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都市対抗野球大会/第84回 都市対抗野球大会

第84回 都市対抗野球大会

戦力分析

今年もドームに帰ってきたNTT東日本野球部

今年もドームに帰ってきたNTT東日本野球部

名将・垣野監督が作り上げた、一体感あるチーム

 7月12日から23日にかけて東京ドームで行なわれる第84回都市対抗野球大会。創部50年超の伝統を誇るNTT東日本野球部は、今大会で実に38度目の出場を数える。激戦の東京都予選を5年連続で勝ち抜き、しかも2年続けて第一代表の座を確保。これだけでも十分に快挙といっていい。

 都市対抗野球大会3度の優勝を誇る名将、垣野監督を招聘した2009年以降、NTT東日本は着実に力をつけてきた。都市対抗野球大会では、ベスト4、ベスト8、準優勝、ベスト4と上位に定着。そして就任5年目となる今大会、チーム力はかつてないほど高まっている。
  狙うはただひとつ、22年ぶり4度目となる日本一(※)。その強い決意は、チームのスローガンにも表われている。
  「Fighting Spirit 〜勝利への執念〜」

守備で打撃でチームを引っ張る岩本

守備で打撃でチームを引っ張るキャプテン・岩本

 強豪揃いの東京都代表決定戦から、NTT東日本は盤石の試合運びを見せた。初戦でエスプライド鉄腕硬式野球部に6対0と快勝すると、鷺宮製作所との二回戦も終盤に敵を突き放して6対2。第一代表の座を懸けたセガサミーとの大一番では、2対0と完璧なゲームをやってのけた。

 「今年はチームとしてのまとまりが非常にいい。キャプテンの岩本に目黒といった中堅がベテランや若手を引っ張ることで、チームに一体感が出てきた」
 垣野監督が語るように、今のNTT東日本は攻走守、どこを取っても隙がない。

 

代表決定戦で鮮烈にデビューした新人・高木

代表決定戦で鮮烈にデビューした新人・高木

新人からベテランまで充実。層の厚い投手陣

 特に代表決定戦3試合を2失点に抑えた投手陣の充実ぶりは、出場32チームの中でもトップクラスといっていい。
 都市対抗野球大会12年連続出場を誇るベテラン黒田が健在で、大竹の完全復活も好材料。さらに左腕の森山と西、新人の高木、抑えの切り札・末永と計算できる選手たちが揃っている。
 中でも第一代表決定戦で先発を任され、五回を1安打無失点に抑えた高木の存在は頼もしい限り。最速147キロを誇る快速球は、東京ドームの大観衆を唸らせることだろう。

 巧みなリードで各々の個性を引き出している捕手・上田は、次のように語る。
 「ウチは後ろにいいピッチャーが揃っているので、それぞれが役目を果たせば必ずいい試合ができる」

 投手陣の出来が勝敗を左右する本大会で、質量ともに優れた選手たちの存在は大きなアドバンテージとなるはずだ。
 前述した投手陣は、先発に黒田と高木、ワンポイントに西と森山、ロングリリーフに大竹、抑えに末永という形で配置される。勝てば勝つほど過密日程となる本大会では、投手は投げられるところまで投げ、後ろの投手を休ませることも求められる。
高木と大竹の二人が完封リレーを達成した第一代表決定戦のように、少ない投手で1試合を投げ切る、そういう試合を作ることができれば優勝は近づいてくるだろう。

高い守備力とチャンスに強い攻撃。勝負強さが持ち味

 充実した投手陣を支える、守備陣の安定ぶりも見逃せない。
 代表決定戦3試合でエラーは一度だけ。息づまる攻防の中でも、守りのミスから崩れることは皆無だった。これは「当たり前のプレーを当たり前にやる」という意識が、練習から徹底されているからだ。
 NTT東日本は手堅い守備を伝統としてきたが、今年は球際の強さ、積極性も際立つ。
 「全員が一球一球にこだわる野球を目指している」という岩本主将の言葉が、しっかりとプレーに反映されている。信頼できるバックがいるからこそ、投手陣も強気の投球をすることができるのだ。

抜群の出塁率を誇る一番・目黒が攻撃を引っ張る

抜群の出塁率を誇る一番・目黒が攻撃の原動力

 打撃陣は目黒、岩本の一、二番コンビが足を絡めて突破口を切り拓き、クリーンアップの北道、越前、平野が返すという形が確立された。四番を任された3年目の越前の打撃は、確実性を増している。
 とはいえNTT東日本打線いちばんの強みは、上位、下位にかかわらず、どこからでもチャンスを作り、どこからでも得点できるところ。
 しぶとく粘って四球を選ぶ、敵のミスを逃さず次の塁を陥れる、黒子に徹してランナーを進める、といった勝つための最善のプレーをだれもが実践し、勝負所での集中力もすばらしい。予選では先頭の目黒や九番の上田に値千金のホームランが飛び出すなど、意外性も秘めている。

 手堅い守備陣にも支えられ、投手陣が失点を最小限に抑え、打線がチャンスを確実にモノにする。これがNTT東日本の勝利の方程式だ。今の彼らはどんなに強い敵と戦っても、確実に好勝負を繰り広げる力を持っている。

 

名将が見つめる未来には、黒獅子旗が常にはためいている

名将が見つめる未来には、
黒獅子旗が常にはためいている

強豪ひしめくトーナメントを勝ち抜き、悲願の優勝へ

 一戦必勝の都市対抗野球大会では、こうした計算できる実力に加えてラッキーボーイ、絶好調男の登場が躍進の鍵を握る。
 投手陣なら「まだ自分の実力を出し切っていない」と語る高木、打撃陣では予選の貴重な場面で起用された伊藤の長打力に期待がかかる。彼ら新人が波に乗れば、チーム全体も勢いづくに違いない。

 全国の強豪が覇権を争う都市対抗野球大会、NTT東日本は激戦区に組み込まれた。順当にいけば準決勝を勝ち抜くまでに東芝、昨年の王者JX-ENEOSといった強豪との対戦が予想される。
 頂点への道は決して平坦ではない。だが垣野監督の指導のもと、卓越した技術とプレッシャーに負けない強靭な精神力を身につけたNTT東日本にとって、不可能なことは何ひとつないはずだ。
 都市対抗野球大会を知り尽くす垣野監督は、次のように語る。
 「プレーの精度をさらに高めながら、本大会への準備を進めたい。出場するからには優勝を目指します。これが我々の使命だし、仕事ですから」
 悲願の日本一へ、夢にまで見た黒獅子旗を見据えた戦いが、今始まる。

※ 電電東京、電電関東での成績を含む。詳細はこちら