「Palette〜地域とミライをつくるゼミ〜」第7回 レポート

「交流」と「共創」が続くコミュニティとは
〜地域に関わる企業・個人がつながり続ける場づくりを考える〜

DATE
2026年3月4日(水)17:00〜20:30
VENUE
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
PRESENTER
  • 上入佐 慶太氏(日本航空株式会社 W-PIT 能登復興事業 統括)
  • 菅波 紀宏氏(株式会社丹青社 マーケティング・サステナビリティ統括部長)
  • 石川 貴志氏(一般社団法人Work Design Lab代表理事)
FACILITATOR
  • 伊藤 将人氏(国際大学GLOCOM研究員・講師)
ORGANIZE
  • NTT東日本 地域循環型ミライ研究所
  • 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
PROGRAM
  1. イントロ
  2. 日本航空株式会社 上入佐 慶太氏からの話題提供
  3. 株式会社丹青社 菅波 紀宏氏からの話題提供
  4. 一般社団法人Work Design Lab 石川 貴志氏からの話題提供
  5. 登壇者からのパネルディスカッション(ゲストからのコメント・質問)・質疑応答
  6. おわりの挨拶

「Palette〜地域とミライをつくるゼミ〜」の第7回は、交流と共創の場をどう持続させるかをテーマに開催されました。

地域をめぐる課題が複雑化し、行政など単一の組織の努力だけでは解決の糸口が見えにくくなっているなかで、企業や個人が越境的に地域に関わり、組織の壁を超えて学び合い、実践を持ち寄る場やコミュニティの可能性が注目されています。

課題の解決には、こういった場への関わりが継続的な共創に発展することが重要ですが、場づくりやコミュニティの運営には固有の難しさがあります。参加者の熱量差や目的のズレ、関係の希薄化、運営側と参加側の関係性の固定化、成果の見えにくさなど、多くの方が実感しているところではないでしょうか。

そこで今回は、持続する場づくりを実践されている方々に話を伺ってみようということで、日本航空の上入佐さん、丹青社の菅波さん、また有識者としてWork Design Labの石川さんをお招きし、現場で起きがちなモヤモヤやつまずきを共有しながら、自組織・自プロジェクトに活かせるヒントを探りました。


都市と地方をかきまぜる
Japan Vitalization Platform

PRESENTER:上入佐 慶太氏

私は、JAL航空みらいラボの調査研究員として地域の活性や関係人口、ふるさと住民登録制度などの調査研究を行いながら、週末は能登に行って活動して東京に戻ってくるという、まさに二地域居住を実践しています。

まず、コンソーシアム「Japan Vitalization Platform(JVP)」を立ち上げた背景についてご説明しましょう。

私は2019年に新卒で日本航空に入社して、成田に配属されました。その頃、新型コロナが流行りはじめ、飛行機も飛ばず、この先どうなってしまうのだろうという状況でした。当時の赤坂社長が、「これからは飛行機を飛ばすだけではなくて、地域に行く理由づくりで、人と人、地域と地域をつなげていく」と言って、地域事業本部が立ち上がり、今はソリューション営業として展開しています。

日本航空には、W-PITという、JALグループ横断型の社内ベンチャーのチームがあります。私も新入社員ながら何かできないかと、W-PITに参加して模索していました。2021年春、関係人口の提唱者であり、株式会社雨風太陽(当時は株式会社ポケットマルシェ)代表の高橋博之さんの話をZoomで視聴して、東日本大震災から10年の節目に、高橋さんが東北の沿岸部を巡る旅に同行させていただきました。そこで見た景色が衝撃的で、沿岸部には何十億円もかけて造られた立派な防潮堤や防風林がある一方で、壊れた建物が当時のまま残り、人も戻ってきていません。ただ、そこに住んでいる人たちは、みんな生きる意思にあふれていて、大好きなこの土地を自分たちで盛り上げていくのだと、逆に私のほうがパワーをもらいました。

Japan Vitalization Platform(JVP)について

この経験をもとに、高橋さんと一緒に「都市と地方をかき混ぜる」を掲げてJVPを立ち上げ、その具体的な事業として「青空留学」を始めました。

ここで、お断りしておくと、2021年にJVPを立ち上げた時は、関係人口を広げていくことを大きなミッションとしていましたが、昨年、ふるさと住民登録制度が閣議決定されたこともあり、我々も次のステップに行こうということで、現在は前向きな休止状態で、JVP 2.0に向けて再始動すべく準備しています。そのため、ここでご紹介するのは、2025年までのミッション、ビジョン、ストラテジーであることをご了承ください。

JVPは「都市と地方をつなぎ、新たな人流を生み出し、日本に生気を吹き込む」ことをミッションとして、多拠点で生きることが当たり前である社会を実現し、2050年までに関係人口を2,000万人創出しようとしています。2021年に青空留学の事業を始め、そこからだんだん大きくなり、2024年以降はメンバー200名を超えるコンソーシアムとして運営しています。

このJVPのコミュニティとしての役割は、「都市と地方をつなげる同志が出会い・まざり・意志に火をつける焚きつけ場」です。この共創の場づくりで何をやってきたかというと、我々はふだん、仕事外で人と出会う機会があまりありませんが、世の中には自分たちと同じ想いで面白いチャレンジをしている方たちがたくさんいます。そういったふだんの生活では交わらない人たちをかき混ぜる場をつくっています。

