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都市対抗野球大会/第83回 都市対抗野球大会 東京都代表決定戦

都市対抗野球大会

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試合結果(ハイライト)

[一回戦] NTT東日本 vs WIEN'94 [○ 7-1]

5月24日(木) 12:40 大田スタジアム

 5月24日、第83回都市対抗野球東京都代表決定戦が幕を開けた。
 NTT東日本ナインが目指すのは、ただひとつ。言うまでもない、悲願の日本一だ。京セラドームで行われた昨年の決勝、土壇場で逆転されて涙をのんだ、あの悔しさを男たちはいまも忘れていない。掴み損ねた黒獅子旗を目指す戦いが、いま始まったのだ。

代表決定戦初登板の井納は5回1失点とゲームを作る。

代表決定戦初登板の井納は5回1失点とゲームを作る。

初回から2点を先制! 勢いに乗るNTT東日本。

 大田スタジアムで行なわれたWIEN'94との1回戦、NTT東日本打線がいきなり火を噴く。
 一回表、死球で出塁した先頭の目黒が、すかさず二盗。二死から4番・平野がセンター前に弾き返し、目黒を迎え入れる。ベテランの殊勲打に打線は一気に活気づいた。キャプテン北道がライト前ヒットで続くと、矢島が一塁強襲安打を放ち、2点目を叩き出す。電光石火の3連打、NTT東日本が早々と主導権を握った。
 この2点は、大事な初戦の先発を託された井納を大いに勇気づけた。「去年は怪我で投げられなかったし、代表決定戦で投げること自体初めてなんです。緊張もしましたが、やっと投げられるという喜びや周りへの感謝の気持ちを感じながらマウンドに上がりました」と語る4年目の右腕は、素晴らしい立ち上がりを見せる。
 四回まで許したヒットは、わずか2本。三回裏には二死二・三塁のピンチを迎えるが、相手打者を三振に切って取る。140キロ台のストレートが冴えわたり、ほとんど付け入る隙を与えなかった。
 テンポのいい井納のピッチングは、守備にも好影響を与えた。岩本と矢島の三遊間コンビは素晴らしいフットワーク、強肩を披露。ヒット性の当たりを、たびたびアウトにする。攻守に躍動するNTT東日本の選手たちに、スタンドから拍手と歓声が降り注いだ。

 

ベテラン・平野は先制タイムリーを含む3安打の猛打賞。

ベテラン・平野は先制タイムリーを含む3安打の猛打賞。

機動力と積極性で、順調に得点を重ねる。

 五回表、NTT東日本打線はふたたび相手投手に襲い掛かる。目黒、小林の韋駄天コンビが、足を絡めた攻撃で2点を追加。目黒がバッテリーのミスをついて生還すると、続いて小林が浅いライトフライからタッチアップで本塁を陥れる。「ライトは、ぼくが走ってこないと思っていたような体勢だったので、スタートを切りました」(小林)。積極性と鋭い観察眼がもたらした価値ある得点。これはシビアに得点を追い求める、NTT東日本の姿勢が実を結んだシーンと言えるだろう。
 五回裏に1点を返されたものの、六回表、NTT東日本打線はふたつの四球に3本のヒットを絡めて3点を追加する。相手バッテリーのミスから矢島が生還、さらに上田、目黒が連続でタイムリーを放ち、相手を大きく突き放した。
 投げては先発の重責をまっとうした井納が五回1失点でマウンドを降り、大竹が二番手として登板。5年目を迎える右腕は、井納に触発されたかのように、安定感たっぷりのピッチングを見せた。六・七回を無失点。七回には連打を許し、無死一・二塁のピンチを迎えるが、低めを丹念に突くピッチングで後続を封じ込む。
 7対1と勝利が目前になった八回、垣野監督は絶大な信頼を寄せる末永をマウンドに送り出した。昨年の都市対抗で決勝進出の立役者となった抑えのエースは、今季も健在。代表決定戦の初戦から、持ち前の快速球が面白いように決まる。貫録の投球を見せた末永は、八・九回を完封。NTT東日本は危なげない戦いぶりでWIEN'94を退け、2回戦へと駒を進めた。

 

打線がつながったNTT東日本。生還した目黒をナインが笑顔で迎える。

打線がつながったNTT東日本。生還した目黒をナインが笑顔で迎える。

投打がかみ合う安定した試合運びで2回戦に挑む。

 それにしても、攻守ががっちりと噛み合った素晴らしい勝利だった。
 投手陣は、井納、大竹、末永の3人が揃って持ち味を発揮。初の代表決定戦というプレッシャーに打ち勝ち、5回1失点と好投した井納の出来には垣野監督も「役割を果たしてくれた」と及第点を与えた。打っても四番に座ったベテラン平野が、先制タイムリーを含む3安打。中軸を担う北道、矢島も、いいところでヒットを放った。
 投手陣と打撃陣だけではない。目黒、小林の走塁も、勝利の原動力と言えるだろう。前者は3盗塁、後者は2盗塁とアグレッシブにな走塁が光った。ふたりが相手投手や守備陣にプレッシャーをかけ、中軸が返すという方程式が確立されようとしている。
 収穫の多い初戦の勝利、だが、これ以上に心強いのは、ナインがまったく浮かれていないということだ。勝利投手となった井納は、「今日出てきた反省点を4日間でしっかりと埋めて、2回戦に臨みたいですね」とコメント。昨年、決勝に進出した自信と決勝で敗れた悔しさを知る男たちは、一喜一憂することなく次なる戦いを見据えている。
 2回戦は5月29日(火)、ひと回りたくましくなったNTT東日本は必ずや道を切り拓いてくれるはずだ。