試合結果詳細

第91回都市対抗野球大会 決勝

2020年12月3日(木)東京ドーム(東京都文京区)
vs. ホンダ(狭山市)

試合開始 18:04 試合終了 20:55

team 123456789RH
NTT東日本N 0100000001 5
ホンダ 10003000X4 8

スターティングメンバ―/交代選手

1(中) 向山(31)
2(遊) 丸山(0)
  楠(32)※※
3(二) 下川(1)
4(左) 火ノ浦(4)※
5(右) 笹川(36)※※
6(指) 桝澤(25)
7(一) 喜納(10)
8(捕) 保坂(29)
  宮内(2)
  佐久本(26)※
9(三) 小林(30)※※
P(投) 沼田(13)
  熊谷(18)
  堀(17)
  佐々木(34)

()内は背番号
※は新人
※※は補強選手

バッテリー/打撃成績

NTT東日本

バッテリー 【投】沼田→熊谷(五回)→堀(七回)→佐々木(八回)
【捕】保坂→佐久本(八回)
二塁打  
三塁打  
本塁打  

ホンダ

バッテリー 【投】朝山→福島(九回)
【捕】辻野
二塁打  
三塁打  
本塁打 井上(五回3ラン)

Game Report

<都市対抗>届かなかった3度目の栄冠。しかし、最後まであきらめない姿勢はすばらしかった。

新型コロナによって、当初は開催すら危ぶまれた都市対抗野球大会。開幕が11月下旬にずれ込み、見どころのひとつである応援コンクールがなくなるなど、例年とは大きく異なる形式で行なわれたが、それでもNTT東日本は熱のこもったプレーで“いつもと違う都市対抗”を最後まで盛り上げた。

優勝した2017年88回大会に続き、決勝進出を果たしたNTT東日本。決勝のマウンドに立ったのは、一、二回戦でも好投を見せた沼田選手。だが、決勝では立ち上がりに1点を失ってしまう。

しかし打線が活発なNTT東日本は、二回表にすぐさま追いつく。
先頭の笹川選手がヒットで出塁し、盗塁成功。このチャンスにキャプテン・喜納選手がしぶとく一・二塁間を破り、笹川選手をホームに迎え入れる。

ゲームは振り出しに戻り、先発・沼田選手も徐々に立ち直っていく。二回以降、ランナーを出しながらも、緩急を生かしたていねいな投球でスコアボードに0を刻んでいった。三回裏には二死一・三塁のピンチを招くが、相手の主軸を三振に切って取る。

粘りのピッチングで打線の援護を待つ沼田選手。だが、五回裏に落とし穴が待っていた。四球とヒットで一死一・二塁のピンチを迎え、甘い初球をスタンドに叩き込まれてしまう。

結果としては、この3点が重くのしかかることになったが、NTT東日本は最後まで勝負をあきらめなかった。
沼田選手のあとを受けた熊谷選手、堀選手、佐々木選手が力投を見せ、バックも安定した守りで投手陣を盛り立てる。

忘れてはいけないのが、社員、ファンの応援だ。
前述したように今大会は応援コンクールが行なわれなかったが、それでもスタンドには多くの社員、ファンが足を運び、熱心な拍手で選手たちを後押しした。

またイニング間には、自宅や会社でリモート応援をする社員、ファンの姿がビジョンに映し出され、ドームの熱気を盛り上げた。
大声は出せなくても、ドームには足を運べなくても、チームを心から応援する社員、ファンの気持ちは、間違いなく選手たちに伝わったはずだ。

3点を追う格好となったNTT東日本は六回表、小林選手と向山選手がチャンスメイク。一死二・三塁の絶好機を迎える。だが、このチャンスに主軸の下川選手、火ノ浦選手が倒れてしまう。ともに鋭いライナーを放ったが、不運にも相手野手の正面を突くことになった。

厳しい展開の中でも、中継ぎ陣は追加点を許さない。
七回裏の一死満塁の場面でも、3番手・堀選手が力強い投球で無失点で切り抜ける。

この粘りが、最後の反撃につながる。
九回表には代打・楠選手が内野安打で出塁。1塁に頭から飛び込む姿にドームは沸き、下川選手もライト前ヒットで続く。だが、ここまでだった。火ノ浦選手、笹川選手が相次いで三振に倒れ、ゲームセット。3年ぶり3度目となる優勝には手が届かなかった。

悔しさばかりが残る準優勝。最後のバッターとなった笹川選手は、マウンドで歓喜する相手選手たちを目の前に、しばらく打席を去ることができなかった。

だが、この経験は必ずや明日の栄光につながるはずだ。
今大会5試合を通じて、NTT東日本は優勝してもおかしくないだけの実力を見せた。
父・隆康さんに続き、親子で「久慈賞(敢闘賞)」を受賞した向山選手、新人ながら四番の重責を務めた火ノ浦選手など、若手が成長。また準決勝では13年目の大ベテラン、大竹選手が快投を見せるなど、若手からベテランまですべての選手が力を発揮し、層の厚さを見せつけた。

目を引いたのは、プレーの質だけではない。
最後まで勝負をあきらめないNTT東日本の姿勢は、多くのファンの心を魅了した。

NTT東日本の選手たちは、凡打に終わっても、だれもが全力疾走をする。そしてベンチは、どのチームよりも声が出ていた。
目の前の一つひとつのプレーに全力を出し切り、自分はグラウンドにいなくても、声で仲間を盛り立てる。この姿勢はゲームセットの瞬間まで、まったく変わることがなかった。
栄冠は逃したものの、最後の最後まで戦う姿勢を見せ続けたNTT東日本。彼らの精神は、コロナ禍に生きる人々への力強いエールになったに違いない。

[大会成績]
準優勝(9年ぶり2回目)

[表彰選手]
久慈賞:向山 基生 外野手
大会優秀選手:
大竹 飛鳥 投手、堀 誠 投手、喜納 淳弥 一塁手、下川 知弥 二塁手、丸山 雅史 三塁手、
火ノ浦 明正 外野手、向山 基生 外野手、笹川 晃平 外野手(補強選手・東京ガス)、桝澤 怜 指名打者

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