コンプライアンスの推進
企業倫理に関する行動指針
NTT東日本グループでは、NTT東日本グループすべての役員および社員についての企業倫理※に関する具体的な行動指針である「NTTグループ企業倫理規範」(2002年制定、2022年改定)に基づき、NTT東日本グループ全体で企業倫理の確立に向けた取り組みを推進しています。
- ※企業市民として持つべき倫理。企業が法令を遵守すること、倫理や道徳等、社会的規範を遵守することを指す。コンプライアンス(法令遵守)の訳語として用いられる場合もある。
NTTグループ企業倫理規範
- 経営トップは、企業倫理の確立が自らに課せられた最大のミッションのひとつであることを認識し、率先垂範して本規範の精神を社内に浸透させるとともに、万一、これに反する事態が発生したときには、自らが問題の解決にあたる。
- 部下を持つ立場の者は、自らの行動を律することはもとより、部下が企業倫理に沿った行動をするよう常に指導・支援する。
- NTTグループのすべての役員および社員は、国内外を問わず、法令、社会的規範および社内規則を遵守することはもとより、公私を問わず高い倫理観を持って行動する。とりわけ、情報流通企業グループの一員として、お客さま情報をはじめとした企業内機密情報の漏えいは重大な不正行為であることを認識し行動するとともに、社会的責務の大きい企業グループの一員として、お客さま、取引先などとの応接にあたっては過剰な供授を厳に慎む。また、公務員、政治家と応接する場合には、贈賄や相手方に国家公務員倫理法・国家公務員倫理規程または大臣規範に違反をさせる行為やその疑いを生じさせる行為は行わない。
- NTTグループ各社は、役員および社員の倫理観の醸成に資するべく、機会をとらえ企業倫理に関する社員教育を積極的に実施する。
- NTTグループのすべての役員および社員は、業務の専門化・高度化の進展に伴い発生が懸念される不正・不祥事の予防に努めるとともに、NTTグループ各社は、契約担当者の長期配置の是正や、お客さま情報などの保護に向けた監視ツールの充実など、予防体制の整備を徹底する。
- 不正・不祥事を知ったNTTグループのすべての役員および社員は、上司などにその事実を速やかに報告する。また、これによることができない場合は、「企業倫理ヘルプライン(受付窓口)」に通報することができる。なお、不正・不祥事を通報した役員および社員は、申告したことによる不利益が生じないよう保護される。
- 不正・不祥事が発生したときは、NTTグループ各社は、迅速かつ正確な原因究明に基づく適切な対処によって問題の解決に取り組むとともに、社会への説明責任を果たすベく、適時・適確な開かれた対応を行う。
推進体制
NTT東日本グループでは、全社的な企業倫理の強化を目的に、代表取締役副社長(CCO)を委員長とし、委員は本社各室部の組織長または総括部長で構成された「NTT東日本企業倫理員会」を中心とした企業倫理推進体制を整備しています。
同委員会では、前年度の取り組み結果、当年度の取り組み内容や前年度の通報状況・傾向分析などについて審議し、重要事項は取締役会に報告するとともに、本社各室部やグループ会社の企業倫理担当者へ周知を行い、NTT東日本グループにおける企業倫理の強化に向けた具体的な取り組みを展開します。
2023年度は、企業倫理委員会を2回開催し、「企業倫理強化月間」を設定し、ハラスメント防止に向けた意識啓発の継続実施や社内ルールの適切な理解、及びグループ内で発生したコンプライアンス違反事例の再発防止に向けたコンテンツを展開する等、NTT東日本グループ全体で施策を展開し、クリーンな職場の維持・向上に努めています。
企業倫理ヘルプライン(内部通報制度)
法令違反等の非違行為やその他企業倫理に反する、いわゆる「不正・不祥事」に該当するような事象を発見しても、社員等が通常の業務遂行上の手段・方法による上司等への相談が難しいときは、企業倫理に関する不正や不祥事の未然防止を目的とした「企業倫理ヘルプライン」に申告することができます。
「企業倫理ヘルプライン」は、NTT東日本およびNTT東日本グループ各社に社員・役員が利用できる内部通報の社内受付窓口と、NTTが弁護士事務所に委託し、社員・役員のほか、社外の方でも通報が可能な社外受付窓口を設置しています。
