労働安全衛生の水準向上
基本的な考え方
NTT東日本グループは、社員の安全・健康が、健全な事業活動の基盤であるとの認識の下、グループ内はもとより、パートナー企業とも一体となって安全・健康の取り組みを推進していきます。
KPI・目標と実績
| KPI | 対象範囲 | 2024年度目標 | 実績 | |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2024年度 | |||
| 業務災害発生件数※ | NTT東日本グループ | ゼロ | 113件 | 142件 |
- ※医療職を含む。集計範囲をNTT東日本グループへ拡大したため過年度分も含め数値の遡及修正を実施。
推進体制
NTT東日本グループは、労働安全衛生の確保について「安全管理規程」および「健康管理規程」で規定しています。これら規定に則り、労働基準法および労働安全衛生法等の関係法令等を遵守するのはもとより、各事業場において安全衛生管理体制を定め、総括安全衛生管理者を選任し、その下に安全管理者、衛生管理者(小規模事業場では安全衛生推進者)等を配置しています。
また常時50人以上の社員等が従事する事務所に安全衛生委員会を設置する他、全職場に健康管理医(産業医)を選任しており、各事業場の個別業務に関連する措置として、厚生労働省令に沿った対応、義務としているNTT東日本グループ全社員への健康診断を確実に実施するとともに、長時間労働の把握・管理や低減に向けた施策を展開しています。
労働災害の発状況と発生防止の取り組み
NTT東日本グループは、業務災害ゼロのKPIを掲げています。
2024年度の業務災害発生件数は142件と前年度より29件増加しました。
増加した原因は前年度までと比較し、出社・外出頻度が増加したためと考えています。なお、発生した業務災害は、外出先での転倒、虫刺され等、主に不休災害で、重篤な災害はありませんでした。
なお、重篤な業務災害が発生した際は、専用の報告システムを活用して関係各所へ報告し、迅速かつ適切な対応を行っています。
業務災害発生件数・度数率・強度率(NTT東日本グループ)
| 対象範囲 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 業務災害発生件数※1 | NTT東日本グループ | 121件 | 128件 | 113件 | 142件 | ||
| 不休災害 | 102件 | 118件 | 99件 | 135件 | |||
| 医療分野 | 6件 | 44件 | 23件 | 58件 | |||
| 医療分野以外 | 96件 | 74件 | 76件 | 77件 | |||
| 休業災害 | 19件 | 10件 | 14件 | 17件 | |||
| 医療分野 | 0件 | 1件 | 0件 | 1件 | |||
| 医療分野以外 | 19件 | 9件 | 14件 | 16件 | |||
| 度数率※2 | 1.3488 | 1.4998 | 1.3408 | 1.6643 | |||
| 強度率※3 | 0.0095 | 0.0054 | 0.0057 | 0.0155 | |||
- ※1集計範囲を大幅に拡大したため過年度分も含め数値の遡及修正を実施
- ※2度数率:100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で災害発生の頻度を表す。
〈算出方法〉(労働災害による死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000 - ※3強度率:1,000延実労働時間当たりの労働損失日数で災害の重さを表す。
〈算出方法〉(延労働損失日数/延実労働時間数)×1,000
保護具着用の徹底
NTT東日本グループは、電気通信設備の保守業務等での高所作業にあたり、ヘルメットの着用はもとより、フルハーネス型墜落制止用器具、グローブの着用を安全作業マニュアルで定めています。
高所作業は作業床を備えるバケット型高所作業車で行う作業と、作業床を備えないはしごや電柱を昇降する作業に大別されますが、後者については過去に社員が転落する重大な労働災害が発生したことを踏まえ、その作業に従事できるのは社内資格「高所作業者認定」合格者のみとし、作業者がその作業に必要な知識と技術を有することを体系化しています。また、当該認定は有効期間を3年とし、期限満了前に改めて知識と技術の保有状況を試験することにより、社員の労働災害防止に努めています。
すべての高所作業は必ずネットワークカメラを用いて事務所、現場での2WAY確認を実施しています。2WAY確認では、作業前に作業環境・保護具の装着状況・安全作業マニュアルの手順履行状況等を相互に確認するとともに、作業にあたっての注意事項を現場社員へ伝え、労働災害防止につなげています。
職場巡回の取り組み
