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Project Story -仕事を知る
Project Story #04
eスポーツを活用した、若者を起点としたまちづくりプロジェクト
※「eスポーツ」・・・「エレクトロニック・スポーツ」の略、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称
NTT東日本では、2020年に創立したeスポーツ分野特化の会社「NTTe-Sports」とともに、eスポーツを活用した若者を起点としたまちづくりプロジェクトに取り組んでいます。世間的にもeスポーツが少しずつ浸透してきた今、まちづくりにおいてeスポーツはどのような役割を期待されているのでしょうか。プロジェクトに取り組む若手社員が、具体的なプロジェクトの内容や、eスポーツのこれからの可能性について語り合いました。
Project Image

NTT東日本の持つ安定した通信インフラ
- ・ 競技用通信回線やWi-Fi、ローカル5GなどさまざまなICTソリューションの提供
- ・ IOWN実証映像配信

eスポーツ
- ・ 「NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権といった、全国規模の大会開催
- ・ パブリックビューイングや映像配信など、ネットワークを活用した情報発信
- ・ 中学校・高校の地域部活動として「eスポーツ部」を創設

地域課題を解決する
手段として活用
- ・ まちのにぎわいづくりや若者誘致に向けたプロジェクトとして、地域の情報発信や集客を実現
- ・ 自治体や地域メディアと連携した、eスポーツ文化の定着、地域コミュニティ発展の推進
- ・ 地域住民の交流の場となるeスポーツ拠点の構築
Project Member
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Hiroyoshi SATO佐藤 寛祥
ビジネス開発本部 営業戦略推進部 営業戦略推進担当
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Hitomi MURAKAMI村上 瞳
ビジネス開発本部 営業戦略推進部 営業戦略推進担当
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Yuki FUKUMOTO福本 優樹
ビジネス開発本部 営業戦略推進部 営業戦略推進担当
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Minami YAMAMOTO山本 みなみ
ビジネス開発本部 営業戦略推進部 営業戦略推進担当
Project Interview
eスポーツで地域を元気に
地域課題を解決する手段として、若者と親和性の高いeスポーツへの期待は高まっている
─まずは、まちづくりプロジェクトの概要や発足した背景について教えてください。
村上 :
現在、eスポーツ分野に特化したグループ会社「NTTe-Sports」とともに、eスポーツを活用したまちづくりプロジェクトに取り組んでいます。
地域課題解決や地域活性を戦略策定から実行管理、効果検証まで本プロジェクトをワンストップで手掛けることで、長期的な地域のあるべき姿に近づけるサポートをしています。
多くの自治体が「若者が地域に愛着を持つこと」に課題を抱えており、若者が興味関心を示す効果的な取り組みがないかをご相談いただく機会が多く、我々だからこそ実現できる「地域に密着し、新たな価値を創出していく」ことを目指し、このプロジェクトは発足しました。
─なぜ若者とeスポーツのつながりが注目されているのでしょうか。
山本 :
地域活性化につながる次代の「エンジン」となる若者に興味や関心を持っていただく手段として、Z世代やα世代を中心とした若者たちによって支えられているeスポーツは非常に相性がいいと考えています。
eスポーツの視聴者年代別で分析すると、20代が占める割合が最も高く注目されています。国内のeスポーツ関係者人口の推移は堅調に増加しており、オンラインを含めると、実は700万人以上を超える市場規模になっています。今後、視聴者のさらなる増加が見込めるため、若者と接点を持つことができることが期待されています。

