【参考】

1.出品作家と作品例

アンナ・リドラー《モザイク・ウイルス》2019年 リアル

この作品は、世界初のバブル現象とされる、1630年代のオランダで起こった「チューリップ・バブル」と呼ばれる、チューリップの球根の価格の急騰と暴落に想を得て制作されています。

リドラーは、そこに現在の暗号通貨の投機との類似性を見出し、機械学習によるイメージ生成モデルを使用して、チューリップのイメージをビットコインの価格によってコントロールし、時間とともに変化させることで市場の変動を示し、その関係を明示しています。

タイトルは、チューリップのみが感染するモザイク・ウイルスによって生まれた変種が、爆発的な人気と価格の高騰を生み出したことに由来しています。

マヌエル・ロスナー 新作 リアル、オンライン

マヌエル・ロスナー《Surprisingly This Rather Works》 展示風景、ケーニッヒ・ギャラリー、2020年(参考図版)

コンピュータ・グラフィックスによるカラフルなバーチャル彫刻を、デジタル写真として現実空間に介入させるシリーズの作品を制作します。

現実の展示空間とそっくりなバーチャルな展示空間を作り、現実世界には存在しない作品を仮想空間で展開し、私たちの現実とバーチャルな世界との関係性を表現しています。

建築物のイメージに巨大なバーチャル彫刻作品を合成し、仮想の公共空間での制作を行うなど、リアルとバーチャルを連動させる展示を行っています。

細井美裕《Lenna》2019年 リアル

撮影:木奥恵三

この作品は、NHKが開始した8K衛星放送における音声の制作・伝送規格である、22.2チャンネルサラウンドのフォーマットで制作された、声のみを素材にした空間的な音楽作品です。

展示においては、無響室の特性を生かした独自の再生環境で、立体的な音場を体験できるようにしています。

  • *無響室でおひとりずつ体験していただく作品のため、予約制です。予約方法につきましては、後日ICCウェブサイトにてお知らせいたします。(2019年度オープン・スペース展示作品/継続)

原田郁(オンライン・アーティスト・イン・レジデンス) リアル、オンライン

「多層世界の中のもうひとつのミュージアム」展示風景(ICC、2021年) 撮影:木奥恵三

コンピュータ内に自身で制作した3DCGの架空の世界を立ち上げ、その仮想世界と現実世界を往来しながら、その仮想世界の中の風景を絵画作品として制作しています。

今回は、絵画を制作する現実のアトリエを、仮想世界の中の作家のアトリエと重ね合わせてオンラインで公開します。また、公開制作のプロセスをさらに仮想空間にフィードバックすることで、絵画と仮想世界の風景が変化していきます。

今年度より開始した、ICCのオンライン・プラットフォームでのレジデンス・プログラムで、会期を通じて、随時制作が行われます。

emolingual リアル

《emoilngual keyboard》2019年

emolingualは、2019年に結成された、絵文字にまつわる創作活動や開発を行うプロジェクトです。これまでに、絵文字を入力するための専用キーボードや、入力された文章に対して文脈に合致した絵文字を自動で推定し提案する入力インターフェイスを開発してきました。

絵文字は、現在では「emoji」として世界中の人に使われ、その流行は文字コードの国際基準であるユニコードの普及にも大きく寄与したと言われています。emolingualは、その活動を通して、言語としてのemojiのさらなる可能性を探究しています。

など

2.関連イベント

会期中には、アーティストや有識者を招いたトーク、レクチャー、シンポジウム、ワークショップ、作品解説ツアーや、国内外からゲストを招いた催しなど、さまざまなプログラムを予定しています。