- NTT東日本が運営する文化施設NTTインターコミュニケーション・センター※1(以下ICC)では、常設展示内容を大幅に入れ替え、2016年5月28日(土)より「オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス」展を開催します(入場無料)。
- メディア・アート※2の代表作や新作、歴史的な作品、また教育機関による研究成果としての作品などが展示され、作品を楽しむだけでなく、その背景にある現代の多様化したメディアやコミュニケーションの在り方などについて考えるきっかけとなることをめざしています。※3
- ※1日本の電話事業100周年記念事業として、またNTTの文化・社会貢献活動の一環として、1991年からプレ活動を開始し、1997年東京(新宿区西新宿<初台>)にメディア・アートの展示を中心としてオープンした文化施設。
- ※2コンピュータをはじめとするさまざまな先端メディア・テクノロジーを使用したアート作品を総称する言葉。
- ※3展示内容については、予告なく変更になる場合があります。
1.常設展「オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス」展について
(1)開催期間
2016年5月28日(土)〜2017年3月12日(日)午前11時〜午後6時
休館日:毎週月曜日(祝日の場合翌火曜日)、年末年始(12月29日〜1月4日)、 ビル保守点検日(8月7日/2月12日)
休館日以外においても開館時間の変更および休館の場合があります。最新情報はICCホームページなどでお知らせします。
(2)入場料
無料
(3)主な展示作品
①メディア・アート展示
国内外のアーティストによるさまざまな作品を紹介します。
<展示作品例>
藤井直敬
+GRINDER-MAN
+evala 《The Mirror》 2015年
撮影:Koki Nagahama©Getty Images
鏡をモチーフにした没入体験型作品《The Mirror》は、自己と身体のつながりをテーマにした展示作品です。ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを装着した1名の体験者は、「こころ」と「からだ」が乖離する約8分間を体験します。本作の基幹技術であるSRシステム(Substitutional Reality System:代替現実システム)は、理化学研究所脳科学総合研究センター適応知性研究チームにより開発されました。従来のVRやARの「仮想を現実に近づける」志向とは異なり、過去を現在と地続きのものとして挿入することで、体験者の経験する主観的な「現実」そのものに影響を与えます。
藤本由紀夫
「ランデヴー」、《still life》 新作
Normal Brain《Lady Maid》1981年
藤本由紀夫は、「聴く」ことを創造的な行為として作品にするアーティストです。音を発見し、それによって驚きや楽しみを与える作品は、世界で評価されています。そこには音を発するメディア、音が記録されるメディア、といったメディアへの関心が強くあり、メディアへの深い洞察があります。藤本の、これまでに制作された、音に限らないさまざまなメディア・テクノロジーをモチーフにした作品を網羅したミニチュア個展を展開します。また、無響室では新作《still life》を展示します。
クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノー 《ポートレイト・オン・ザ・フライ》 2015年
モニターの前に立つと、画面の中の数千匹のハエの群れが観客の顔の特徴を検出し、肖像画を形作ります。観客が少しでも動くとハエが飛び去ってしまうため、顔のように見えていた状態は定着することなく、ポーズをつけようとしたそばから霧散してしまいます。現在の自撮り文化のはかなさ、また、現代のデジタル・メディアの移り変わりの早さや脆弱性に言及した作品です。
赤松音呂
《チジキンクツ》 2013〜2015年
展示室にしつらえた数百のグラスの水に浮かんでいる縫い針が、地磁気※4の作用によって北を向いていますが、ときおりガラスにあたり繊細な音を発します。「チジキンクツ」とは、「地磁気」と日本庭園に設置される「水琴窟(すいきんくつ)※5」を合わせた造語です。主に茶室の前に設置される水琴窟の音が、現実世界から茶室という異空間へと意識を変えるきっかけとなるように、《チジキンクツ》は、人間が感じることのできない地磁気の作用を音として知覚化し、日常空間に重ね合わせるサウンド・インスタレーションです。
- ※4地球が持つ磁性
- ※5江戸時代の伝統的日本庭園の装飾のひとつで、地中の瓶に水滴が落下する反響音を楽しむ仕掛け
堀尾寛太
新作
《電気と光の紐付け》2014年 (参考図版)
撮影:
小山田邦哉
写真提供:国際芸術センター青森 [ACAC]
堀尾寛太は、音、光、運動、位置などさまざまなエネルギーを相互に変換する装置を用いたライヴ・パフォーマンスや展示を国内外で発表するアーティストです。電気を用いてある物体を動かすと、その動きが、光や磁力の作用によってさらに別の物体の運動を引き起こします。それが次々に連鎖されるように組み合わせることで、日用品などの物体が、どこか不可思議な挙動を見せます。それらは因果関係によって連結されているにもかかわらず、予測不可能なふるまいを続けます。電気という力を原動力として、みえない要素を取り込みながら動き続けるインスタレーションを制作します。
②研究成果 作品展示