ほぼ毎週水曜日、昼休みにオンラインで、JVPの構想を実現するための会議を開催しています。これまで全120回、いろいろな土地のゲストを呼んで事例を発表してもらい、我々がどのようにコラボできるのかを学んできました。SNS等も活用しながら、各社の取り組みの成果や反省点といったナレッジを共有する場をつくりました。そこで生まれたプロジェクトを、まずはスモールな協業体制からスタートさせて、そのあと拡大させていくということを、JVPの取り組みに限らず、メンバー同士でどんどんやってもらいます。発信活動では、JVPを通して知った各地域の活動事例を集約して、関係人口創出に関わる政策提言等に向けて発信していくことを目指しています。政策提言した以上は、民間としてその制度をしっかりと活用し、関係人口創出をどんどん進めていこうとしています。

JVPを通じて生まれた共創事例①:青空留学

「青空留学」はJVPと同時に生まれた事業です。雨風太陽との共同企画で、JALは移動手段とJAL社員というアセットを提供し、雨風太陽には地域に飛び込むマインドや受け入れ先の生産者を紹介してもらいます。ふだん一次産業の現場に触れることの少ない大学生が、地方の生産者のもとに留学するのですが、大学生だけでは不安なので、JALの社員も一緒に留学します。

これがかなりディープで、1週間ほど現地に滞在して帰って来て、2、3か月後にまた1週間行くという形で、年間延べ30日ほど現地に行きます。秋田県にかほ市の漁師さんのところでは、底曳網漁を体験しました。夜中の12時に出港し、4時間かけて沖に出て行って、朝日が昇るとともに網を投げ入れて漁をして夕方に帰ってきます。日本海の荒れた海の上で16時間、学生もJAL社員も船酔いに耐えるという、かなり過酷な体験でした。よく「魚の価格が高い」と言いますが、これを体験すると、まず「魚」が「お魚さん」になります。漁師さんがどういう思いで漁をやっているのか、どういった工夫をされているのかを知ると、価格に対する見方も変わります。留学生の一人は、プログラム修了後も定期的に秋田に通うようになり、もう一人は全国の漁港を旅して発信活動をしています。

JVPを通じて生まれた共創事例②:W-PIT能登復興事業

私の能登との出会いは2023年の11月でした。上司の勧めでワーケーションプログラムに参加し、里山の暮らしを体験しながらテレワークでJALの仕事をしたのですが、そこでどっぷりと魅力にはまりました。ワーケーションを終えて、何か能登とコラボしたい、青空留学ができないかと思っていた矢先に、地震が起きました。

1月中旬に現地に入り、炊き出しや支援物資の輸送などをしながら、いま能登で起きていることをJVPで共有していると、JVPの仲間もそれぞれのタイミングで能登に来てくれました。東日本大震災の教訓から、これから能登はどう復興計画を作っていくべきかという勉強会を、JVPのネットワークを通じて東日本の方々にご協力いただきながら開催しました。それが能登復興事業ユニットにつながっています。

なぜJALの就航がない能登なのかというと、やはり能登には日本らしい循環が濃く残っています。自然豊かな里山里海、それに根差した生業、そして祭礼神事の文化、こういった日本らしさが詰まっています。ただ、地震前から人口が減少していて、それが地震によってさらに減ってしまい、抱えていた地域課題が露呈してしまっています。そこに取り組むことは、20年後、30年後の日本の地域に向き合うことです。当然それは、日本人にとっても、JALにとっても他人ごとではありません。

事業として、しっかりユニット方針を定めて進めています。初年度は地震があって豪雨もあり、状況が刻々と変化するなかで、事業計画を立ててそれを遂行するということはできませんでしたが、JVPのネットワークを活用して、いろいろな方に視察に来ていただきました。また、株式会社ウニベル代表の横山さんとコラボして、大学生が1泊2日で来るフィールドワークを実施したり、コミュニティの中でいろいろなカンファレンスを開催されている方と連携して都内のイベントで能登について発信したりしました。

JVPのこういった活動が認められて、インバウンドサミット2024でソーシャルインパクト賞をいただきました。現在も、「教育/研修事業」「コミュニティ運営」「伴走支援」「発信・PR」という分野に分けて、事業戦略に取り組んでいます。引き続き青空留学も実施しながら、ウニベルとのフィールドワークプログラムを実施したり、その知見を活用して都内の大学に能登に関する事業を提供したり、実はNTT東日本とも、企業研修という形で連携させていただいています。

これができているのも、我々がJVPを核に活動してきたからだと思います。私が社内でこういった活動をしていると、みんなからボランティアに行きたいという声があがってボランティアチームが立ち上がったり、能登出身東京在住の方々が能登ヨバレ@TOKYOというグループを作っているのですが、その立ち上げメンバーの方と連携したりもしています。こういったコミュニティを持っていると、いざ事業を始めた時にすごく進めやすいですし、本質的な事業を進められると感じています。

最後に、こういった一連のJVPの活動、能登での活動を通じて、企業人として考えていることをお話しします。

よく「創造的復興」と当たり前のように言いますが、私はこの言葉に疑問を感じています。創造的復興という言葉には、人口減少や過疎高齢化の課題を未来に向けて解決していくという未来発展的なイメージがあります。これを時間軸でとらえ直すと、過去にあった課題を未来で解決して、発展していくという志向だと思います。