eスポーツの拠点構築やイベント開催を通して、若者が活躍する機会や多世代が交流できる場を生み出す
─具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?
佐藤 :
地域交流活性化を目的に、市民内外を問わず人々が自由に集まることができるハブネットワークの創出を目指し、eスポーツ施設創設やイベント開催に取り組みました。
例えば、山形県長井市内のホテル1階にあるeスポーツ施設「Ne-st(ネスト)」創設を支援しています。少子高齢化や人口減少が長井市の大きな課題となっており、「若者が集う場所や住民交流の場をつくりたい」「デジタル人材育成に向けて先端的に学べる場所をつくりたい」というご要望がありスタートしました。
高性能のパソコン10台を完備し、ゲームの配信やチームプレイを楽しむことができます。また、地元企業のスタッフとともに運営することで初心者や高齢者の方に寄り添いながら支援することができ、誰でも気軽にeスポーツに触れることができるように配慮しています。
加えて、eスポーツに興味関心がある若者へ県内の魅力が伝わるPRやイベント企画にも携わり、長井市の認知度向上や地域人材への誘致に貢献しています。
「Ne-st(ネスト)」では、eスポーツイベントを開催できる環境が充実しており、イベント開催をきっかけに長井市の魅力を知ってIターンされた方もいらっしゃいます。
まさに私たちが目指す、「eスポーツをフックに地域人材の確保につなげる」ことを実現できた事例で、今後も継続できるようサポートしていきたいと考えています。
福本 :
私は北海道湧別町でeスポーツを活用した多世代交流促進を目的としたまちづくりに取り組んでいます。大きなテーマとなっているのが、eスポーツをきっかけに子どもたちに地元への愛着を持ってもらうことです。将来的に町外に出ていったとしても、「地元のために何かしたい」と自らアクションを起こすようなリーダーシップを持つ子どもたちを育てることが狙いになります。
具体的には、高校にeスポーツ部を立ち上げる支援を行いました。あくまで生徒が主体であるため、我々はオンラインによる指導など部活動を続けていくための運営面を全力でサポートしています。
このサポートに加えて、部活動に所属する高校生にも協力いただき、地元で親しまれるお祭りの催しでeスポーツ体験会を実施しました。eスポーツ部にゲームの操作説明や対戦会の運営を手伝ってもらうことで、より多くの小学生や高齢者など多世代の住民たちを巻き込み、年齢問わずに笑顔やコミュニケーションが増えて楽しむことができる場を作り上げることができました。eスポーツと若者が地域交流の基点になり、にぎわいが生まれる瞬間に大きな達成感を感じます。
─プロジェクトを進める中での苦労や今後の課題を教えてください。
村上 :
チームに加入した当初は、お客さまが持つeスポーツの固定概念を覆すことに課題を感じていました。
プロジェクトがスタートする当初は、「eスポーツは教育によくない」や「eスポーツで本当に地域を盛り上げることはできるのか」といったご意見を持つお客さまも少なくありませんでした。
しかし、私は反対意見やネガティブな印象を持っている人ほど地域を本気で盛り上げる熱意を持っていると考えており、さまざまなアプローチでeスポーツの正しい魅力をお伝えするように心掛けています。
例えば、eスポーツは単なるゲームではなく、対戦を通じて人とのコミュニケーションやつながりが生まれる競技であると定義の観点からお客さまに紹介することもあります。
また、お客さまの地域特性や規模に適した先行事例を紹介し、eスポーツ視察を通して、メリットや導入効果に納得感を得ていただけるようにしています。
プロジェクトが進むにつれ、反対していたお客さまがeスポーツの価値や可能性に共感しポジティブな意見を発言してくださったときには、ともに解決策を検討し実行する仲間になったと感じることができて非常に嬉しかったです。
会社の枠を超えて同じ志を持つ仲間を一人でも多く増やすことができれば、プロジェクトも大きくなり、より大きな波及効果を生みだせると実感しています。
佐藤 :
eスポーツを単なる「趣味」ではなく「知見や経験」に変えて、主体的にステークホルダーと連携しプロジェクトを成功に導くことは、関係者の数や事業規模がダイナミックであるため苦労や課題を感じやすいです。
プロジェクトを円滑に進めていくために、お客さまのビジョン達成に向けた地域のパートナーとの長期的な関係を作り上げることを意識しています。
地域が盛り上がるイベントを継続的に企画・運営していくためには、参加者の声だけではなく、その地域で活躍される企業など地域関係者の理解を得なければいけないからです。
地域のフロント企業であるNTT東日本グループの一員として、「eスポーツを通じて地域の魅力に触れることで愛着を持つ」「就職先として、地元企業に興味を持つきっかけをつくる」「地産地消を推進していく」「子どもたちがeスポーツに触れて育つことで将来的にデジタル人材の確保につながる」など、私たちが主体的に、自治体や企業側の施策におけるメリットを発信していくことで、ステークホルダーへの理解や相互協力が徐々に生まれます。そして、ステークホルダーのみなさまと共に協力しビジョン達成を目指すことで、地域のにぎわいを持続的に生み出す文化が定着していきます。
文化が根付いたときには、地域のみなさまと喜びを分かち合うことができ、これらの課題や困難を上回るやりがいや達成感を味わうことができます。
山本 :
私は、eスポーツが地域に与える影響を「確かな効果として実感させる」ことの難しさを感じています。
「eスポーツ」は、今まさに産業として成長している過程をたどっており、深く理解・浸透していくためには、単なるゲームではなく、eスポーツの有効性を確かな実績として積み上げていかなければなりません。
そのため、当社ならではの評価・分析手法や最先端のNTTグループのソリューションを活用してイベント参加者の「笑顔」「脈拍」などの数値を測定し、取り組み状況を可視化することで業界特有の特長や事業全体の課題を捉えて改善提案した事例もあります。
地域に密着しているからこそ築いてきた信頼関係を武器に、地元の声をヒアリングし、ICT企業の強みである最先端の技術を取り入れて最適な改善を追求する提案ができる点は、責任を感じながらも事業の面白さにつながるポイントだと考えています。
「好き」をフックにまちづくりに携われることがNTT東日本の強み
─プロジェクトに取り組む中で感じた、NTT東日本ならではの強みを教えてください。
村上・山本 : NTT東日本は東日本全域に拠点を持ち、自治体や地元の企業ともつながりながら地域の通信インフラを支えてきました。だからこそ、eスポーツ事業でも地域の未来を思い、寄り添いながらまちづくりをサポートできています。例えば、NTT東日本の支店からの人的リソースの協力や支店と日頃お付き合いのある地域企業と連携した施策の展開、自治体全面協力によるPRの実施、グループ会社のアセットを活用したイベントへの付加価値の向上など通信以外の分野でも幅広いグループ会社があるため、NTTのグループ力を活かして課題解決ができるところも強みです。
福本 : まちづくり事業では、自治体や地域企業などさまざまなステークホルダーがいるため、連携しながら取り組みを進めるのは苦労するところです。しかし言い換えると、「たくさんの味方がいる」ということでもあります。NTTグループには、あらゆるステークホルダーの要望に応えられる多彩な会社があるからこそ、関係者が一丸となって地域課題に取り組む環境をつくることができると感じています。
佐藤 : 自分の「好き」を活かしながら、地域の課題解決に取り組めるフィールドがあることです。私自身、ICTの力で地域活性化に貢献したいという思いで入社をしたのですが、もともとゲームが好きだったこともあり、今のプロジェクトも熱量高く取り組めています。NTTグループには、農業×ICT、アート×ICTなど、eスポーツに限らず自分の好きなことや得意なことでまちづくりに携わるチャンスがあると思います。