企業倫理ヘルプラインへの申告があった場合、事案の内容に応じて、各社の企業倫理委員会が調査を行い、不正・不祥事に該当するかどうかの判断を行うとともに、必要に応じた対策を講じるしくみになっています。申告者については申告によって不当な人事(人事異動、降格等)といった不利益が生じないよう保護することを「NTTグループ企業倫理規範」に明記しています。
2023年度はNTT東日本グループ全体で126件の申告があり、各社の企業倫理委員会が調査を行い、調査結果に応じた対処を実施しています。
NTT東日本グループ「企業倫理ヘルプライン」申告受付体制
NTT東日本グループ「企業倫理ヘルプライン」への申告件数
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
申告件数 | 26件 | 16件 | 64件 | 126件 |
企業倫理の社内浸透
NTT東日本グループは、「NTTグループ企業倫理規範」の理解・浸透を促進し実効性を高めるとともに、企業倫理をより推進することを目的に、毎年、全社員を対象としたさまざまな浸透施策を講じています。
コンプライアンス研修の実施
NTT東日本グループ社員等を対象とした研修を毎年実施しています。
また、入社時やマネージャー任用時等の節目において、コンプライアンスに関する研修を実施することにより、コンプライアンス意識の向上を図って言います。
2023年度は、管理者や役員向けの研修を展開することにより、更なる全社的なコンプライアンス意識の向上を図りました。
企業倫理アンケートの実施
毎年実施しているNTT東日本グループ社員等を対象にした「企業倫理アンケート」(有効回答数:41,505人)では、「会社の企業倫理に関する行動方針(NTTグループ企業倫理規範等)が定められていることを知っている。」という項目をはじめ、企業倫理の意識に関するすべての項目で高い水準の回答となりました。
引き続き、企業倫理意識のさらなる向上のため、グループ全体で取組みを推進していきます。
NTTグループ企業倫理規範の4つの視点
2023年度「企業倫理アンケート」
項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
「NTTグループ企業倫理憲章」を知っている | 98% | 2% |
経営層から企業倫理に関する発言を聞いた | 92% | 8% |
常に倫理観やコンプライアンス意識を持って行動している | 97% | 3% |
コンプライアンス意識の醸成
社員のコンプライアンス意識を醸成するため、社内イントラでコンプライアンスに関する資料の掲載、社内SNS等を活用した全社員への直接的な周知、企業倫理推進ツールとしてポスターやポケットカードの展開等、コンプライアンスに関する重要性について周知徹底を図っています。
また、毎年12月は「企業倫理強化月間」に設定しており、トップメッセージの発信や各種啓発コンテンツの展開を実施しています。
コンプライアンスの徹底に向けた取り組み
NTT東日本グループは各国・地域の法規制をはじめ、社会規範や国際ルールの遵守徹底に向けて、さまざまな取り組みを展開しています。
契約時の不正防止
NTT東日本グループ各社では、契約審査制度を整備し、契約締結前に契約審査を行うことで、不正行為の防止、法的リスクの低減を図っています。また、契約の締結・サービス開発に関わる担当者等を対象に、契約実務や賠償対応に加え、新たなサービスの提供等における留意点など実務に即した内容を体系的に整理した動画コンテンツを公開し、困ったときにいつでも視聴することができる環境を整える等、一人ひとりが法令を遵守して日常業務やビスネス拡大の推進等を行えるよう取り組んでいます。加えて、取締役に対しても、適切な経営を遂行するのに必要な情報を提供するため、法改正の動向等をふまえた動画コンテンツを展開するなど継続的な情報提供を実施しています。
また、主要なグループ会社の法務担当者を対象にした連絡会を設置し、定例会を開催しています。連絡会を通じて法改正等の重要な情報の展開をグループ会社も含めて行い、グループ全体のコンプライアンスの徹底を図っています。
