電話やファクスのある暮らしがもはや当たり前となっている時代だからこそ、故障発生は、ライフラインとしての通信の重要性を再認識させる契機となる。そして、故障を訴える人々の切実な声を通じて、故障修理担当の技術者たちもまた、その重みをあらためて実感する。
「迅速に現場に駆けつけること、出来るだけ早く修理を完了すること。それによって故障時間をなるべく短くすること。それが現場に向かう全ての技術者に共通のモットー」と、NTT東日本-東京西 八王子サービス担当課長の荻尾義友は、修理に向かう技術者の姿勢について説明する。
113センタで受け付けられた故障連絡は、最寄り地域のサービス担当へと直ちに申し送られ、原則としてその日のうちに修理作業が行われる。技術者が向かう先は、お客さま宅だったり、近くの電柱設備だったり、時には路上のマンホールやハンドホールを開ける必要があったりと、故障内容に応じて臨機応変な対応が求められる。緊急を要する場合には、113センタでの故障受付から直接、現場作業車へ連絡が届く場合もあるという。
「通話できない状況だけは何とか回避したい。たとえ完全復旧が無理と思われる事態でも、通話できる状態までは確実に復旧する」と荻尾はその強い思いを語る。
訪問修理時にお客さまに渡し、完了後にご投函いただく「ご意見承り票」は、お客さまにご満足いただけたかどうかを測る貴重な指標だ。技術者全員が、その1枚1枚すべてに目を通し、毎日の業務に役立てている。はがきを一読しただけで、技術者は担当したお客さまの顔が思い浮かぶという。
故障発生当初は不満をあらわにしていたお客さまが、修理完了後にお褒めの言葉をくださるケースも少なくない。「故障自体は残念だったが、迅速な修理や納得のいく説明、アフターケアなど、その後の対応にはとても満足している」との評価。電話機の故障で訪問した先で、お客さまが思いつきで言った配線の見栄えの悪さを改善して「何の気なしに言ったことを親身に考えてくれて助かった」との感謝。修理完了から数時間後、数日後と、動作確認の電話を入れたことで「わずかのことで何度もフォローしてくれてありがたい」との賞讃。いずれもお客さまから荻尾宛に届いたはがきの文面だ。
「メールや電話でわざわざ御礼の言葉を下さるお客さまさえいる。ありがたさに頭が下がる」との感謝の気持ちが、技術者たちを現場へと駆り立てる。そして技術者たちは今日も、“安心と満足こそがNTTの商品である”との誇りと、通信網を守る使命感とを糧に修理作業を遂行している。