eスポーツをきっかけに子どもや若い世代が地元に愛着を持ち、地域の活性化やデジタル人材として活躍する未来を目指す
─このプロジェクトが発展していくと、今後世の中はどのようになっていくでしょうか。
山本 :
eスポーツをフックに地域に若者を巻き込んでいくことができれば、地域が活力溢れる持続可能な地域社会の形成につながっていくと考えています。
多くの若者が好きなeスポーツを契機に、好きを伸ばし、デジタルを学び、地域に触れ、やりたいことを見出し、自らが担い手として地域のエンジンとなる。また、その若者を地域団体が支えることで、地域への帰属意識や自己肯定感の醸成につながり、更なる好循環が生まれていきます。そんな地域循環型社会を創っていきたいです。2025年4月に開校した「NTTe-Sports高等学院」もこうした思いから生まれた取り組みの一つです。
福本 :
eスポーツ部活動などを通じて多くの高校生に触れ、生徒がeスポーツスキルだけではなく、人としても成長していく姿に驚かされる場面が多々ありました。
日本の若者がeスポーツを通じて地域を盛り上げていく世界が来るよう全力でサポートしていきたいです。ぜひ、「好き」を追求して世の中が変わる瞬間に一緒に立ち会いましょう!
Side Story

長井市のeスポーツ施設「Ne-st(ネスト)」
地元住民の交流の場を目指して創設された、山形県長井市内のホテル1階にあるeスポーツ施設。デジタルを先端的に学べる場、かつ地元住民たちの交流の場にもなっています。私たちは施設の使い方などを提案し、運営は地元の企業が行っています。

「NTTe-Sports高等学院」を
2025年4月に千葉県千葉市に開校。
eスポーツをきっかけに学生たちが一つになる姿、デジタルスキルを楽しく吸収している光景から、教育分野におけるeスポーツの可能性や価値を認識し、より踏み込んだ教育事業として、「eスポーツカリキュラム」とeスポーツから広がる「デジタルスキル」が学べる通信制サポート校を開校しました。