私が2年間に100回ほど能登に通った結果、この人たちは本当に人口減少を止めたいのか、それをすればみんな喜ぶのか、という若干の疑問を持ちました。もしかしたら、いま能登で求められているのは、過去の自分たちが生きてきた生き様や、それを代々受け継いできた歴史、そういった能登らしさを尊厳として受け継いでいくことではないでしょうか。

これを企業に置き換えてみると、企業は、自分たちの歴史は大事にしつつも、過去よりも未来を見据えて成長し、どんどん利益を上げて株主に還元していくという経済的発展志向です。人口が増えていた時期までは、この志向でよかったのかもしれません。いま日本の人口が減ってきているなかで、このままでいいのか、すごく疑問に感じています。現在は十分に成熟していますが、一方で、いろいろな社会課題が頻発しています。そのなかで、ただ儲けを求めるのではなく、いろいろな社会課題を一つひとつ解決していくことこそが、我々が今後提供しなければならない価値なのではないか。つまり、成熟した現在において、再成熟していくことが大事ではないかと思います。これはJALだけでは成し得ないことなので、引き続きJVPの能登の仲間、そして皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。


「交流」と「共創」が続くコミュニティとは?
大企業コンソにおける共創の仕組みから地域コミュニティ活用のヒント

PRESENTER:菅波 紀宏氏

自己紹介(丹青社、最近の地域における活動の紹介)

私は、株式会社丹青社のマーケティング・サステナビリティ統括部長と、株式会社point0(ポイントゼロ)の取締役副社長という2つの立場で仕事をしています。point 0は大企業コンソーシアムをやっている会社で、この大企業コンソーシアムの仕組みを地域コミュニティに活用できたら面白いのではないかということで、きょうは情報提供させていただこうと思います。

丹青社は、品川に本社を置く総合ディスプレイ企業で、80年の歴史があります。「空間づくり」で課題を解決することを生業に、「商業空間」「ホスピタリティ空間」「パブリック空間」「イベント空間」「ビジネス空間」「文化空間」という6つの空間分野で、調査・企画から、デザイン・設計、制作・施工、運営までを手掛けています。丹青社のソリューションのひとつに「地域創生の支援」があり、私が所管している部門の中に地域創生支援室を設けて、地域課題の解決も丹青社のスコープとしてとらえています。

そのなかで今、竹中工務店と一緒に長野県塩尻市と木曽町に合板工場を造っています。森林資源を活用しようというとき、太い木だけが売れてしまうと森林が持続的にならないので、未利用材で資源と経済の循環をつくろうとしています。木曽ヒノキの小径木を使った合板を作る工場を、廃校や中古の機械を利用して、なるべくサーキュラーな形でできないかというところを、竹中工務店と一緒に考えています。大企業と地域が一緒に事業を起こして、それが都市圏で使われるという流れができれば、それが丹青社のサステナビリティ、地域貢献になっていくのではないかと思います。

point 0について

point 0は大企業共創コンソーシアムですが、会社にしたところがユニークです。ダイキン工業とオカムラが大株主となり、パナソニックや丹青社なども出資して、2019年に設立しました。「未来の働き方を再定義する」というテーマで、メンバーが集まっています。丸の内に拠点となるスペース「point 0 marunouchi」があり、約1,000m2、総席数220席、WELL認証のプラチナランクを取った素敵な空間です。現在は、企業17社と4大学、全部で21の組織が参画しています。いまは自治体も募集していて、地域とも連携していくコンソーシアムにしていこうとしています。

point 0のコアコンセプトとして、コミッティ制度を設けています。プラチナメンバーになるには数千万円の出資が必要なので、ものすごくコミットしている集団です。また、自分たちで場をつくり、そこで検証していきます。共創するメンバーが常にそこにいます。外部の人にも使ってもらって、すぐに感想をもらえることで改善活動が進んでいきます。さらに、せっかく会社があるので、point 0での事業化を目指しています。point 0で事業をつくると共創メンバーにもお金が流れるので、そうすることで共創を促進していこうとしています。年に1回、必ず成果報告をします。こういった共創ではうやむやにしがちですが、楽しく遊んでいるだけではないということを、ステークホルダーにきちんと伝えていくことが重要です。年1回、アニュアルレポートを書籍として発行し、各社の役員を呼ぶイベントを開催してがんばっていることを伝えています。

結果として、実証実験が126件、事業化したものが現在25件あり、比較的打率の高いコンソーシアムではないかと思います。最近は共創コンサルティングもやっていて、どうすれば共創がうまくいくのかを、場づくり、仕組みづくりも含めて支援しています。

たとえば、羽田空港が中心となったイノベーション施設terminal.0 HANEDAは、point 0が企画段階から共創コンサルを行い、開業後も施設運営をやっています。terminal.0が目指す“ありたい姿”は「人のこころを動かすために、空港が出来ることのすべて」です。未来の空港の実現に向けて、参画各社が連携・実験・検証して、それを羽田空港に導入し、地方や世界の空港にも展開することで事業化します。それをterminal.0が主体となって推進していくという仕組みです。開設から18か月で51件の実証実験を行い、3件が事業化されました。そのひとつが、iino(イイノ)という自動モビリティで、HICITY(羽田イノベーションシティ)での実証実験を経て、羽田空港に導入されました。