NTT東日本グループは、常時50人以上の社員等が従事するすべての事業所において、衛生管理者が週1回以上、産業医が2カ月に1回以上の職場巡回を行っています。衛生管理者による職場巡回においては、巡回結果を各事業所の安全衛生委員会に報告し、業務災害リスクに関する指摘事項や課題、是正対応状況をモニタリングするしくみとしています。
安全意識の向上
NTT東日本グループは、安全の日活動や小集団活動※等、これまで取り組んできた安全風土の醸成に向けた活動を継続的に実施しています。“作業者を孤独にさせない”“仲間の命も自分が守る”「新たな安全文化の創造」をめざし、安全で働きやすい魅力ある職場環境の構築に取り組んでいます。
- ※小集団を結成し、安全に関する議論、討議から提言までを行うことにより、職場の従事者一人ひとりに能動的な安全意識を醸成すると同時に職場内に連帯感を持たせ不安全作業を許さない風土づくりを行うこと
2024年度の取り組み事例
NTT東日本グループは、年度ごとに注力テーマを定め、テーマに基づいた取り組みを実施しています。2024年度は、以下2つのテーマに取り組みました。
- 危険と知りながら先輩社員へ注意することができない若手社員へ安全第一のマインドセット
- 新入社員導入研修において安全センタが、過去に発生した忘れてはならない事故および直近の事故事例をもとに、若手社員であっても不安全行動には一切の妥協を許さないマインドセットを実施。
- 労働災害防止に向けトップに求められる安全に関する姿勢の強化に向けたトップ層セミナの実施
- NTT-MEの執行役員(ブロック統括本部長、エリア統括部長)および各エリア部門長に対し、安全のプロフェッショナル集団である安全センタがセミナを企画し完全内製で実施。
トップ層セミナ
NTT東日本グループは、労働災害防止において経営層の役割と責任が極めて重要と位置づけ、経営層に求められる安全に関する姿勢の強化を図るとともに、安全衛生管理活動に必要な知識や経験を付与するトップ層セミナを実施しています。
トップ層セミナは安全センタ担当者が講師となり、受講者は過去の忘れてはならない重大事故を振り返ることから始め、安全基礎知識の再習得、KYT基礎4R法の理解度向上および高所作業体験を通じ、最新安全装備品の理解に加え現場社員の苦労共感によるコミュニケーションの重要性を学習します。
高所作業体験
KYTグループワーク
協力会社に対する安全対策
NTT東日本グループは、通信設備工事や保守業務を行うにあたり、協力会社、通信建設会社7社に業務を委託しています。協力会社の安全を確保するため、当社グループは各種取り組みを通じて安全管理を徹底しています。
業務災害防止の取り組み
共通のマニュアルの運用
安全レベルを均一化し、安定した品質を確保するため、各協力会社は一般社団法人情報通信エンジニアリング協会(ITEA)が取りまとめた安全作業手順書を用いて施工を行っています。
現場等のパトロールの実施
NTT東日本と各協力会社との間で、各作業班で毎月最低1回、パトロールを実施することをルール化しています。また、通信設備の品質管理を行っているNTT-MEによる抜き打ちの現場パトロールも合わせて実施し、ルールの徹底や安全意識向上につなげています。
さらに、協力会社の各事業所を対象に3年1巡で安全監査を実施し、安全活動の実効性を確認しています。
現場作業の見守り
当社および協力会社が実施するすべての屋外作業において、ネットワークカメラを用いた見守り活動を実施し、現場作業者を一人にさせない体制を整えています。
安全大会などを含む安全意識の啓発
NTT東日本と各協力会社の本社にて、ゼロ災害に向けた意識啓発活動を年2回実施しています。また、NTT-ME各エリアと各協力会社地域間では、より実践的なゼロ災害に向けた意識啓発活動も年2回実施しています。
年度末ゼロ災運動
年度末は、業界問わず労働災害が発生しやすい時期であるため、毎年2月1日〜3月31日を「年度末ゼロ災運動」の活動期間に設定しています。期間中は経営幹部が協力会社、直営サービスセンタ拠点へ訪問し、安全講話や作業者の現場送り出しを行った後、現場巡視を実施し安全意識の啓発に努めています。
事故発生時の報告
万一事故が発生した場合は、事故発生会社から安全システムを通じて、事故の状況、要因、対策等をNTTグループ各社および協力会社へ発信・共有し、同様な事故の再発防止を図っています。重篤事故につながりやすい事故型6ケースに対しては、NTT東日本と協力会社が真因究明から再発防止策を検討することに加え、所定期間経過後の履行確認を行い、同様の事故防止に努めています。
各支店の取り組み
NTT東日本は、全社的な労働安全衛生に関する取り組みを展開しているほか、各社が気候などの地域性にあわせた安全に関する取り組みを実施しています。
例えば、降雪量の多い地域の支店では、冬季の交通安全を確保するため、業務上運転する機会がある社員を対象とした雪道運転講習を開催しています。滑りやすい路面での運転技術や緊急時の対応力を高め、安全運転への意識向上を図っています。
