有識者インタビュー 第2回

有識者インタビュー 第2回

子どもを取り巻くインターネットの話題や家庭での対処法をテーマに、子どもを持つ著名人とメディア・情報教育の専門家である東京工業大学 教授 赤堀侃司先生に対談していただきました。第2回のゲストは、平山ユージさんです。
※本インタビューは、2008年3月10日に掲載したものです。記載されている情報は、現在と異なる情報などがございますのであらかじめご了承ください。

プロフィール

プロフィール(平山ユージさん)

平山ユージさん
世界的プロフェッショナル・フリークライマー。10代で日本のトップクライマーとなり、その後フランスに渡る。1998年、2000年に行われたワールドカップで総合優勝を果たすなど、世界のトップとして走り続けている。現在は日本に拠点を移し活動するかたわら、2児の父親として子育てにも積極的。競技がら家を外すことが多く、一緒にいるときはコミュニケーションをとるようにして親子の時間を大切にしている。

プロフィール(赤堀侃司先生)

赤堀侃司先生
工学博士。東京工業大学・教育工学開発センターおよび、大学院社会理工研究科人間行動システム専攻教育工学講座の専任教授。その他、早稲田大学大学院などの非常勤講師、国連大学高等研究所客員教授の兼任、日本教育工学会会長なども務める。
また、本サイト・ネット安全教室の監修なども行っている。

インタビュー(前半)

親が親身になって教えてあげたい

赤堀侃司先生ご近影

平山さんはプロのクライマーですから、スポーツマンならではの教育方針みたいなものはありますか?

平山ユージさんご近影

いや、特に「これ!」といったものは無いのですが、僕はクライミング、妻はダンスをしているんです。二人とも趣味が高じて仕事になったので、子どもたちには、何か一つでも好きなもの、得意なものを続けて欲しいですね。そしてできればそれを一生の仕事にして欲しい。何も悪いことはしないで(笑)、自分の好きな道を歩んで行けるように、というのが理想ですね。

赤堀侃司先生ご近影

なるほど。平山さんはアウトドアの方だから、インターネットはあまりやられないかと思ったんですが、ブログをやられているんですね、拝見しました。

平山ユージさんご近影

僕がインターネットをはじめたのは、7、8年前からなのですが、ここ4、5年、特にインターネットの便利さを感じています。海外の小さな田舎町にクライミングに行く時など、岩場の難易度やローカルなルールは人に聞いてもわからないことが多いんです。でも、地元のインターネットカフェに行って検索すると、結構細かい情報が出てきたりして。地方に行くと、特に情報を知っておくことの大切さを感じます。向こうにしてみれば、こっちはよそ者なわけで、だからこそ、それぞれのルールを調べておいて、気を遣わないといけません。

赤堀侃司先生ご近影

なるほど、そうですね。ところでお子さんは、自宅でインターネットを使い始めていますか?

平山ユージさんご近影

うちの子は、小学校4年生と3年生ですが、学校では少しずつ使い始めているみたいですね。時々「地域の特産物を調べて」などと頼まれることもあります。
でも、まだ自分からやってみよう、っていうほどの興味は無いみたいですよ。

赤堀侃司先生ご近影

最近は、子どもとインターネットの問題がいろいろ取り上げられているんです。インターネットの閲覧でも、子どもに見せたくないサイトへは接続できないように、フィルタリングなどの対策をするべきだ、と言われています。でも、結局はネットワークでつながっているんだから、何らかの形で入ってしまうんですね。だから学校では、見てよいサイトと見てはいけないサイトを自分で判断する力を持たせよう、という教育をしているようです。

平山ユージさんご近影

お酒やタバコと同じですね。親が、こういうサイトはよくないものだ、と教えていかないと。僕はあまりインターネットのことは詳しくないけれど、知っている限りのことは親身になって教えてあげたいと思っています。そして、もし有害なことに出くわしたらどう対応するか、その免疫をいかにつけていくかが大事でしょうね。

インターネットの基本は子どものうちに!

赤堀侃司先生ご近影

NTT東日本では、小学生を対象に「ネット安全教室」というのを実施しているんです。これは、NTT東日本の社員が小学校へ行って、インターネットの使い方やマナーを教えるというものなんですけどね。
車社会になったから交通安全教室をやるように、インターネットの基本的なことは子どものうちに教えていく必要があるんですね。

平山ユージさんご近影

それはいいですね。インターネットは便利ですけど、学校は学校でやることがいっぱいあるし、時代のスピードについていけなくなってくる。そこをプロフェッショナルな人が教えてくれるのはありがたいです。僕が受けたいくらいです(笑)。子どもが、やってはいけないことをちゃんと認識しないままでいると、取り返しのつかないことになったり、ちょっとした間違いで犯罪になっちゃうケースがありますから、それを未然に防ぐという意味で、大切な取り組みだと思います。

赤堀侃司先生ご近影

車を運転するためには教習所に行って免許をもらうけれど、インターネットにはそのような仕組みが、まるっきりないんですよね。子どもに有害なサイトなどを発信するけしからん行為の取締りを、もう少しやって欲しいと思います。

平山ユージさんご近影

発信する側のモラルが問われますね。何か対策があれば親としても安心なのですが、難しいですね。