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1.事業の概況

情報通信市場では固定・移動ブロードバンドを活用した様々な機器の普及・浸透に加え、クラウドサービスやAI※1、ビッグデータ※2、IoT※3等の技術の進歩による新たなサービスの登場を通じて、人々の生活における利便性や各産業における生産性の向上等、幅広い変化が起きています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や安心・安全な社会システムの運営等、情報通信の役割はより重要となってきており、こうした動きは世界的な広がりを見せています。

地域通信市場においても、ブロードバンドサービスにおける競争の激化に加え、多様な無線端末を利用した新たなサービスの拡大、それに伴うお客様の利用用途の多様化、データ通信量の増加によるオフロード※4ニーズの伸長等、大きく変化してきています。

当社は、このような厳しくかつ激変する事業環境の中で、情報通信産業の責任ある担い手として、コンプライアンスを徹底し、公正競争条件の厳格な確保に努めるとともに、経営基盤の安定・強化を図りつつ、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供、災害に強い通信ネットワークの構築、大規模自然災害等の際の迅速な復旧等の取り組みを通じて社会的インフラとしての信頼性の確保に努めてまいりました。

また、新しいサービス・商品の提供ならびにお客様にとって“使いやすい”、“より長くご利用いただける”料金メニューの提供等を通じて、ブロードバンド環境の充実と更なる利用層拡大に努めてまいりました。

①光・IP系サービス推進に向けた取り組み

ブロードバンドサービスにおける競争が激化する中、「フレッツ光」※5の普及拡大や継続利用の促進、また、お客様ニーズへの対応に向けて、当社より光アクセスサービス(フレッツ光)等の提供を受けた事業者様が、自社サービスと光アクセスサービス等を組み合わせて、新たなサービスをお客様へ提供する「光コラボレーションモデル」の取り組みを強化しました。

「光コラボレーションモデル」については、新規参入事業者様を積極的に開拓し、支援することによる新規需要創出とリテンション強化、関連するオペレーションの早期安定運用と効率化の促進に努めてまいりました。

「光コラボレーションモデル」をご活用いただいている事例については、株式会社飯田ケーブルテレビ様との協業により、当社が提供する「フレッツ光」または光コラボレーション事業者様が提供する光アクセスサービスを利用して、株式会社飯田ケーブルテレビ様が提供する放送サービスを視聴できるサービス「飯田ケーブルテレビ&フレッツ光」を2016年4月27日より提供開始いたしました。

同様に、狭山ケーブルテレビ株式会社様との協業により、「さやまケーブルテレビ&フレッツ光」を2017年3月25日より提供開始いたしました。

これに加え、HEMS※6を活用した家電制御、「フレッツ・VPNゲート」を用いた次世代警備ネットワークの構築、その他、学習塾、介護等、様々な業種の事業者様とのコラボレーションにより、様々な分野でのICT利活用促進を図った結果、「光コラボレーションモデル」は、470社を超える事業者様にご活用いただいており、「光コラボレーションモデル」の光アクセスサービス(コラボ光)契約数が2017年1月29日に500万を突破し、光アクセスサービス「フレッツ光」・「コラボ光」の契約数は固定電話施設数を上回り2016年10月31日に累計1,100万契約を突破いたしました。

②ソリューションビジネスの取り組み

企業等のお客様に対し、業界や業態等に応じた特性やニーズに応じた新たなサービスやソリューションを提供し、ブロードバンドサービスの普及拡大、ICT利活用促進に取り組みました。

  1. ⅰ.

    企業のお客様向けのWi-Fiサービスについては、サポート付き簡単Wi-Fiサービス「ギガらくWi-Fi」を提供中でありますが、外出先や自宅等からモバイル端末を通じてオフィスLANへの接続が可能となるリモートアクセス装置と、その導入から運用までのサポートを組み合わせて提供する「リモートアクセスオプション」、アクセスポイントにLANケーブル経由で給電するLAN給電装置とそのサポートを提供する「LAN給電オプション」を2016年4月1日より提供開始いたしました。

  2. ⅱ.

    クラウドサービスについては、ネットワークカメラの映像をリアルタイムでモニタリングでき、録画データをいつでもどこでも閲覧・確認ができるクラウド型カメラモニタリング・録画サービス「ギガらくカメラ」を2016年4月25日より提供開始いたしました。

    また、クラウド上でアプリケーションを簡単・セキュアに利用したい企業のお客様向けに、インターネットを経由せずにクラウドサービスへ接続する機能と、アプリケーションサーバをパッケージ化し、従量課金制にて提供するサービス「クラウドゲートウェイ アプリパッケージ」を2016年9月1日より提供開始するとともに、信頼性の高い閉域ネットワーク経由でクラウドサービスを利用したい企業のお客様向けに、当社が提供するフレッツ・VPNサービスからクラウドサービスへの接続を可能とする定額制のネットワークサービス「クラウドゲートウェイ クロスコネクト」を2016年10月11日より提供開始いたしました。

    さらには、インターネットに不慣れなシニア層等に自社サービスの展開を図りたい企業のお客様向けに、タブレット端末のより直感的な操作を実現する大きなボタンを用いた初心者向けポータル機能や、オンラインショッピングサイト等への自動ログイン機能等のプラットフォームを提供するほか、電話サポート・遠隔サポートを提供するクラウドサービス「かんたんタブレットサービス」を2016年6月28日より提供開始いたしました。

  3. ⅲ.

