Project Story 仕事を知る
Project Story #01
NTT東日本の持つ最先端技術を活用し、持続可能な社会へと導く、農業ICT※化への挑戦
農業の生産性向上プロジェクト
※ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術の略で通信技術を使って人とインターネット、人と人が繋がる技術のこと
現在、日本の食卓や生活を支える農業は、一次産業に従事する方の高齢化や人手不足が深刻な問題となっています。この大きな課題に着目し、最先端技術で日本の農業のアップデートを試みるプロジェクトが始動しました。NTT東日本はどのような変革を起こしていくのでしょうか?
Project Image
農業
- ・ 高齢化や人手不足といった社会課題
先進テクノロジー
- ・ IoT※センサーによる環境モニタリング
- ・ AIによるデータ分析・収穫量予測
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・ 自動収穫ロボット、自走運搬ロボット
※IoT(Internet of Things):様々な「モノ」がインターネットに接続され、情報交換することにより、デジタル社会の実現を目指す仕組みのこと
地域活性化と経済循環
- ・ 地域雇用の創出や定住人口の増加
- ・ 関連産業への経済効果
※IoT(Internet of Things):様々な「モノ」がインターネットに接続され、情報交換することにより、デジタル社会の実現を目指す仕組みのこと
Project Member
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Masahiro NAKANISHI中西 雄大
経営企画部 営業戦略推進室
地域活性化に向け、NTT東日本のアセットを活用した新たなビジネスを創出。
地域の課題に対しICTを活用したソリューションを提供することで地域の経済発展に貢献。また、NTTアグリテクノロジー社設立のコアメンバーとして新規事業の立ち上げに寄与。 -
Sho KIKUCHI菊池 翔
経営企画部 営業戦略推進室
「地方創生」をキーワードに、一次産業分野における新たなビジネスの立案・実証実験を行う。NTTアグリテクノロジー社との協業も担当。農業のICT化を進めるために、日々自治体やJAなどのお客さまに提案を行う。
Project Interview
最新技術をフル活用!日本の農業をアップデート!
IoTやAIを活用し農業の観点から持続可能な世の中を実現する
─農業のICT化への挑戦がスタートした背景を教えてください。
中西 : 日本の大きな社会課題として掲げられている「農業の労働力不足」。農業従事者の高齢化や若年層の農業離れによるものですが、食料自給率の低下や地域経済の縮小といった、あらゆる社会問題を引き起こしています。また、日本の農業は未だに人間のチカラに頼らざるを得ない傾向にあります。深刻な労働力不足を抱えた日本の農業を持続的に発展させるためには、農作業の省力化や生産性向上、勘や経験に頼る栽培からの脱却といったアプローチが必要でした。
菊池 : 世界に目を向けてみると、農産物の輸出量1位はアメリカで、2位がオランダなんですね。オランダの国土は九州とほぼ同じ面積でありながら、1haあたりの収穫量を日本と比較すると、トマトは8倍、ナスは15倍と生産性に大きな違いがあります。なぜ、高い生産性を保てているのかを探るべく、私はオランダや同じく生産性の高いスペイン、ベルギーに何度か足を運びました。すると、最新のセンシング技術やAIをフル活用しており、確実性の高いデータを元に農作業の省力化や労力の軽減をおこなっていることがわかりました。
中西 : 最新技術を積極的に取り入れているNTT東日本がオランダのように農業のICT化に取り組むことで、世の中をより便利にできるのではないかと考え、この事業が発足しました。
─まずどんな取り組みから始めたのでしょうか?
菊池 : 農業ビジネスへ踏み込むにあたり、まずは農業に関する勉強はもちろんのこと、分からないことは素直に農家の方々へ伺い教えてもらいました。私達含め、NTT東日本に農業の基本的なノウハウがなかったんですよね。ただ、NTT東日本は今までも地域に密着したサービス提供を積み重ね、自治体と連携した多くの取り組みを行い、厚い信頼を培ってきた背景があります。
中西 :
その強みを活かし、2017年にはスマート農業推進に向けて山梨市とJAフルーツ山梨に協力していただきました。
13軒のブドウ農家のビニールハウスに光通信とWi-Fiを完備し、環境を記録するセンサーとネットワークカメラといったIoT技術を導入。ビニールハウスの環境データや映像をリアルタイムで見られるようにしました。NTT東日本がこれまでに地域と歩んできたからこそ実現できたプロジェクトでした。
菊池 : 農業IoT導入による省力化や技術継承の簡略化、品質の均一化といった、地域の課題解決にも寄与するこのプロジェクトが評価され、経済産業省のIoT LabSelectionにおいて「地域活性化賞」を受賞することができました。これにより、NTT東日本の取り組みの注目度も高まってきており、農業分野への波及だけでなく、養鶏・水産・林業といった他の一次産業への応用も拡大しています。
中西 : 私たちはこの可能性をより広げるために、自治体・民間企業・JAが三位一体となった山梨の事例をモデルケースとして、650を超える自治体とJAに提案活動を開始。そうした活動を通じ、様々な農業プレイヤーと会話していく中で、「もっと生産性をあげたい」「生産から出荷まで横断的に管理できるフードバリューチェーンを構築したい」といった要望があることがわかりました。私たちはここに新しいビジネスの種があるのではと、新たなチャレンジを決断しました。
菊池 : それはNTT東日本の一事業ではなく、農業のICT化に特化した新会社の立ち上げです。そこで、2019年7月に「NTTアグリテクノロジー」を設立。IoTを活用した高度な環境制御やAIを活用した環境・生育データの分析による収穫予測、人員配置の最適化、円滑かつ高い生産性を実現するシステムの提供を目指しています。2020年にはIoT・AI技術を組み込んだ「実証ファーム」を山梨県で建設・運営し、そこで得たノウハウを日本各地の農業生産法人へ提供していきます。
─農業のICT化は、世界をどのように変えていきますか?
菊池 :
NTTアグリテクノロジーでは「農業」を起点に地域社会・経済の活性化への貢献を掲げ、地域の雇用創出や物流の活性化、定住人口を増加させるといった“新たな街づくり”もおこなっていく予定です。
このままでは衰退していきそうな地域でも、農業のICT化を進めることで、地域が活性化するはずです。
中西 : 農業がICT化されることによって、日本の農業はより高度な知的産業・情報産業へアップデートしていくでしょう。また、ワークスタイルも従来の重労働から大きく変化を遂げることで、「カッコイイ・憧れの職業」になるはずです。これによって、もともと問題視されていた労働力不足が解消され、生産性向上や食料自給率の引き上げや品質担保といった新たな価値を生み出すことで持続可能な社会が実現。ゆくゆくはオランダのように世界と戦える農業を目指し、日本全国へ”新しい農業の形”の浸透を進めていきたいと考えています。
Side Story
次世代施設園芸ソリューションの推進
スマートフォンで撮影したトマトの写真を、AIで解析。収穫量・出荷量の正確な予測を行い、売れ残りの防止等に役立てられるサービスを開発中。
スペインのレタス畑にて、世界の農業を学ぶ。
スマート農園を立ち上げるべく、オランダやスペインに足を運び、最先端の栽培方法を学んだ。写真は品種による生育状況の違いを見られる試験場。
Another Story
- ※掲載内容は取材当時のものです
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