時用公衆電話(特設公衆電話)を利用することで、災害用伝言ダイヤル(171)の利用や知人への連絡を無料で行うことができます。
- ※施設管理者から許諾が得られたものを掲載しています。
災害用伝言サービス
ご家族や知人等の安否を円滑・確実に確認する手段として、「災害用伝言ダイヤル(171)」「災害用伝言板(web171)」を提供しています。災害等発生時に、被災地周辺への安否を気遣う通話等が増加し被災地への通話がつながりにくい状況(ふくそう)となった場合、「災害用伝言ダイヤル(171)」および「災害用伝言板(web171)」を迅速に提供開始します。また、いざというときに一人でも多くの方に、これらのサービスをスムーズにご利用いただくために、体験利用等を通じた利用定着に取り組んでいます。
2019年からは、モバイル会社各位の災害用伝言板(携帯電話)との連携を開始し、携帯会社が提供する災害用伝言板(携帯電話)および災害用伝言板(web171)で登録された伝言内容を、災害用伝言ダイヤル(171)にて確認することが可能となっています。