環境経営
基本的な考え方
NTT東日本グループは、NTTグループとして「事業活動による環境負荷の削減」と「限界打破のイノベーション創出」を通じて、環境負荷ゼロと経済成長を同時実現することを掲げた「NTT Green Innovation toward 2040」の達成をめざしています。また、地域循環型社会の共創をパーパスとして掲げ、脱炭素・循環型社会の実現に向け、情報通信サービスの提供により社会全体の環境負荷低減に貢献するとともに、自らの事業活動や社員一人ひとりの日常生活における環境負荷低減にも積極的に取り組んでいます。
NTTグループ「NTT Green Innovation toward 2040」
環境負荷ゼロに向けて、NTTグループでは、2021年9月に環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を策定し、2030年度、2040年度に向けて以下の目標を設定しています。このNTTグループの2030年度の自社排出の温室効果ガス排出削減目標はScience Based Targets(SBT)イニシアティブ※から「1.5℃水準」と認定されています。
- ※パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた企業の温室効果ガス排出削減目標。国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関するイニシアティブ「SBTイニシアティブ」が目標を認定するものです。
「NTT Green Innovation toward 2040」における目標
年度 | 主な目標 |
---|---|
2030年度 |
|
2040年度 |
|
(上記削減目標の対象)
GHGプロトコル※: Scope1(自らの温室効果ガスの直接排出)、およびScope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)
- ※温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量の算定と報告に関する国際的な基準。
NTT東日本グループは、2030年度までにデータセンターのカーボンニュートラル、2040年度までにNTT東日本グループ全体のカーボンニュートラルを目標として設定し、温室効果ガス排出量抑制のため、排出の主要因である事業活動に伴う消費電力量削減に向け、通信設備や通信エリアの空調効率化等の省エネの取り組みを推進しています。あわせて非化石証書の市場からの直接調達による実質再生可能エネルギーの導入を進め、2023年度の温室効果ガス排出量は45.5万t-CO2(Scope1・2)となり、2020年度比で3%削減しました。
「NTT Green Innovation toward 2040」NTT東日本の進捗状況
温室効果ガス排出量(Scope1・2)および削減率(2020年度比)
- 2020年度:59.7万t-CO2
- 2021年度:46.5万t-CO2(22%削減)
- 2022年度:46.8万t-CO2(22%削減)
- 2023年度:45.5万t-CO2(24%削減)
NTT東日本グループの環境基本方針
NTT東日本グループは、サステナビリティにおける取り組みの3本柱の一つである「脱炭素・循環型社会の実現」に準拠した「環境基本方針」に基づき、環境貢献活動を実施します。
NTT東日本グループの環境基本方針
私たちNTT東日本グループは、ありのままの自然を未来に繋ぎ、人と自然が共生した新しい豊かさの創造に貢献していきます。そのために、事業活動による環境負荷の削減と技術・イノベーションの創出により、環境問題の解決と経済発展の両立を図っていきます。
- 温室効果ガスの削減
IOWNの導入や再生可能エネルギーの開発・利用拡大、カーボンニュートラルに貢献するサービス提供等により、NTT東日本グループの事業活動及び社会における温室効果ガス削減に取り組みます。 - 資源循環の取り組み
消費型から循環型経済への転換に向け、製品・システムの調達から利用・廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じて、資源を有効利用する取り組みを推進します。 - 生態系保全の取り組み
事業活動及び社員活動を通して、自然に寄り添い、生態系保全に関する取り組み(自然資本への配慮)を推進します。 - 法規制の遵守と社会的責任の遂行
環境問題に関する世界各国・各地の法令を遵守し、高い倫理観を持って行動します。 - 環境マネジメントシステムの確立と維持
