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第7回 日々の暮らしの安心を支える通信

地下に息づくライフライン

113センタや修理部門であるサービス担当が、お客さまの声に応えるべく24時間365日の体制で臨むのと同様に、昼夜を問わず通信網の維持管理に取り組んでいる保守担当技術者たちもいる。そんな通信保守の現場は、お客さま宅や電柱など、人目に触れる場所だけとは限らない。

東京都下のとある市街地の地下約30メートル。薄暗いトンネル内部に設置された棚に整然と並ぶ太さ約10センチメートルの通信ケーブル。それが何十本も何百本も束ねられ、延々と伸びている。地上を忙しく歩く人たちは、自分の足下にこんな地下空間があるとは想像もしないだろう。

NTTでは、地震などの災害から守るため、主要な通信ケーブルには専用の地下トンネルを設けている。「とう道」と呼ばれるこの地下設備の総距離は、全国で約1,000キロメートル(電力線等との共同溝を含む)。なお、とう道から先は「管路」という地下ケーブルが枝のように分かれ、さらに細い管が地上の電柱やビル、各家庭などへと続いている。管路の総距離は全国で約67万キロメートル、これは実に地球約16周半に相当する。それを保守するのもNTTの技術者たちの役割だ。

内部が金属で出来ている通信ケーブルは水分や湿気に極めて弱い。そのため気温や天候など、外部からの影響を受けにくいとう道や管路によって厳重に守られている。しかし稀に経年劣化などによってケーブル外被に針の先ほどの穴や亀裂が生じる場合がある。そこに地下水が入り込むと通信障害となるため、わずかでも見逃すことはできない。

これらの地下ケーブルは通常、監視システムによって24時間遠隔監視されているが、異常時には必ず技術者が現場に出向いて対応する必要がある。システムが警報を鳴らすと、技術者たちは、迅速に故障発生箇所を分析。時には警報システムから打ち出されるさまざまな数値データを元に、手書きでグラフを書いて、故障場所を特定するケースもあるという。

故障発生箇所が特定されると技術者たちは直ちに重い装備を抱えて地下へ降り、時には何キロメートルもの距離を小走りに現場へと駆けつけ、補修作業を行う。

「3,000対6,000本もの回線が束ねられた通信ケーブルの1本1本は極めて細いが、この1本の線を通して、今この瞬間にも人の命にかかわる重要な連絡がなされているかもしれない。そう思うと“絶対に障害を発生させてはいけない”との使命感が燃えたぎる」。NTT東日本-東京西 設備部 テクノセンタ 武蔵野テクノ担当の野村成雄課長は語る。大切なライフラインを預かっているという重い実感は、通信ケーブルの保守に携わる全ての技術者に共通の意識という。

一瞬たりとも通信を途絶させないために、そしてまた、不測の事態を速やかに挽回し、より確かな信頼へとつなげるために…。113センタでの電話応対から迅速な修理、大きな障害を未然に防ぐ保守・点検作業まで、技術者たちは互いに連携し合い、多種多様な問題の解決に取り組んでいる。

どこまでも続く家並み、数え切れないほどの窓・・・。その一つひとつに確かに息づく暮らしを支えるために、技術者たちは今もこの街のどこかで、通信サービスの維持に励んでいる。

通信ケーブルが密集するとう道。内部は火気厳禁

「とう道保守はチームワークが大事」と語る、NTT東日本-東京西 武蔵野テクノ担当課長 野村成雄

地下約30メートルのとう道へと降りていく技術者たち。重い機材を抱えての上り下りはかなり辛い

通信ケーブル内部には圧縮空気が送り込まれている。監視システムから導き出した箇所に石鹸水を塗布することで、目に見えない穴や亀裂を見つけ出す

明かりの灯る夕暮れの住宅街。通信サービスの維持に休みの時はない