地域とのつながり方・新しいコミュニティのつくり方
- PANELIST
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NTT東日本地域循環型ミライ研究所
- チーフエバンジェリスト:宇野 咲耶子
- エバンジェリスト:水谷 考嬉
- エバンジェリスト:本間 愛佳
- FACILITATOR
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国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
- 伊藤 将人氏
2025年も各地で様々な地域に関わるプロジェクトを展開してきたNTT東日本 地域循環型ミライ研究所(以下、ミライ研)。今回は、国際大学グローバル・コミュニケーションセンターの伊藤 将人氏をファシリテーターにお迎えして、同研究所の宇野 咲那子、水谷 考嬉、本間 愛佳が関係人口をテーマに行ってきた活動の中から見えてきた“地域とのつながり方”と、ミライ研の役割について座談会で熱く語り合いました。
長期的な視点で信頼関係を築く
- 伊藤
- ミライ研の地域連携プロジェクトも、今年度はさまざまな実証実験を経て多くの収穫がありました。これまでの活動を振り返りつつ、それぞれの視点から感じたことや今後の展望についてお話を伺えればと思います。
- 本間
- 2024年度から継続している新潟県十日町市にある棚田を活用した企業研修実証の調査結果をもとに政策提言をはじめとする情報発信を進めています。農林水産省との連携も強化していて、農山漁村と都市部の企業との関わりについての検討会へも参加しました。他にもドルトン東京学園と連携した探究学習の取り組みや横須賀市走水地域の「海とミライのがっこう」というプロジェクトにも参画しています。
どのプロジェクトにも共通することですが、調査研究に協力していただくにあたって、「関係者すべてがwin-winになれるか」を意識しています。大切にしているのが「いかに信頼関係を構築するか」ということです。そのために何度も足を運んでその地域の理解を深めるようにしています。実証などでは関係が一過性になってしまいがちですので、地域に溶け込むために真摯な姿勢や丁寧なコミュニケーションを心掛けています。みずから積極的に関係人口となることで“自分ごと”としてその地域のことを考えられるようになってきました。
関わった地域は第二の故郷
- 水谷
- 私は秋田県でワデュケーションの実証実験を行いました。取り組みの過程や成果を共有する機会にも恵まれ、伊藤さんと連携して学会に参加させていただき、研究内容を深掘りすることができました。秋田県とは継続して連携していて、この取り組みのモデルが予算化され、地域で事業化を進めるという展開になっています。
地域との関わり方は多様であり、単純な成果指標で測ることはできないと感じています。関係人口の増加という数字は一つの指標ですが、そこに込められた質的な変化、つまり地域の方々との信頼関係や絆の深まりは、数値だけでは見えにくいものです。だからこそ、継続的にコミュニケーションを取るようにしています。さらに協力していただいた恩を返したいと常に考えていて、関わった地域のことを第二の故郷のように思っています。
私たちがやるべきことは、得られた経験やデータをしっかり煮詰めてその地域はもちろん、ほかの地域へも還元していくことだと考えています。 - 宇野
- 皆さんが言っているように「信頼」はとても大切なことだと感じています。よく地域の方に「あなたは何をしに来たの?」と問われます。地域の方々は悪気があって聞いているのではなく、純粋に「この人は何をしに来たのだろう」という疑問からなのですが、そう問われると緊張してしまいます。「地域のために」というのはおこがましいと思いますし、そうは言いたくないのです。
私にできることは活動の目的を明確にして伝えることだと思っています。ただ、一方的に目的を果たすのではなく、「一緒に地域のことを考えてみませんか」というニュアンスも含めるのも忘れません。
フィールドと理論の橋渡し
- 伊藤
- 確かに、地域との信頼関係は時間をかけて育てるもので、すぐに成果を求めがちな現代社会において、ミライ研のアプローチは長期的視点を大切にしているのが特徴的だと思います。
ミライ研は、フィールドと理論の橋渡しをしているとも言えます。その役割は今後ますます重要になるでしょう。水谷さんのようにアカデミックな経験は「研究所」という名称があるからこそできることだと思います。ただ、私たちのような大学の研究者と同じことをしていくのとは異なる、企業ならではの視点も必要になってくると思います。
企業間の業務提携でもない、対顧客でもない新しい関係性の構築が鍵になってくるのかもしれません。そうした関係構築にはやはり「信頼の獲得」は不可欠ですね。 - 本間
- 地域の資源はたくさんありますが、探究学習に関わる調査・研究の中で「人」に勝るものはないと結論付けました。人は重要なコンテンツとなり得るので、人そのもののウェルビーイングが探究学習によってどう変化していくかを調査する。それを文部科学省の方針や地域のニーズとすり合わせて、どのように地域での経済活動や事業と結び付けていけるのか、その可能性も含めて探究していきたいと考えています。