大企業コンソにおける共創起点で考える地域コミュニティでうまくいく共創のヒント

こういった経験から地域コミュニティに役立つものがないかということで、ヒントを3つ考えてみました。

1点目は、自走するコミュニティを形成することです。point 0がお勧めするのは、人任せ型ではなくて自走型のコミュニティです。誰かにお願いすればいいではなくて、自分たちで走っていきます。人任せ型は、とりあえず情報収集できればいい、参画して満足する、自分ごとではない、受け身でアウトプットをしない。この人に相談すればいいと、強力なコミュニティマネジャーなどの特定の個人に頼ってしまうのも、人任せ型だと思います。

自走型は、ビジネスでつながります。コミュニティは楽しいだけではダメで、やはりビジネスでつながっているから、参加し続けることに意味があります。もともと農村などのコミュニティは、生きていくためのビジネスとして必要だったわけで、それがコミュニティの起源です。また、アウトプットの機会を設けていく。そして、きちんと仕組みと機会を考えてネットワーキングしていく。こういったコミュニティが重要です。

では、どうすれば自走型コミュニティができるかという構築の要件をまとめてみました。

先ほどビジョンをしっかりつくっているという話がありましたが、やはりコミュニティではそういったものが重要です。自走する、自分ごととして自分から動いていこう、となるには、共感する何かが必要で、そういったものが軸になります。

ピラミッドがありますが、最初にやるのはネットワーク基盤で、とにかく知っている人を増やしていくための活動です。このフェーズでは、中心となる人が一人いるところからスタートしてもいいと思います。それが深化していくと、コアメンバーが何人か育ってきます。自走のフェーズになると、コアメンバー同士で横連携しはじめて、自分たちで勝手に活動していく自走型のコミュニティができます。

これを、先ほどご紹介したterminal.0でもやりました。2024年2月に開業して、最初の半年間はパーティーざんまいでした。みんなでバーベキューをやったり、運営が介在して、とにかく楽しいことをやりました。その後、事業に近いイベントの形に移して、コアになってくれる人たちを焚き付けて、「自分たちのイベントをやってください」とやってもらうところがセカンドステップになります。2025年5月以降は、「こういうことをやりたい」と事務局に言ってくるようになり、自分たちで勝手にイベントをやってくれるような状態になりました。そうすると、運営の介在が減ってきます。

point 0では、隔週、2〜3時間のコミッティ会議をやっています。その中で企業や人を紹介し、ワーキンググループをつくって、さらに濃厚につながっていくような仕組みにしています。参画企業のアサヒビールが最近、ノンアルを使ったコミュニケーションの「スマドリ(スマートドリンキング)」を提唱しています。オフィススマドリのいいところとして、お酒を飲めない方も楽しく過ごせるし、女性や若い方にも多く参加してもらえます。お酒だけだと、正直イツメンになってしまうところがありますが、そうならないための仕組みとして取り入れています。

コミュニティを長くやっていると、立ち上げメンバーがだんだんいなくなり、「先輩が異動したので来ました」という人も増えてきます。そういったメンバーにどうやって主体性を持たせるかというと、半期ごとのコミュニティを盛り上げるイベントを、強制的に指名してやってもらいます。すると、自分たちがコミュニティに貢献しているという感覚を持てて、やっている人の大変さもわかるので、イベントの参加率が高くなります。なかなかうまくいかなかったのは部活動で、日本酒部は、日本酒が大好きな部長さんがいた時は盛り上がったのですが、その方が忙しくなった途端に停滞しました。やはり個人に頼るとダメだということで、軽いイベントは運営側で巻き取ってやっていくようにしています。

2点目は、異なるタイプの人材を集めることです。コミュニティに参加する人の強みが重なり合うときに共創が生まれるのですが、そのとき必要な力が3つあります。

  1. Connect|人をつなぐ力 人を自然につなげる、場をあたためる、価値を接続できる
  2. Create|構想する力 価値を言語化できる、事業仮説を描ける、可能性を見つける
  3. Execute|実行する力 期限を守る、やり切る、プロジェクトを前進する

こういった強みがあるといいのですが、ただ共創には1つだけではダメで、2つ以上持っている人材が複数いることが重要です。人をつないで構想できる人は、共創を生むハブになって、意味のある接続ができる人。構想できて実行できる人は、0→1だけではなく、1→10までやってしまうような感じで、初期のところで一気に事業までもって行くような人。人をつないで実行ができる人は、営業のような人。こういう人が複数いるといいなと思います。

なぜ複数かというと、共創というのは、ふだんやっている仕事と違って、フェーズが曖昧です。会社ごとでも違うので、越境させるためには2つ持っていることが潤滑油になります。また、共創プロジェクトが始まるのは偶発的だったり、同時多発的だったりするので、力のある人が何人かいないと止まってしまうことがあります。人事異動や退職でキーマンがいなくなってしまうこともあるので、そういう意味でも複数いたほうがいいと思います。

