【参考】

1.出品作家と作品例

荒牧悠あらまきはるかリアル、オンライン

《ポヨンペロン》2018年 Photo: Masaki Ogawa  (参考図版)

「風が心地よい日、生垣の葉の中にやたらと揺れている葉が一枚ある。揺らしている要因が風だけではないような揺れ方をしていて、とても気になる。しばらく眺めていると、葉柄が細くなっていることに気がついた。周りの交通の振動もその細い葉柄を通じて葉をおおげさに揺らすのだろう。もうすぐ枝から落ちるのかもしれない、まさに葉が落ちる瞬間に立ち会おうとしているのだと気持ちが高まった」(荒牧悠)

荒牧悠は、太さが違うだけで思いがけない動きを引き起こす構造のヴァリエーションや、見え方の印象を作る図と地の関係などに関心を持って制作を行なっています。ほんのわずかな違いで意外な効果を生んでいる出来事は、案外身の回りに溢れているものですが、その効果をあえて作り出すには、手元で確かめて、間違えたり、その差や違いを見つけたりしながら、試行錯誤を繰り返すことが必要となります。その過程を自分で実験しながら、「こうすればこうなるだろう」というような予測やすでに持っている想像を押し拡げるきっかけが見つけられるような展示を行ないます。

小鷹研究室(名古屋市立大学)こだかけんきゅうしつ なごやしりつだいがくリアル、オンライン

佐藤優太郎、石原由貴、小鷹研理、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科小鷹研究室《蟹の錯覚》2018年-

名古屋市立大学大学院芸術工学研究科の小鷹研理研究室では、「からだの錯覚」を中心テーマとして、新しいメディア空間における新しい〈からだ〉のかたちを模索しています。「からだの錯覚」を実際に体験してみることや、新しい「からだの錯覚」を考案することを重視し、認知心理学における重要な概念である「身体所有感(ある身体が自分の身体である、という感覚)」に対する理解を軸に、種々の心理実験から所有感を変調させるための必要条件を吟味しています。また、VR技術を積極的に導入し「具体的に体験可能なインタラクション装置」のなかで設計された〈からだ〉のリアリティを様々な尺度で検証しています。

今回の企画では、小鷹研究室が発表した、特別な材料や道具を用いずに手軽に「からだの錯覚」を即席に体験することができるオンラインでのワークショップや、リアル展示では、体をモノのように錯覚する体験装置などを展示します。

小光こみつ

《Wander in Wonder》2018年

何かが起こることへの期待感や、どこに何が隠されているのかを見つける楽しみを感じる、ゲームのような感覚で作品世界の中に引き込まれてしまう3つのアニメーション作品です。

《here AND there》2017年  *リアル

傘をさわると何になるかな?犬の鼻をつかむと何がおこる? 画面じゅうをタッチして海と家と街ののんびりとした1日を行き来してみよう。アニメーションにインタラクションの連鎖を密かに仕込み、探ることの楽しさがより一層感じられるものになっています。

《Wander in Wonder》2018年 リアル

迷子になったうさぎが家に帰るまでを見守る、インタラクティブなアニメーション作品。すこしずつ夜に近づいてしまう中、不思議と花や草たちは帰る道を示してくれる。プレイした後、観客が道に生える小さな植物のことや子供の頃の記憶をふと思い出せるような作品として制作されました。

Coffee Dogs《you understand kawaii》2021年 オンライン

散歩する犬たちに「かわいい」と声をかけてみよう。 小光と薄羽涼彌(うすはりょうや)からなるゲーム制作チーム Coffee Dogs による作品。日常の微かな幸せをゲームとして体験することができます。

正直+臼井達也しょうじき+うすいたつやリアル、オンライン

正直 2019年のパフォーマンス 撮影:鹿+関真奈美

2016年、小林椋と時里充によって結成されたパフォーマンス・ユニット。養生テープをモーターで巻き取る。テープは芯からモーターの軸に巻き取られる際、糊の剥がれる音を発したり、空間的に引き伸ばされたりします。パフォーマーは黙々と作業を進める中で生じる微細な物の状態を観察し、調整を繰り返しながら、その音や空間をチューンナップしていきます。

今回は、ゲストとして臼井達也が参加。会場と遠隔地からオンラインでの共演を試み、配信、ライヴ・パフォーマンス、アーカイヴによるインスタレーションを展開します。

渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)わたなべじゅんじ えぬてぃてぃこみゅにけーしょんかがくきそけんきゅうじょリアル、オンライン

「わたしたちのウェルビーイングカード」2021年 (参考図版)

現在のコロナ禍は、リモート中心へと生活様式が変化するなかで、誰もが、一人ひとりの多様な幸せ(ウェルビーイング)を見つめなおす機会となっており、特に子どものウェルビーイングを高めることの重要性が指摘されています。NTTの研究所では、主に人間情報科学の観点から、ウェルビーイングにつながる心理的な要因の解明やその機序についての研究に取り組んでいます。

今回出品する《「わたしたちのウェルビーイング」未来日記》では、子どものウェルビーイングの学びに向けた取り組みとして、ウェルビーイングを感じる様々な状況が書かれたカードを使います。これらの状況は人との関係性によって4つに分類され(I・WE・SOCIETY・UNIVERSE)、カードの裏面に分類が記されています。このカードを使って、身の回りのウェルビーイングを見つけ、日記のように記録していくワークショップなどを行ないます。

  • 展示体験企画、カードロゴデザイン:駒?掲(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
  • 学術アドバイス:村田藍子(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

2.特別展示

東京工芸大学 色の国際科学芸術研究センター

大海悠太研究室 リアル、オンライン

森山剛研究室 リアル会場でのイベント

ライゾマティクス(特別参加) リアル、オンライン

企画監修:阿部一直、野口靖

協力:株式会社アブストラクトエンジン

東京工芸大学「色の国際科学芸術研究センター」は、2016年に設立され、東京工芸大学のルーツである写真、印刷、光学といった学問分野に根差し、工学部と芸術学部とに共通する研究テーマとして「色」を取り上げた、国内の大学で唯一の「色」の国際的な研究拠点です。「色」の研究成果を、写真、映像、拡張現実、プロジェクション・マッピング、CGなどの最新のメディア・アートの手法によって情報発信を行なっています。

大海悠太研究室おおがいゆうたけんきゅうしつリアル、オンライン

《カオティックヴィデオフィードバック》2019年

カメラをスクリーンに向けて撮影し、その撮影した映像をまたスクリーンに出してループさせると、合わせ鏡のような映像になることが知られています。この作品では、ループをする毎に高速計算PCによって全ての画素にカオス写像を用いて色を変換しており、映し出されている自分が徐々に変わっていく様子を見ることができます。また、色の変換のパラメータをチューニングすることで、映像の様々な変化を探索することができます。

ライゾマティクス 新作インスタレーション リアル、オンライン

3. 関連イベント

子どもたちの「もっとよく知りたい」に応えるための各種イベントを実施予定です

レクチャー

小光

「小光とあそばnight! ICC出張版」

8月15日(日)午後2時 ICC ギャラリーA

配信あり

パフォーマンス

正直+臼井達也

8月3日(火)午後6時 オンライン

8月21日(土)午後2時 ICC ギャラリーA

配信あり

最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp新規ウィンドウで開く)などでお知らせします。