災害時における重要通信の確保と安否確認
災害対策の基本方針
NTT東日本グループでは、地震、火災、豪雪、風水害等、予期せぬ災害に備え、「通信ネットワークの信頼性向上」「サービスの早期復旧」「重要通信の確保」の3つを災害対策の基本方針として、さまざまな対策に取り組んでいます。
NTT東日本 災害対策の基本方針
通信ネットワークの信頼性向上
地震・火災・風水害等に強い設備づくり、通信伝送路の複数ルート化や24時間365日のネットワーク監視および制御等を行い、災害等の不測の事態が発生しても通信サービスが途絶えないように備えています。昨今の災害状況を踏まえ、停電耐力の強化や水防対策による信頼性向上を実施しています。
サービスの早期復旧
災害により設備が被災したときには、災害対策機器等の活用や全国からの復旧用資機材の調達、復旧要員の確保により、サービスの早期回復に努めます。また、長期の広域停電に備える移動電源車や、通信サービスが提供できなくなったエリアに、衛星を経由して電話サービス等を提供するための衛星通信車両も配備しています。また、災害のみならず、通信設備の故障が社会に及ぼす甚大な影響を鑑み、弊社としても故障発生の事実および影響範囲を的確に把握し、迅速に対処を行う仕組みを整備・運用しております。
衛星データを活用した災害早期復旧
近年、気候変動が引き起こす大規模な気象災害の頻発により、各地で甚大な被害がもたらされています。2018年9月の「北海道胆振東部地震」や2019年9月の「台風15号(令和元年房総半島台風)」、続く10月の「台風19号(令和元年東日本台風)」では、NTT東日本の通信設備も被災し、復旧までに長期間を要しました。通信設備の被災は通信手段が断たれることを意味し、災害対応を行う自治体や安否確認をしたい地域住民などに大きな影響を与えてしまいます。迅速な災害対応のため、重要インフラである電気通信設備を早期復旧しなければならず、そのためには一刻も早い被災設備の状況把握が必要です。しかし、被災直後に被災状況の全体像を把握することは困難であり、点検に時間を要することが課題になっています。
そこで、NTT東日本グループでは、2019年から衛星データを活用した上空調査体制を検討し、2020年10月に上空からの衛星データを総合的に解析し、発災直後の現場状況を正確に把握する被災状況調査「4DSS(4D inspection from Space and Sky)」の運用を開始しました。衛星データは視認性が高い光学衛星と、昼夜を問わず気象条件の影響も受けないSAR衛星を併用し、東日本全域を天候に左右されず調査できる体制を構築しました。
さらに、現地で目視が困難な場所にはドローンによる上空調査を実施し、詳細な被災状況を画像データで取得します。衛星データとドローンの画像データは、GIS(地理情報システム)上で展開して被災設備の推定を行い、該当する被災エリアの設備部門に情報共有することで初動を迅速化させ、効率的な点検や故障修理に活用します。
NTT東日本グループは、4DSSを最大限に活用した被災設備の早期把握体制を構築し、来るべき災害に備え「通信ネットワークの信頼性向上」「サービスの早期復旧」「重要通信の確保」の3つを災害対策の基本方針として、災害時においても「つなぐ」使命を果たしていきます。
GISに衛星データと通信設備設置場所を重ね合わせ被災設備を推定
4DSS運用フロー
重要通信の確保
災害時に全国から被災地に集中する電話を制御し、110番・119番等の緊急通信や重要通信を守るとともに、避難所には市区町村と連携して無料の公衆電話(災害時用公衆電話(特設公衆電話))を設置し通信を確保します。
地震や台風等の大規模な災害時に、被災地周辺への安否を気遣う通話等が増加して、電話がつながりにくくなる「ふくそう」が発生する場合があります。このような状況が生じた際に、緊急通報(110、118、119番)、防災機関等の通話を確保しながら、ご家族や知人等の安否を円滑・確実に確認する手段として、「災害用伝言ダイヤル(171)」「災害用伝言板(web171)」を提供しています。家族や友人等で安否を確認するために、「災害用伝言ダイヤル(171)」および「災害用伝言板(web171)」を迅速に提供します。また、いざというときに一人でも多くの方に、これらのサービスをスムーズにご利用いただくために、体験利用等を通じた利用定着に取り組んでいます。
2019年からは、NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社提供の災害用伝言板(携帯電話)との連携を開始しました。この連携により、上記携帯会社が提供する災害用伝言板(携帯電話)および災害用伝言板(web171)で登録された伝言内容を、災害用伝言ダイヤル(171)にて確認することが可能となりました。
- ※施設管理者から許諾が得られたものを掲載しています。