3点目は、3年以内に小さくてもビジネスにつなげることです。共創プロジェクトが消える3大要因を挙げると

  1. キーマンが退職する/人事異動する
  2. 経営が変わる/首長が変わる
  3. 優先順位が変わる/経営計画の見直し

共創というのは、とにかく人の熱量が重要なので、こういったことが起きる前にやりきることが非常に重要だと思って、3年以内と言っています。こういったことが起きても、何か事業が起きていたり、お金が動いていると止めないことが多いので、そういった意味で、PoC(Proof of Concept)をゴールにするケースがよくあるのですが、やはりそこは少なくともお金が発生するPoB(Proof of Business)までやっていこうということです。お金が回っていれば、キーマンがいなくなっても継続するような合理性があったり、本業から意味があったと言われたり、組織や地域に価値として残ったりしていくのではないかと思います。そういうことから、3年以内に小さくてもビジネスにつなげていくということが、ヒントになると考えています。


交流と共創が“続く”コミュニティの設計とは
―地域×企業×個人をどう持続的につなぐか―

PRESENTER:石川 貴志氏

共創の入り口は、経済合理性や儲けの筋が見つかりにくいところからスタートするケースが多くて、会社を動かそうとしても、「いつ、いくら儲かるのか?」に即答できない状態から始まるのではないかと思います。特に社会課題や地域課題は、そもそも儲からない「式」の状態で地域に転がっていることが多くて、それでも関わりたい、解決したいという個人の力が初期のエネルギーになって、その式の書き換えから始まるというのが入り口ではないかと思っています。その辺りも含めてきょうはご紹介します。

組織概要―Work Design Labとは

一般社団法人Work Design Lab(ワークデザインラボ)は、創業して13年目になります。メンバーは現在約270名、年齢は20代から70歳、全員本業を持っている方たちです。ほかに私が大学の講義を持っていることもあり、毎年20〜30人の学生が入れ替わりながら手伝ってくれています。職種は7割ほどが会社員です。

2011年に震災が起きたとき、東北出身の方は皆さん、会社から命令されなくても内発的な動機で動きはじめたのではないかと思います。会社の枠組みではやりづらい活動を、社会的に何かやりたいと思った時に、ここに持ち込んでやっていただいています。たとえば、ご家族に障がい者がいる方は、本業は大きなメーカーでの事業開発ですが、土日に障がい者雇用のNPOをお手伝いされています。そういうとき、ここに来れば仲間が見つかります。本業は生活を担保するために必要ですが、障がい者支援は、本人にとっては人生の宿題みたいなもので、絶対やりたいことです。そういったパワーを集めて、13年前に4人で始めました。いまは270人に増えましたが、全員知っていてお友達です。北海道から沖縄まで全国で活動しています。

実は私も13年間のうち9年間は会社員をやりながら、Work Design Labを創業して経営してきました。4年前に会社を辞めて、今はこちらが本業です。ビジョンは「イキイキと働く大人で溢れる社会、そんな大人を見て子どもが未来に夢を描く社会を創りたい」です。

私は新卒でIT会社に入社して、その後人材会社で事業開発、2010年から上場会社の事業再生の仕事をやっていました。その中で2011年に震災が起きたことが転機になりました。お世話になった方が被災されて、私も現地に行きました。その頃は子どもが一人いて、今は3人いるのですが、やはりボランティア活動というのはお金と時間に余裕がある人しか続けられないところがあります。私の妻からすると、「復興とか言う前に子育てをしてほしい」という空気になってしまうので、その辺のバランスをどう取るか。せめて東北に行く交通費だけでも回るような箱があると便利ではないかと、いろいろな事業をつくって、お金が回ってきたらそれを交通費に当てるということをやっていました。関わってくれる方がだんだん増えてきて、活動も広がっていき、震災の2年後にWork Design Labを設立しました。それでお金を儲けようというより、みんなが社会的な活動をするときに、必要な費用が回るような仕組みとしてWork Design Labという箱をつくり、だんだん人が増えていったという感じです。何か特定のサービスがあるわけではないので、これをやりたいという方がテーマを持ち込むとプロジェクトが始まります。なので「事業づくり」「人づくり」「社会づくり」という3つのテーマでやっています。

全国の12か所にオフィスを置かせていただいて、鹿児島と長崎では地域の事業会社と共同で会社を設立し、民間どうし連携しながら地域の産業振興をやっています。Work Design Labには大企業勤務の方もたくさんいるのですが、あくまで個人として地域に入っていくので名刺が使えません。個人として入っていくと結構怪しまれるのですが、地域の産業界に入って、産官学金という、地域における信頼の塊のような方たちにサポートしてもらえると、その肩を借りて、本業と同じようなエネルギーで地域に入っていくことができます。

私自身、事業開発領域が長いのですが、コミュニティの活動も事業開発と同じ3層構造で考えています。簡単に言うと、一番上のビジネスをつくりたい。ただ、いきなり新規事業は生まれません。たとえば、プロジェクトを10個ぐらいつくっても、全部うまくいくことはほぼないので、1、2個うまくいったら、そこにさらに人やお金を投資していくという感じだと思いますが、プロジェクトを仕立てた時点で、筋のいいものと悪いものがあります。プロジェクトを仕立てた時点で0点だと、そこから100点に到達するまで何年かかるかわからない。「芽がないね」となってしまうので、たとえば50点からスタートすると、100点まで早く駆け上がっていけます。