大学などの研究機関における研究成果や事例を紹介するコーナーです。
技術者や教育現場から発想される未来像を提示するとともに、最先端技術の共同研究発表の場としても展開していきます。
<展示作品例>
明治大学
渡邊恵太研究室
《Integlass: 情報を「得ること」と「利用する」ことが一体化した計量カップ》 2015年
渡邊恵太研究室は「インタラクション」を中心のキーワードとして、画面に留まらない次のインターネット体験の研究、自己帰属感の高い道具/身体・知覚拡張研究、「すぐ」をテーマにした即応的な創造ツール・環境の研究を行なっています。デジタル・テクノロジーが身体、道具、環境に融けるインタラクションの発想法を、デモ展示を通じて紹介します。
③連携プロジェクト展示
ICCと他の外部機関、施設との連携によって、国際的なメディア・アートを介した文化交流を推進するためのプロジェクト・ギャラリーです。
今年度は、フランスのメディア・アートの国際賞、デジタル・ショック賞、およびアジアのメディア・アートをフィーチャーした展示を行ないます。
<展示作品例>
Goh UOZUMI 展示期間:2016年5月28日(土)〜9月25日(日)
《仮想通貨を可視化するオーディオヴィジュアルの新作》(参考図版)
ビットコインなどの暗号通貨で実現された「Trustless」というコンセプトに基づく作品を展示します。暗号通貨には中央管理機関が存在せず、その信用は分散的ネットワークの各参加者の関与によって形成されています。ビットコインは、このような非中央集権的な社会インフラが実際に稼働した初めての例です。展示期間の前半は、暗号通貨を可視化するインスタレーションを展示します。後半では、暗号通貨の仕組みに人工知能の機械学習を組み合わせて、仮想国家のシミュレーションを試みます。
UOZUMIは、「Trustless」にまつわる作品で、2015年にメディア・アートの国際賞であるデジタル・ショック賞を受賞、フランス、マルセイユで2ヶ月間滞在制作を行ないました。
協力:アンスティチュ・フランセ東京
(展示予定)
- 「アジアのメディア・コンシャス」 展示期間:2016年11月1日(火)〜2017年3月12日(日)
国際交流基金アジアセンターとICCの連携企画として、日本とアジア諸国の現代の芸術表現におけるメディア・テクノロジーの役割、活用法などをテーマとし、インドネシアのアーティストの活動を紹介するとともに、展示とシンポジウムを行ないます。
④新進アーティスト紹介コーナー「エマージェンシーズ!」
今後期待される新進アーティストやクリエイターの最新作品やプロジェクトなどを紹介するコーナーです。
(年間3回展示予定)過去ICCにおいては27のアーティスト作品を展示しております。
- エマージェンシーズ! 028 久保ガエタン 展示期間:2016年5月28日(土)〜8月6日(土)
- エマージェンシーズ! 029
青柳菜摘
展示期間:2016年9月13日(火)〜11月20日(日)
- エマージェンシーズ! 030
市原
えつこ 展示期間:2016年12月20日(火)〜2017年3月12日(日)
⑤その他の展示・施設
ICC活動に関する映像アーカイヴ「HIVE」(ハイヴ)のコンピュータ端末閲覧により、ICCの歴史に多面的に触れることができます。
⑥関連イベント
出品アーティストによるレクチャーやトーク・イベントを開催するほか、毎月第三日曜日には、学芸スタッフによる作品解説ツアーを行なう予定です。
2.今後の展示予定
(1)ICC×新国立劇場 合同企画 《CHROMA》スペシャル・ライブ+トーク
開催日時:2016年5月11日(水)午後7時30分開演
出演:
高谷史郎
、
原摩利彦
、
古舘健
、
南琢也
新国立劇場 中劇場にて、5月21日、22日に東京初演される《CHROMA(クロマ)》の上演に先立ち、総合ディレクションする高谷史郎と、同作にてサイモン・フィッシャー・ターナーとともに音楽を担当する原摩利彦、南琢也、メディア・オーサリングを担当する古舘健による《CHROMA》スペシャル・ライブとトークを、ICC×新国立劇場合同企画として、開催を予定しています。
(2)ICC キッズ・プログラム2016(仮称)
開催期間(予定):2016年7月16日(土)〜2015年8月31日(水)
最新のメディア・アートに触れることで子どもたちの好奇心と想像力を育むことを目的に、2006年より開催している夏休みの子ども向け展覧会です。
(3)企画展「
ART+COM
/ライゾマティクス」(仮称)
開催予定期間:2016年12月17日(土)〜2017年3月12日(日)
ドイツのデザインチーム「ART+COM」と日本のクリエイティブ集団「ライゾマティクス」によるコラボレーション展です。
ART+COMは1988年に設立され、30年近くにわたり、メディア・アートやその手法を企業とのコラボレーションや広告といった媒体で展開してきました。ART+COMとライゾマティクスは、ともに会社組織として活動し、メディア・アートをよりパブリックな存在として展開している点で共通しています。長いキャリアを持つART+COMはいわばライゾマティクスのひとつの目標ともなったアーティストであり、本展では、
「
Rhizomatiks Research
」が参加し、それぞれの近作を中心に展示する予定です。
3.ICCのご案内
所在地 |
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分) |
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