2023年度は、法制度の情報共有(フリーランス新法、インボイス制度等)や、社内制度(契約規程類の改定等)の周知および啓発を行いました。
通信に関する情報保護
NTT東日本グループは、憲法および電気通信事業法において保護すべきものとして定められている「通信の秘密」に関しては、これを侵害することがないよう適切に取り扱うことが電気通信事業者にとって最も重要な責務であるとの認識の下、当社の取り扱い中にかかる通信の内容等、「通信の秘密」に該当する情報の保護のさらなる徹底を図るため、新入社員向けWEB研修や全従業員向けのビジネスナレッジを実施しています。
反社会的勢力との関係遮断
NTT東日本グループは、反社会的勢力との関係遮断に向けて、反社会的勢力排除のための条項を契約書に盛り込む等の対応も実施しています。
今後も、関係法令の遵法意識のさらなる浸透に向けた展開を検討していきます。
競争法遵守に向けた取り組み
NTT東日本グループは競争法等の法令の遵守徹底を行うことで、公正な社会の実現に寄与すべく、さまざまな取り組みを展開しています。独占禁止法に関する禁止事項をわかりやすくまとめた「競争法ハンドブック」や社員向け解説資料を作成し社内に展開することに加え、取締役を対象とした談合防止に向けた動画コンテンツを展開するなど、独占禁止法に抵触することのないよう活動を行っております。
また、下請法の遵守のため、契約の実施状況の定期点検を継続的に行い、契約の締結に関わる担当者等を対象とした勉強会を開催しています。
加えて、これらの法令遵守の周知・徹底を図るべく、全従業員向けのビジネスナレッジも実施しています。
その他、独占禁止法や下請法に関する協議・報告ルールを整備しており、これらの法律に関連して問題が生じた場合および問題が生じる可能性が判明した場合には、グループとして適切な対応が行われるように努めています。
贈賄防止に向けた取り組み
NTT東日本グループでは、どのような贈賄行為への関与も決して許されるものではないという認識の下取り組んでいます。
また、NTT東日本グループでは政府や地方自治体をはじめとする取引先との健全な関係性を維持し、公正な取引を行うことを目的に、贈賄防止に関する社員向けの浸透ツールとして、「贈賄防止ハンドブック」を展開しています。このハンドブックには贈賄やファシリテーションペイメント※に関する基本的な情報と事例を掲載し、全員が正しい知識と理解を得られるよう促しています。
NTT東日本はグループ各社に対しハンドブックを展開し、それに基づいた適切な事業活動を行うよう取り組んでいます。
- ※行政サービスに係る手続きの円滑化等を目的とした手続きの円滑化のための少額の支払い。
広告表示の適正化に向けた取り組み
NTT東日本は、「適正かつわかりやすい広告表示」を行うことを目的として、広告表示審査室を設置しています。広告表示審査室では、景品表示法などの関連法令や電気通信サービスの広告表示に関するガイドラインに基づき、広告表示に関する社内規程や広告表示実施時のルールを定め、広告掲出前に広告表示の審査を行っています。法令遵守はもとより、人権や多様性に配慮し適正かつ公平な表示となるよう取り組んでいます。
また、代表取締役を委員長とする「広告表示適正化管理委員会」を設置し、広告表示審査の実施状況や制度運用状況の報告を行っています。その上で、必要に応じて社内規程やルール等の見直しを実施しながら、継続的に広告表示の適正化を推進しています。
さらに、広告表示審査室による啓発活動(各種セミナー・啓発ツールの共有)や広告表示審査室のホームページなどを活用した情報の発信により、NTT東日本グループ全体で広告表示に関する理解促進、意識・スキル向上に取り組んでいます。
NTT東日本グループは、今後も広告表示の質の向上を推進するとともに、関連法令の遵守および、お客さまにわかりやすい情報発信に努めていきます。
AI倫理に対する取り組み
NTT東日本グループは、NTTグループのAIガバナンスに則り、国内外から求められるリスク管理とガバナンスに対応することで、NTTグループにおけるAIの競争力と安全性を両立し、AI活用を推進します。