交流と共創が続くコミュニティの設計とは

なぜ“つながる”のに“続かない”のかは、結構大きなテーマです。個人に頼りすぎて、その人がいなくなったら終わる、作ったSlackなどのオンラインツールが形骸化する、みんなを元気にさせるコミュニティマネジャーが疲弊するという本末転倒の状態になることもあります。

我々のコミュニティは「仲良くなる場」ではなくて、「何かを生み出す装置」なので、これを、個人の内発的な動機をうまくドライブさせるような形で、コストは下げて目的に早くたどり着けるように設計します。自分一人でやろうとすると0点からだけれど、仲間と一緒にやれば50点からスタートできて、半分の期間でビジネスまでいけるとなると、やはり関わってくれるので、なるべくコストを抑えながら何を提供していくかを設計します。

これをひと言でいうと、コミュニティが続くかどうかは「インセンティブ設計」で決まります。地域・企業・個人にとって何をインセンティブとするかと考えるとき、同じ個人という括りでも、会社のミッションを帯びて地域の新規事業を探している人と、能登出身で個人的に能登のために何かしたいという人では、インセンティブをどう返すかが変わってきます。とにかく何を持って帰るかをしっかりと設計することです。

たとえば会社員だと、生活費は一応担保できているので、金銭的な報酬よりも、自己実現や学びといった報酬のほうが喜ぶかもしれません。この辺りをうまく設計しながら、負担は減らしていきます。たとえば、皆さん、コミュニティの会議で議事録を取りたいわけではないと思うので、我々のコミュニティの中の人にアウトソースして、会議が終わったら議事録が送られてくるという仕組みを10年前から環境整備しています。

最初に「式の書き換え」と言いましたが、社会課題や地域課題は儲からない式の状態で転がっていることが多いので、その書き換えが必要になります。儲からないかもしれないけれど、それでも取り組みたいという個人の情熱の一部を借りながら、動かしていく。「式の書き換え」からするということがすごく重要だと思います。

ちょっと冷たく聞こえるかもしれませんが、我々のコミュニティの運営の原則は、「強制しない」「期待しない」です。休んでもいいし、離れてもいい。ただ、復活しやすい構造にしています。実際、「子どもが高校受験なので、1年間お休みします」というママさんが、受験が終わったら完全復活してきて、今はいろいろな地域のプロジェクトリーダーをやってくれています。

大企業を動かすには、社長ならともかく、個人の想いはあまり効果がありません。すごく簡単に言うと、組織を動かすのは金と政治。経済的にどう儲かるか。また、たとえば事業部長が昇進するために必要なピースをどう提供するか。そういう感じでうまく組織を動かさなければなりません。自治体も0→1はできないと思います。議会から「初めてなのに本当に成功するのか」と突っ込まれて、「やってみないとわかりません」では承認が下りません。だから、0→1は個人の熱量と民間主導で生み出し、1→10で大企業・自治体と連携するという役割分担が現実的だと思います。

繰り返しになりますが、交流と共創が続くコミュニティにするには、「インセンティブ設計」をして、それだけではだんだん疲弊してくるので、「痛みの除去」、つまり、いつでも休める、あまりコストをかけない、会議に参加しなくてもいい、遅刻しても中座してもいい。ただ、ビジネスとして持続可能にしなければいけないので、「式の書き換え」をして、最後に「役割分担」します。ビジョンに近づいてきてくださっても、ファンクションを提供しないと、「では、何をやればいいのですか」となるので、ビジョンで近づいてきた後にファンクションを提供することが、持続可能なコミュニティへのすごくいいポイントになると思います。


パネルディスカッション・質疑応答

プロジェクトの関係人口を増やす

伊藤
内容がすごく濃くて、このPaletteという場にも活かせることがありそうだと思いました。上入佐さん、他のお二方の話題提供を受けて感想や質問があればお聞かせください。
上入佐
僕は気合と根性とパッションで、それこそアウトプットも何も求めずにフィーリングでやっていますが、お二人の話は、コミュニティがどうあるべきかが体系立てられていて大変勉強になりました。僕がお聞きしたいのは、やはりどうやったらコミュニティが継続していくかというところです。
菅波
point 0では「とにかく社内関係人口を増やそう」と言っています。知らない人が一番、文句を言うので、知っている人が増えれば、応援してくれる人も増えます。共創に関係のない部署の人たちを巻き込んでいくために、各社の総務を集めて総務会をやったり、マーケティングを集めたり、デザインのチームを集めたりして、こういうコミュニティがあることのベネフィットを理解してもらうようなイベントを、いろいろなレイヤーでやります。従業員のレイヤーでもやりますし、これは日程調整が大変なのですが、役員が全員集まる日を設けています。そうやって上からも、社員みんなからも応援してもらえる環境をつくっていくと、コミュニティの応援者が増えて、力を持つコミュニティになっていき、それが持続にもつながっていくのではないかと思います。
石川
丹青社さんは社員も多いので大変だと思います。こういう活動に親和性がない、疑り深い役員ほど来てくれないし、来ない人ほど事実誤認からの攻撃が止まないということがあります。イツメンにならないように広げていく工夫が何かありますか。
菅波
point 0 marunouchiという場があるので、そこをサテライト的に自由に使ってもらっています。「自由に来てください。会議をしてもいいし、金曜日にはお酒が出るので飲みに来てください。何だったら会議の後にお酒も出します」と、あの手この手です。人事の研修に使ってもらったり、共創をやっている企業に入りたいという学生も多いので、内定者にちょっと来てもらう場としても使ってもらっています。
石川
実弾的メリットですか。かっこいいオフィスとお酒という実益があると、ロジックを超えて集まりそうです。

