有識者インタビュー 第2回

インタビュー(後半)

好きなことに没頭していると、批判や中傷なんか気にならなくなる

赤堀侃司先生ご近影

最近の子どもは、メールが来て、その返信をすぐにしないと不安になったり、返事が来ないと怒ったり。そういうコミュニケーションの取り方に問題があるとも言われているんですが…。

平山ユージさんご近影

上手にコミュニケーションを取れる人って、相手の状況を考えられる人ですよね。
メールの返信が来なかったら、都合があるのかな、とか。メールのやりとりは、会って話す以上に相手のことを考えないといけないと思います。
時々、メールになると人が変わったような文章を書く人がいますよね。
そういうのを見ると、僕自身はどうなんだろう?と考えるんです。メールは、話している以上に丁寧に書かないと、相手には伝わりにくいですからね。
子どもでも、相手のことを大切に思っていたら、メールのやり取りで相手を批判したりはしませんよね。

赤堀侃司先生ご近影

根底には「友達を失いたくない」という気持ちがあってやっていることだから、単に「メールをやめなさい」というのでは解決できないと思います。今は「有害サイトを見てはいけない」「悪口を書き込んではいけない」…と、してはいけないことだけを並べることが多いですが、それはどうなんでしょうかね。

平山ユージさんご近影

インターネットは、あくまでツールだと思いますし、気持ちの大部分がそっちに傾き過ぎるのはいけませんね。

赤堀侃司先生ご近影

子どもはよく親を見ていて、何をしたら怒られるか、どこまでが許されるのか、そういう距離を測定している感じがありますよね。だからこそ、何がいけないのか、大人がしっかり教えないと。そこが曖昧だと、子どももどこまで何をしていいのかわからないですからね。

平山ユージさんご近影

相手を傷つけるようなことをしてはいけない、それは自分にとってもよくないことなんだ、と周りの大人が子どもに教えていかなきゃいけませんね。

赤堀侃司先生ご近影

有害サイト以外に今問題になっているのは、いわゆる「掲示板」です。子どもが、友達の悪口を書き込んだり、電話番号や住所などの個人情報を出してしまう。あまり考えずに個人情報を書き込んでしまって、後から大変なことだと気づくんですよね。それがいじめにつながったりして、頭の痛い問題です。
平山さんご自身も、クライマーとして第一線で活躍しているからこそ、中傷や批判などをネット上でされたこともあるのではないですか?

平山ユージさんご近影

多少はありますね。一時はそういったバッシングに対して反応していたときもあったんです。でも、当時のマネージャーが「批判されるのは、それだけ目立つ存在だから。悪いことばかりではないんだよ。」と言ってくれて。
それに、僕はとにかく登ることが大好きで、登っていられればそれだけでいいんです。登ることに没頭していると、救われるというか、なんだか気持ちがクリアーになっていくんです。そうすると、批判や中傷が気にならなくなりますね。

赤堀侃司先生ご近影

それは面白いね!好きなことをやっている人にとっては、嫉妬やいじめなんかつまらないことに思えてくるんだろうね。

平山ユージさんご近影

批判をバネにして、もっとすごいことをすればいいんだ、と思えるようになりました。

赤堀侃司先生ご近影

好きなものを持っていれば、少々のことは何でもないと思えるようになるんですね。夢中になるものを持っているということは、何にも増して強い力なんだなぁ。
そういえば、学生がロボットを作って競う「ロボコン」という大会があるのですが、青森県八戸市の中学校では、受験目前の3年生がみんな参加するんです。私はびっくりして、「この時期に大丈夫なんですか?」と先生に聞いたことがあるんですが、先生が言うには、一つのことに夢中になっているほうが、勉強もしっかりやるようになるんだ、と。実際にそれで成績が伸びた生徒も多いそうです。
好きなことに熱中することで、自分を高めて成長することができるんですね。好きなものがあるというのは、何にも増して強い力なんですねぇ。

平山ユージさんご近影

たとえば、いたずらメールを発信するような子にも、もし何か一つ、夢中になって打ち込めることが見つかったら、もうそんなメールを出すことに興味がなくなると思うんです。好きなことを思いっきりやって、ご飯を食べてお風呂に入ったら、疲れて寝ちゃいますからね(笑)。子ども達には、好きなものに没頭することで、変な方向にエネルギーが向かないようにしてもらいたいですね。

赤堀侃司先生ご近影

子どもたちには、平山さんのように、好きなことを見つけて、それに熱中しながら成長していってもらいたいですね。