NTT東日本グループは、環境マネジメントシステムを確立し継続的に改善するとともに、環境問題に関する基本戦略、活動の実施状況、情報開示について、議論し、取り組みを推進していきます。 - ステークホルダー・エンゲージメント
NTT東日本グループのバリューチェーンすべてを対象にステークホルダー・エンゲージメントを実施することにより、環境問題の解決に貢献します。
環境マネジメントシステム
NTT東日本グループ全体で環境保全活動を進めるべく、ISO14001を参考とした環境マネジメントシステム(EMS)を構築しています。
EMSの推進体制としては、代表取締役副社長が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を設置しており、環境問題に関する基本戦略、活動の実施状況、情報開示について議論し、取り組みを推進しています。
環境マネジメント体制図
- ※スタッフ各部とは、経営企画部、総務人事部、財務部、相互接続推進部、情報セキュリティ推進部、先端テクノロジー部、内部監査部、監査役室を指します。
環境意識の啓発
NTT東日本は、環境問題に対して社員一人ひとりが自ら考え、行動することを目標に、社員の環境学習機会創出につながる eco検定資格取得を推奨しています。2023年度末で約15,700名(NTT東日本社員のおよそ約54%)が合格しています。
サプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン
NTT東日本グループは、製品調達や建物設計、研究開発等の事業活動にて、製品を使用したり廃棄したりする際の環境負荷を低減するために「サプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」を定めています。
今後もNTT東日本グループは、各種ガイドラインに沿ってサプライヤ各社さまとともに継続して環境問題に取り組んでいきます。
環境負荷の全体像
環境への取り組みを効果的、効率的に推進するため、事業活動におけるエネルギー・資源消費量と環境負荷の全体像を把握しています。
環境負荷の全体像(2023年度)
項目 | 実績 | |
---|---|---|
紙資源 | 古紙 | 0.3万t |
純正パルプ | 0.2万t | |
エネルギー等 | 電力 | 13.9億 kWh |
ガス (都市ガス ・CNG) |
510万m3 | |
ガス (LPG) |
93t | |
灯油 | 44Kl | |
軽油 | 1,063Kl | |
重油 | 1,085Kl | |
ガソリン | 1,361Kl | |
水(上水) | 93万m3 | |
通信設備※ | エネルギー 資源 |
4万t |
プラスチック 原料 |
2万t | |
金属 | 3万t | |
建築材料 | 6万t |
項目 | 実績 | |
---|---|---|
CO2 排出量 |
総排出量 | 45.5万t-CO2 |
電力起因 | 42.7万t-CO2 | |
ガス・燃料 起因 |
1.50万t-CO2 | |
非常用燃料 起因 |
0.07万t-CO2 | |
その他起因 | 0.61万t-CO2 | |
社用車起因 | 0.55万t-CO2 | |
排水 | 排水(下水) | 96万m3 |
廃棄物量 | オフィス 廃棄物量 |
0.7万t |
撤去通信設備 | 5.5万t | |
建築廃棄物 | 4.0万t | |
土木廃棄物 | 4.5万t | |
リサイクル量 | 14.6万t | |
最終処分量 | 0.1万t |
- ※NTT情報ネットワーク総合研究所の技術により算出。
エコICTマーク
「エコICTマーク」とは、ICT(情報通信技術)分野における「エコロジーガイドライン協議会が定めるシンボルマーク」です。
電気通信事業者が適切にCO2排出量削減などの取り組みを自己評価し、その取り組み状況に応じて「エコICTマーク」を表示し、適切に活動していることを広くお伝えすることができます。
わたしたちは、「エコICTマーク」の取り組みに参加しています。
電気通信事業者によるCO2排出削減の取り組み自己評価チェックリスト
【必須項目】
評価項目 | 実施の有無・取組の内容 | ||
---|---|---|---|
環境自主行動計画の作成等 | 1 | 省エネルギー化によるCO2排出削減を目的とした各種取り組みを記載した環境自主行動計画を策定・運用しているか |
温暖化対策、紙資源対策、廃棄物対策について、主要行動計画目標を策定・運用している。 |