メンバーの熱量差と関係性の濃淡をどう埋めるか

石川
私は「強制しない」「期待しない」と言いましたが、これは持続させるための大切なポイントだと思っています。実はWork Design Labは社団法人と株式会社を持っています。強制しないけれど、逆に盛り上がりすぎてみんな本気を出してくることがあります。緩やかにやっていて急にスピードが上がると、中にいる遅い人がストレスになるので、プールのレーンを分けるような感じで、速いチームは株式会社側に移ってもらって、そっちでギュギュッとやってもらいます。それで疲れてくると、ちょっと休みましょうよと社団法人に戻ってゴロゴロしてもらう。出たり入ったり、休んだり走ったりを行き来するようなことを実験的にやっています。
もうひとつ、会社ではリーダーシップだ、巻き込み力だと言われますが、地域に行くと、初動は「巻き込まれ力」のほうが、後からすごく効いてくるという気がします。巻き込まれ力を発揮しやすい環境として、とにかく友達をつくる。さっきの飲み会ではないですが、無理せずに友達をつくるような環境整備をしています。
伊藤
ちょうどSlidoに、「コミュニティへの参画に濃淡が生じてしまうのはしようがないのか」という質問が来ています。薄いメンバーを巻き込むコツや、皆さんが巻き込まれやすくなるための環境づくりなど、石川さんが意識されていることはありますか。
石川
強制しないコミュニティなので、実際に休む人がいます。1年間、2年間、5年間休んでもいいのですが、皆さん「貢献できてなくて申し訳ない」と気が引けてしまいます。5年休んでメッセージをくれるというのは、本当に勇気がいると思うので、「帰ってきてくれてめちゃくちゃうれしい」と、しっかり抱きしめます。とにかく帰ってくることが重要なので、心理的なハードルをなくして、出入り自由な空気をつくってあげることが重要だと思います。
もうひとつ、私の目線からすると270人、みんないい人で、手伝ってほしい人というより、応援したい人たちです。だから、たとえば、能登で何かやりたいという話があったら、能登出身だけれど関わり方がわからないという大学生を紹介してつないであげる。力を借りるというより、どう手伝えるかという感じです。手伝える瞬間が見つかったら声をかける、そういう感じでいいのかなと思っています。
上入佐
JVPも本当に緩くやっています。欠席が続いていても、あえて声をかけることはしませんし、皆さん本業を持ちながら関わってくれているので、いろいろな事情があると思います。僕もそこで出会ったパワフルな方たちに巻き込まれて、今も続いています。

コミュニティの効果測定と可視化

伊藤
緩くやっているとはいえ、ステークホルダーが多いと、どれだけ効果があるのかという説明を求められる場面もあるかと思います。「コミュニティの効果測定・評価の尺度をどう考えたらいいか」という質問が来ていますが、菅波さん、いかがでしょう。
菅波
point 0では何でも可視化しています。各企業持ち回りのイベントをやるとき、集客や配信は事務局で手伝うのですが、企画は各社に任せています。何人がメールを開いて、何人が応募して、何人がアンケートに答えてくれて、その満足度が全体の平均と比較してどうだったかなど、2週間に一度の会議で全体にフィードバックします。それを出席者で話し合って、イベントの質を上げていく努力をしています。
また、point 0 marunouchiの中でよく実証実験をやるのですが、そのとき皆さん相互に被験者になってもらいます。誰が何に参加したのかを事務局で全部チェックしていて、もし参加していなかったら、「最近、実証実験に参加してくれていないので、声かけしてくださいね」と伝えると、皆さん真面目なので参加してくれます。
丹青社の社内では、取り組みをどうやったかという30枚ぐらいのレポートを年に1回出しています。なかなか読んでもらえないのですが、サマリーだけは経営会議で報告しています。事業に対してどういう貢献をしたのか、コワーキングスペースとしてpoint 0に来た人が全従業員の何パーセントで、何時間使われて、それを金額換算するとこれぐらいのメリットになりますと、全部可視化して何でも言えるようにしておこうということを、社内でもコミュニティの中でもやっています。