- 水谷
- 自治体も毎年のように政治的・制度的な方針の転換がある中で、ノウハウの蓄積が課題になっていると思われます。そこで外部のリソースを頼らざるを得ない場面も多いでしょう。ただ、自治体側では地域の潜在的な課題に気付けていないケースも見受けられるので、私たちが敬意を示しつつ、時に無邪気にコミュニティに入り込むことで課題を顕在化させることもできるのではないかと思っています。そうして最終的には地域が自走できるようになると社会的にも経済的にもインパクトは大きいと考えています。
- 宇野
- 私たちの活動も段階が進んできて、社会実装を視野に入れるところに来ていると思います。外部の目線によって潜在的な課題が顕在化することこそ、私たちの存在意義につながってくるのではないか。こういった活動では、お互いを尊重して能動も受動も許容されないといけないと思っています。そういう居心地のいい環境を整備することが持続性にもつながりますし、特別な時間になるのではないでしょうか。
こうしたことが関係人口を生み出すかもしれないと仮説を立てています。先日伺った地域ではとてもいい時間が過ごせて、帰ってからもFacebookに友達申請が来るなど、関係の継続を感じているところです。
- 伊藤
- 地域にとってミライ研は、当たり前だったことに対して価値や新しい気付きを生む存在になりつつありますね。参加者が必ずしも最初から主体的とは限らない中で、そうした人たちに寄り添い、ゆるやかに参加を促す「背中を押す仕組み」の重要性も見えてきました。
今後の課題としては地域の皆さんの多様な声をもっと丁寧に拾い上げ、特定のプロジェクトや実証に閉じ込めず、横断的に活かしていく仕組みづくりも必要ですね。
- 水谷
- その通りですね。たとえば、現場で生まれる小さな気付きやアイデアを、ミライ研の内部だけで完結させるのではなく、地域の行政や他の団体とも連携して共有し、社会や地域の中に循環させることが重要だと感じます。
- 本間
- 都市部と地域をそれぞれ別のものとして対比するのではなく、お互いに価値を生み出すきっかけとして関係人口がうまく機能するといいと思っています。その上で外からの視点が何かのきっかけになれるといいですね。人の内発的動機で芽生えた意識を育んで維持していくことや、人の関心と地域そのものや活動をどうマッチングさせていくかが今後の課題だと考えています。
- 宇野
- それと、ミライ研の強みは「柔軟性」だと思います。地域ごとに異なる課題や文化に寄り添いながら、多様な形で連携を深められる。だからこそ、固定観念にとらわれず、新しい挑戦を続けていけると思います。
- 伊藤
- 皆さんの意見をしっかり受け止め、ミライ研の進化につなげていきたいと思います。
本日はありがとうございました。
メンバー紹介
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宇野 咲耶子
Sayako Unoチーフエバンジェリスト福井県越前市出身。サービス開発を通じたユーザー中心デザインの実践を原点に、地域で生きる人の声や感覚から社会を捉え直すことをテーマとしている。関係人口にまつわる指標やデザイン思考を掛け合わせ、見えにくい関係性や価値を丁寧に言語化・可視化することを重視。正解を定めず、試行錯誤を楽しみながら地域と関わっている。
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水谷 考嬉
Koki Mizutaniエバンジェリスト研究員として、サステナブルな地域社会のモデルの創出に向け、「関係人口」を主なテーマとして調査・研究。祭りなどの文化や、食を起点とした入り口から地域活性をめざし、都市と地方をかき混ぜる越境的な枠組み(ワデュケーション)などをフィールド実践型で実証している。
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本間 愛佳
Aika Honmaエバンジェリスト研究員として、サステナブルな地域社会のモデル創出に向け、「関係人口」や「教育」を主なテーマとして調査・研究。棚田や雪などの自然や教育などを起点とした入り口から地域活性を目指し、越境的な人材を創出する取組みをフィールド実践型で実証している。
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伊藤 将人
Masato Ito国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)研究員地方移住定住や関係人口、交流人口など地域を超える人の移動と、持続可能なまちづくり/地域振興に関する研究や実践、政策立案に携わる。近年は、移動の社会学をテーマに、移動から世界/社会を考える研究にも力を入れている。
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