2 | 環境自主行動計画に、省エネルギー化によるCO2排出削減を目的とした各種数値目標を記載した具体的な取り組みを盛り込んでいるか |
温暖化対策目標についての数値目標を設定しCO2排出削減に向けた具体的な取り組みを実施している。 |
|
3 | 環境自主行動計画を社内外に公表するとともに、社員への周知・啓発活動を行い、環境意識向上に努めているか |
サステナビリティレポートやホームページを通じて社内外に公表するとともに社員参加型環境活動や社員教育を通じて意識向上に努めている。 |
|
4 | 環境自主行動計画に記載した各種取り組みの実施状況・達成状況を一般に公開しているか |
目標達成状況や取り組みの実施状況についてサステナビリティレポートやホームページを通じて社内外に公表している。 |
|
調達に関する取り組み | 5 | ICT機器、データセンターについて、本ガイドラインで規定した評価基準に基づく調達基準を作成し、それに沿った調達を行っているか |
「NTTグループ省エネ性能ガイドライン」に基づき調達を行っている。 |
6 | オフィスで利用する事務機器、物品、物流について、グリーン購入など省エネに配慮した調達を行っているか |
環境に配慮した事務用品の購入など、調達、自社のオフィス、販売における省エネ活動を実施している。 |
|
推進体制 | 7 | 省エネルギー化によるCO2排出削減の取り組みについて、担当部署もしくは担当者を設けているか |
サステナビリティ推進室を設置し、CO2排出削減への取り組みを推進している |
8 | 環境自主行動計画に掲げた目標等の実施状況・達成状況について、適切に把握するとともに内部監査等を行う体制をとっているか |
環境マネジメントシステムをグループ各社も含め取得し、経営・環境課題解決につなげています。 |
|
その他の環境対策の取り組み | 9 | 省エネの取り組み以外に環境に配慮した取り組みを行っているか |
循環型社会の形成をめざして、限られた資源を有効に利用し、廃棄物排出による環境影響を低減するために、さまざまな取り組みを推進しています。 |
10 | 地域社会と連携した環境保全の活動を行っているか |
地域住民や自治体などと連携を図り、地域に密着した生物多様性保全や清掃活動などの取り組みを推進している。 |
環境会計
事業活動における環境への取り組みコストとその効果を可能なかぎり定量化するしくみとして、環境会計を導入しています。2023年度の「NTT東日本グループ環境会計」は、環境保全コストとしての投資額1.7億円、費用額82億円に対して、経済的効果は147億円となりました。
環境省ガイドライン分類 | おもな取り組み内容 | 投資額(円) | 費用額(円) | 経済的効果 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
おもな内容 | 金額(円) | |||||
(1)事業エリア内コスト | − | 170 | 7,049 | − | 14,688 | |
@公害防止コスト | アスベストの撤去と適正処理、PCB使用物品の適正保管および処分 | 0 | 111 | − | 0 | |
A地球環境保全コスト | 通信電力・空調設備の省エネルギー化、業務用車両の低公害車化 | 148 | 3,658 | ・省エネルギーに伴う費用削減額 | 62 | |
B資源循環コスト | 通信設備、建築・土木工事、オフィス廃棄物処理 テレビ会議システムの導入 |
23 | 3,280 | ・リサイクルにより得られる収入額 ・通信設備等のリユースによる新規購入費用削減額 |
12,883 | |
(2)上・下流コスト | 電話帳リサイクル、@ビリング運用(@ビリング等) | 0 | 9 | ・電子化に伴う郵送費削減額(@ビリング等) | 1,742 | |
(3)管理活動コスト | ISO14001認証取得、環境対策人件費 | 0 | 1,094 | − | 0 | |
(4)社会活動コスト | 地域清掃活動 | 0 | 86 | − | 0 | |
合計 | 170 | 8,239 | − | 14,688 |
環境に関する法規制の遵守
事業活動を行ううえで、環境保全に関する法規制の遵守と国際的視点に立った企業責任の遂行を徹底しています。環境関連法規制等については、ISO14001等を参考にして、遵守状況の確認を定期的に行い、違反等があった場合は把握ができるしくみを構築・運用しています。2023年度は重大な環境関連法規制等の違反(罰金や訴訟等)はありませんでした。