ツールの形骸化、コミュニティマネジャーの疲弊問題

伊藤
石川さんは、続かない原因に「ツールが形骸化する」「コミュニティマネジャーが疲弊する」という問題を挙げていました。この辺りを解決するために、Work Design Labでは何を使ってどういう工夫をしているのですか。
石川
ツールは形骸化しないようにチューニングしながら、という感じです。我々はNotionを使って可視化しています。コミュニケーションツールとしてはSlackとFacebookメッセンジャーです。日本の場合、LinkedInの上陸が遅れて、メッセンジャーがビジネスSNS化しているので、ビジネスの話もメッセンジャーで来ることが多いです。ただ、メッセンジャーは検索性が悪いので、しっかりと予算がつく国のプロジェクトや実証事業では、セキュリティが高くて検索性が高いツールを指定されることもあります。可視化以外のツールはチームリーダーに任せることが多いです。
疲弊する問題は、Work Design Labではチームでやることを必須にしています。本業で切れ味鋭い技を持っている人で、この地方の案件は一人でチャチャッとできてしまうという場合でも、何かあった時に大変なので、「100%力を出さないで、30%をマックスにしてください」という話にして、3〜4人のチームにすると、学習者席ができます。いま地方の医療機関の財務責任者を4人のチームで6年ぐらいやっていますが、たとえば、大学院で財務を学んだ方でも、リアルな財務諸表をどう見て、どう銀行と交渉してファイナンスを引き出すかは、銀行員でもない限り経験がないと思います。専門家をチームにすると、ベンチャー企業のCFOと、銀行員と、メーカーの財務では、財務諸表のどこに引っかかるかが微妙に違うので、すごく勉強になります。これはマーケティングでも同じで、全体設計がうまい人、動画制作に強い人、SNSマーケティングに強い人という、専門性が近い3人がチームを組むと、実践編の教室です。仕事は楽になるし、学びという報酬も返せるので、こういうメリットを高めてコストを下げるチームにすることは、持続可能性のベースだと思います。コミュニティマネジャーにも近いものがあります。
伊藤
そのチームをつくるというのは、Work Design Labにはいろいろなプロジェクトがあると思うのですが、毎回どのようにチームを編成されているのですか。
石川
チームリーダーが誘うときに、得意技があるからと全然知らない人を入れてしまうと、お互い疑心暗鬼になってしまう可能性があるので、友達が友達を誘うような状態にすると結構うまくいきます。仮に菅波さんのチームだとすると、ディベロッパーの人など、本業のほうでもつながってメリットがありそうな人を紹介してあげると、仲良くなって友達になるという感じです。交流会が増えて、友達が増えてくると、皆さん誘いやすくなります。一応、先にできる人を担保するのですが、それ以外の学習者席は仲のいい人たちにどんどん入ってもらいます。

Paletteと共創の場に期待すること

伊藤
きょうはお三方にお越しいただいて、たくさんの学びがありました。最後にひと言ずつ、Paletteへの期待やアドバイスをお願いします。
上入佐
企業の方が多く参加されていると思いますので、それも意識して発言させていただきます。
いま心の中でやりたいと思っていることがあれば、ぜひやってみましょう。僕が大事にしているのは、「やり始める」「やり続ける」「やり切る」ことです。しんどい時もあると思うので、やはり仲間が必要だと思います。会社にはなかなか理解されないかもしれないですが、大丈夫です。会社は2年後、3年後についてきます。僕も青空留学を始めた時は大ブーイングでした。でも2年後には会社の中期経営計画に入りましたし、3年後には支社支店から「うちでもできないか」となりました。きょうの話を聞いて何か思った方は、自信を持ってやり続けましょう。このPaletteというコミュニティは、本当に素敵だと思いました。つらくなったらぜひ、僕はもちろんですし、ここは皆さんウェルカムだと思うので、ぜひ一緒にがんばっていきましょう。
菅波
社会人になると、学生に比べて友人をつくるハードルが上がってしまいます。会社の同僚も頼りになりますが、会社以外のコミュニティで、ビジネスも話せたりプライベートも話せたりという、そういった場を自分の中に設けておいて、そのなかで関係性ができて、ビジネスもできたら最高だと思います。この場をお借りしながら、そういった関係性づくりができるといいと期待しています。
石川
仲間を増やすのも、社内でプロジェクトの関係人口を増やすのも、やはりベースは、いろいろな方々と触れてつながっておくことだと思います。一方で、それを全部一人でやるのは大変なので、コミュニティを重ねていくのがいいと思いました。
もうひとつ、ハードルを下げるという観点で、我々も4月にバーベキューの大きめのイベントをやります。食べたり飲んだりはみんな好きなので、新しいことを考えたい人が集まれば、楽しい時間を過ごすなかで、意外ときっかけが見つかることがあります。さっきの巻き込まれるということもあるので、とにかくハードルを下げて出会っていくことが必要だと思います。
最後に、共創というテーマは、簡単なようで難しいと思っています。社会はもう少し優しい方向に向かっていくと思うのですが、今は経済性で、すごく働かなければいけないので、スピードが上がって、どうしても興奮度が高くなります。興奮度が高い状態で、自分が長く信じてきたことと違う意見を言われると、「なに言ってんの!」と一蹴して終わりですが、ゆっくりした時間の中で、相手をおもんぱかる優しさがあると、「ちょっとそっちの意見も考えてみようか」と一拍置ける。その間があると、共創が始まるのかなと思っています。時間が遅いところに入り口がありそうな感じがするので、ハードルを下げて、時間もちょっと緩めて、共創をつくっていけるといいと思いました。
伊藤
あっという間でしたが、ここでパネルディスカッションのパートを終わりとします。あらためてお三方に大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

メンバー紹介

  • 伊藤 将人

    Masato Ito国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)研究員

    地方移住定住や関係人口、交流人口など地域を超える人の移動と、持続可能なまちづくり/地域振興に関する研究や実践、政策立案に携わる。近年は、移動の社会学をテーマに、移動から世界/社会を考える研究にも力を入れている。

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