    基本的なICT環境をまとめてご用意したいという要望に対しては、インターネット回線・Wi-Fi環境・セキュリティ対策に加え、ICT環境に関する相談窓口や24時間365日の故障受付対応等のサポートメニューをひとまとめにした、「まるらくオフィス」を2017年3月31日より提供開始いたしました。

  4. ⅳ.

    業界に特化したサービスについては、介護事業者様向けにロボットメーカー各社が提供するコミュニケーションロボットを活用して、会話機能やカメラ撮影機能等のアプリケーションサービスをクラウド上で提供するクラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」を2016年9月1日より提供開始いたしました。

    また、家庭等の電力利用情報を利活用したサービスを実現するため、HEMSサービス提供事業者様からHEMS情報を集約し統一されたデータ形式に変換した上で、HEMS情報利活用事業者様に提供するプラットフォームサービス「HEMS情報コネクト」を2016年10月14日より提供開始いたしました。

  5. ⅴ.

    地域課題の解決に向けては、先端技術を使った新たな映像体験や観戦スタイルの提供、スポーツを契機とした地域全体の活性化に向けた取り組みとして、NACK5スタジアム大宮にて、ICTを活用した、「スマートスタジアム」サービスを2016年7月2日より提供開始いたしました。

    また、東京都様からの委託により光エリア化されていない「東京都島しょ5村6島」をつなぐ海底光ケーブルの整備・保守等を2016年5月から開始しており、今後、光ブロードバンド環境を「観光」「教育」「エネルギー」等の分野で活用し、ICTによるまちづくりの推進に貢献してまいります。

③事業運営体制の状況

当社は、電気通信サービスを狙ったサイバー攻撃への一層の対応強化をめざし、電気通信設備に関わる平時・有事の一元的な対応を実現するため、設備部門である「ネットワーク事業推進本部」内に「ネットワークセキュリティ推進室」を設置いたしました。

④CSRの推進に向けた取り組み

当社は、情報通信サービスの提供を通じて、地球環境に優しく、社会の健全で持続的な発展に寄与していくことを企業の社会的責任と認識し、CSR活動をNTT東日本グループにおける事業運営の重要な柱の一つと位置づけ、豊かな社会の実現に向けた各種サービス、ソリューションの提供に加え、ⅰ国民生活に欠かせない重要なインフラとしての高い安定性と信頼性の確保、ⅱ公正競争の確保、個人情報保護、適正な広告表示、労働者派遣をはじめとした各種法令等の遵守、ⅲ社会全体の環境負荷低減に貢献する情報通信サービスの提供や省エネルギー化・省資源化、節電による環境負荷軽減等、様々な社会的課題の解決等に取り組みました。

これらにあたっては、「NTT東日本グループがめざしていく姿」を明確にしたうえで、「NTTグループCSR憲章」(平成18年6月制定)の更なる浸透、CSR活動における重要テーマ毎に設定した「KPI」※7に基づくPDCAサイクルの実践等、情報通信のリーディングカンパニーに相応しいCSR活動を牽引するための取り組みを展開してまいりました。

具体的な取り組みの事例としましては、2016年8月に発生した台風10号に伴う豪雨により、川の氾濫、橋の崩落等が発生し、光ケーブルが多数切断となりましたが、マルチヘリコプターの活用や迅速な光ケーブルルートの設計・切替により、早期に復旧いたしました。

また、災害時における通信手段を確保するため、自治体等と協議し、「災害時用公衆電話(特設公衆電話)」の事前設置を進め、当事業年度末施設数は、前年同期比0.9万増の4.0万台となり、台風10号による災害時においても、お客様に安心・安全をお届けできました。さらには、防災ソリューション等の提供を通じ、自治体様と共同で災害に強い街づくりをめざしております。

さらには、当社の電報サービスにおける対象台紙の売上の一部寄附を通じて、仙台市様が実施する「ふるさとの杜再生プロジェクト」の推進について覚書を締結するなど、自然環境保護活動の推進にも取り組みました。

なお、「NTT東日本グループCSR報告書2016」を発行することにより、ステークホルダーへの情報開示にも積極的に取り組みました。

⑤営業収益等の状況

以上の取り組み、およびコスト削減を行い、営業収益は1兆6,722億円(前年同期比2.9%減)、営業利益は1,891億円(前年同期比16.9%増)、経常利益は2,044億円(前年同期比17.9%増)、当期純利益は1,496億円(前年同期比26.0%増)となりました。

  • ※1Artificial Intelligenceの略。人間の脳が行っている知的な作業をコンピューターで模倣したソフトウェアやシステム。
  • ※2インターネットの普及やコンピューターの処理速度の向上等に伴い生成される、大容量のデジタルデータ。
  • ※3Internet of Thingsの略。今までインターネットに接続される事のなかったモノがインターネットに接続されていく概念のこと。
  • ※4通信量の増大により発生する通信速度の低下や繋がりにくさを解消するため、負荷を分散すること。
  • ※5「フレッツ 光ネクスト」、「Bフレッツ」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光WiFiアクセス」の総称(「光コラボレーションモデル」を含む)。
  • ※6Home Energy Management Systemの略。エネルギーの「見える化」と一元管理を実現する、家庭で使われるエネルギーを管理するシステム。
  • ※7Key Performance Indicatorの略。重要業績評価指標。目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと。