(報道発表資料)

2026年10月27日
株式会社ブロードバンドタワー
NTT東日本株式会社

次世代通信基盤「IOWN APN」を活用し、東京〜北海道データセンター間1,000km超のストレージ統合実証に成功
〜遠隔地でも同一拠点と同等の読み出し性能によりAIワークロードや映像処理を実現、データセンターの地方分散へ〜

株式会社ブロードバンドタワー(本社:東京都千代田区、代表取締役:中川 美恵子、以下「ブロードバンドタワー」コード番号:3776 東証スタンダード)とNTT東日本株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)は、次世代通信基盤「IOWN※1」におけるオールフォトニクス・ネットワーク(以下「APN※2」)を活用し、東京〜北海道間1,000km超のデータセンター拠点間におけるストレージ統合の共同実証を実施しました。

本実証では、遠隔拠点に分散配置したストレージにおいて、AIの学習・推論や映像処理を想定したデータ利用で、同一拠点内に構成した場合と概ね同等の性能結果であることを確認しました。

本成果を通じ、利用者はデータの保存場所を意識することなく、最寄りの拠点からストレージへアクセスし、必要なデータを活用できるようになるため、距離の制約を受けないストレージシステムの実現とデータセンターの地方分散を推進します。

【背景】

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の加速に加え、生成AIや機械学習などの急速な進展により、データの利活用は企業活動においてより重要性を増しています。このような環境変化の中で、ストレージは単なるデータの保存領域にとどまらず、ビジネスを支える重要な「データプラットフォーム」へと進化しています。

一方で、これらを支えるデータセンターにおいては、災害時のデジタルインフラ強靭化を踏まえた東京一極集中の是正や、地方創生の推進、再生可能エネルギーの効率的活用といった観点から、「データセンターの地方分散」が強く求められています。

このようにデータ利活用の重要性が増す一方で、データセンター間でのシステム分散によるデータ共有の障壁や、ストレージ管理の複雑化といった新たな課題が顕在化しています。

課題1:分散環境におけるデータ利活用の障壁

近年では、一つのデータに対して分析・生成AI学習・映像処理など、多様なワークロードが求められます。しかし、「データの格納場所(ストレージ)」と「利用者(アプリケーションや分析環境)」が必ずしも同一拠点に存在するとは限らず、共有するために拠点間のデータ移動が頻発しています。

大容量化するデータの転送には、膨大なネットワーク帯域、時間、運用工数が必要となり、データ利活用の大きな障壁となるとともに、生産性へも大きな影響を与えております。

課題2:ストレージシステムの個別運用による管理負荷の増大

ストレージは内部の機器同士が密に連携して動作するため、通信の応答時間がばらつくと性能や安定性に影響します。そのため、低遅延に加えてゆらぎ(遅延の変動)の少ない安定したネットワーク品質が欠かせず、多くの企業では拠点ごとにストレージを設置しています。

一方で、企業の重要なデータを格納するストレージには、事業継続のためのデータ保護やバックアップ、ディザスターリカバリー(DR)対策、近年脅威が急速に高まっているランサムウェアへの対策など、多面的な管理が求められます。

拠点ごとにストレージが分散している場合には、上記で挙げたようなセキュリティ対策やデータ保護の設定・運用をストレージごとに行わなければなりません。その結果、拠点の増加に伴い管理者の負担も増加し、運用の非効率化が問題となっています。

【各社の役割】

ブロードバンドタワー ストレージの提供
性能・機能検証環境の提供および検証の実施
東京都内におけるデータセンター内の実証環境の提供
NTT東日本 IOWN APN技術提供および実証回線の提供
北海道局舎内の実証環境の提供

【実証環境構成】

1. 場所
東京拠点 ブロードバンドタワー 新大手町サイト(東京都大手町)
北海道拠点 NTT東日本 札幌東局(北海道札幌市)
2. 実証環境構成環境
東京拠点 ストレージ Dell PowerScale F200× 3台構成
ランサムウェア対策 Superna Eyeglass
北海道拠点 ストレージ Dell PowerScale F200×3台構成
東京‐北海道間回線 All-Photonics Connect powered by IOWN※3(100Gbps回線)

本実証では実際の拠点間ネットワークとして、ブロードバンドタワーの新大手町サイト(東京・大手町)とNTT東日本 札幌東局をAll-Photonics Connect powered by IOWNで接続し、2つの拠点を横断したストレージバックエンドネットワークを構築しました。

【実証結果】※4、※5

本実証では、東京−北海道間のような地理的に大きな隔たりのあるストレージ環境下においても同一拠点構成時とほぼ同等の読み出し性能を維持することを確認できました。ストレージは通信遅延やゆらぎの影響を受けやすく、従来は隣接するラックへの設置など場所に制約がありましたが、IOWN APNの低遅延かつゆらぎの少ない通信により、場所の制約を超えた設置が実現できたものと考えます。

同様にランサムウェア攻撃の対策についても、通常、監視サーバとストレージを同一拠点に設置することを基本としますが、監視サーバを1つの拠点に集約し、遠隔拠点の検知・防御についても正常に対応できることを確認しました。

1.東京-北海道間におけるネットワーク性能測定
(本実証)東京-北海道間における実証回線でのIOWN APNネットワーク測定 遅延(片道) 7.14ms
ゆらぎ <16ns
(参考)※6東京-北海道間における商用回線でのIOWN APNネットワーク測定 遅延(片道) 6.38ms
ゆらぎ <13ns
2.遠隔拠点からの大容量ファイル読み出し検証
  • 読み出し速度の低下は約3%にとどまり、同一拠点構成時とほぼ同等の性能を確認しました。
  • 同一拠点内にて構成されたストレージ環境と本実証での東京-北海道拠点間にて構成されたストレージ環境における大容量ファイルの読み出しに要する時間差は1秒未満であり、実際のサービス利用においてユーザーが体感する差は極めて小さいとの評価となりました。
3.ランサムウェア攻撃を想定した防御検証
  • 東京‐北海道拠点で構成されたストレージへのランサムウェア疑似攻撃は両拠点の領域共に正常に検知および防御されることを確認しました。

【今後の展開】

本共同実証では、IOWN APNを活用することで、1,000kmを超えて離れたデータセンター間でも、ストレージを1つの基盤として統合的に利用できる可能性が示されました。これにより、拠点ごとにデータを置いて管理することが前提だったストレージの在り方は、データを最適な場所に置き、どこからでも活用しながら1つのシステムで一元管理する形へと変わることが期待されます。本成果は、現状のICTの限界を超えた新たな情報通信基盤をめざすIOWN構想の実現に向けた重要な一歩となるものです。

活用領域としては、地方データセンターに蓄積した学習データを首都圏から直接活用する生成AI開発、複数拠点にまたがるコンテンツ制作の効率化、ストレージの統合によるランサムウェア対策の一元化など、大容量データを扱うさまざまな業務への応用が想定されます。

ブロードバンドタワーが2026年9月14日に運用を開始した「石狩新港サイト」(北海道石狩市)は、石狩市産を中心とした再生可能エネルギー100%で運営するデータセンターです。「AI時代のグリーンデータセンター」を掲げ、IOWN APNで基幹拠点の「新大手町サイト」と直接接続する同サイトには、大容量の電力を必要とするAI用途の基盤としての役割が期待されています。ブロードバンドタワーは今後、本実証の知見をもとに、同サイトをはじめ全国の拠点をつなぐストレージシステムの実現に向けた検討を進めてまいります。

NTT東日本はIOWN APNの社会実装を通じて、距離の制約にとらわれない通信環境の実現に取り組んでおり、ブロードバンドタワーはその通信基盤を生かした新たなデータ活用の形を追求するとともに、「ワット・ビット連携」を推進しています。両社は引き続き連携を深め、データセンターの地方分散と、地方と都市を結ぶ新たなデジタル基盤の構築を通じて、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

<用語解説・参考>

  • ※1IOWN
    IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。詳しくは次のホームページをご覧ください。
    • IOWN構想とは:https://www.rd.ntt/iown/index.html新規ウィンドウで開く
      「IOWN®」は、NTT株式会社の商標又は登録商標です。また、「All-Photonics Connect®」は、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社の登録商標です。その他、記載されている会社名および商品名は、それぞれ各社の商標および登録商標であります。
  • ※2APN
    APN(All-Photonics Network)とは、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、これにより現在のエレクトロニクス(電子)ベースの技術では困難な、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延の伝送を実現いたします。詳しくは次のホームページをご覧ください。
  • ※3All-Photonics Connect powered by IOWN:
    NTT東日本は、2023年3月にオール・フォトニクス・ネットワークであるAPN IOWN1.0の提供を開始し、2024年12月には最大800Gbpsの「All-Photonics Connect powered by IOWN」の提供を開始しました。
    https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20230302_01.html
    https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20241118_01.html
  • ※4本検証結果は検証にて採用したハードウェアメーカーによる公式な検証・承認を受けたものではありません。
  • ※5 報道発表資料に記載している情報および結果は発表日時点のものです。本内容は特定の環境下において得られたものであり、いかなる環境においても同等の性能・結果を保証するものではありません。
  • ※6(参考)はブロードバンドタワーの新大手町サイト(東京・大手町)と石狩新港サイト(北海道石狩市、石狩再エネデータセンター内)間の商用回線での測定結果です。
  • *「IOWN®」は、NTT株式会社の商標又は登録商標です。また、「All-Photonics Connect®」は、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社の登録商標です。
    その他、記載されている会社名および商品名は、それぞれ各社の商標および登録商標であります。

【お問い合わせ先】

株式会社ブロードバンドタワー 営業本部

電話: 03-5202-4801 E-mail: bbtower-sales-web-j@bbtower.co.jp

NTT東日本株式会社 経営企画部 IOWN推進室

E-mail: iownlab-ml@east.ntt.co.jp

報道発表資料に記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。