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1.事業の概況

情報通信市場では、ブロードバンド化・グローバル化の進展、固定と移動の融合、IoT※1の拡大やクラウドコンピューティング※2の進展、スマートフォン・タブレット型端末等の高速無線・Wi−Fi※3対応の浸透、無料の通話やメッセージ通信を実現するアプリケーションの普及等により、従来の枠組みを超えた構造変化が進展しております。

地域通信市場においても、光化を中心としたブロードバンドサービスでの設備競争およびサービス競争の激化に加え、多様な無線端末を利用した新たなサービスの拡大、それに伴うお客様の利用用途の多様化、データ通信量の増加によるオフロード※4ニーズの伸長など、市場環境が大きく変化しております。

当社は、このような厳しくかつ激変する事業環境の中で、情報通信産業の責任ある担い手として、コンプライアンスを徹底し、公正競争条件の厳格な確保に努めるとともに、経営基盤の安定・強化を図りつつ、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供・災害に強い通信ネットワークの構築・大規模自然災害発生時の迅速な復旧をはじめとした社会的インフラとしての信頼性の確保に努めてまいりました。

また、次世代ネットワーク(NGN)を活用した新しいサービス・商品の提供ならびにお客様にとって“使いやすい”・“より長くご利用いただける”料金メニューの提供等を通じて、ブロードバンド環境の充実と光アクセスサービスの更なる利用層拡大に努めてまいりました。

①光・IP系サービス推進に向けた取り組み

ブロードバンドサービスにおける競争が激化する中、「フレッツ光」※5の普及拡大や継続利用の促進、また、お客様ニーズへの対応に向けて、新たなサービスや「光コラボレーションモデル」を提供しました。

  1. ⅰ.

    「フレッツ光」の新たなサービスとして、昨今の動画コンテンツの充実やクラウドサービスの普及等を受けて、お客様がより多くの通信をご利用される機会が増加してきているため、これまでの「フレッツ 光ライト」と比べて従量課金区間を大幅に拡大した、新たな二段階定額料金の「フレッツ 光ライトプラス」を2016年3月1日より提供開始いたしました。

    また、「フレッツ光」を一層安心してご利用いただくことを目的に、「フレッツ光」に接続された機器の故障・破損等に対する安心機器補償サービス「なおせ〜る」を2016年1月20日より提供開始いたしました。

    さらに、「フレッツ光」をより多くのお客様にご利用いただけるよう、新たにご契約いただいたお客様を対象とした「ギガ推し!割引」「フレッツ 光ライト もっとライトに!割引」などの割引キャンペーンを実施いたしました。

  2. ⅱ.

    当社より光アクセスサービス(フレッツ光)等の提供を受けた事業者様が、自社サービスと光アクセスサービス等を組み合わせて、新たなサービスをお客様へ提供する「光コラボレーションモデル」について、新規参入事業者様を積極的に開拓し、支援することによる新規需要創出とリテンション強化、関連するオペレーションの早期安定運用と効率化の促進に努めてまいりました。

    「光コラボレーションモデル」は、事業者様が光アクセスサービス等を自社ブランドとして手軽にお客様に提供することができるモデルとして、現在、300社を超える様々な業種の多くの事業者様からご活用・サービス提供されており、光アクセスサービス(コラボ光)の契約数は2016年3月に300万を突破いたしました。

    「光コラボレーションモデル」をご活用いただいている事例としましては、株式会社飯田ケーブルテレビ様が、長野県飯田市、下伊那郡での提供エリア全域で、光コラボレーション事業者様または当社が提供する光アクセスサービスを活用した放送サービスを提供することができるようになりました。

    また、株式会社飯田ケーブルテレビ様は、光アクセスサービスを活用したお客様へのサービス拡充による地域活性化促進を目的に、当社と協業していくことになりました。

    今後も様々な業種の事業者様とのコラボレーションにより、あらゆる分野でのICTの利活用促進に貢献し、当社だけではカバーしきれなかったお客様に対しても広く付加価値を提供していくよう努めてまいります。

②ソリューションビジネスの取り組み

企業等のお客様に対し、業界の特性や動向を踏まえた業界特化型ソリューションの提供等、ICT利活用の推進により地域のお客様に喜んでいただけるよう、営業活動を展開しました。

  1. ⅰ.

    企業のお客様向けには、帯域保証・高信頼・低遅延といった従来の専用線と同等の品質を安価に実現したイーサネット通信サービス「ビジネスイーサ プレミア」を2015年12月21日から提供開始いたしました。

    また、クラウドを利用し情報を一括管理、配信することで、オフィス内やロケーション間の円滑な情報共有を図るオフィス向けクラウド型サイネージサービス「ギガらくサイネージ」を2015年9月1日より提供開始するとともに、従来のPBXやビジネスフォン等の通信機器が備えた内線通話機能等に加え、スマートフォンなどの多様なデバイスでロケーションを問わず無料で内線電話を利用できるクラウド型PBXサービス「ひかりクラウドPBX」を2016年1月21日より提供開始いたしました。

    業界に特化したサービスとしては、教育分野のお客様向けに、タブレットや電子黒板などを用いた授業等において活用できる学習支援アプリケーションをクラウド型で提供するサービス「おまかせ教室」を2015年4月27日より提供開始するとともに、学習塾・予備校・学校やカルチャースクール等におけるオンライン学習に必要な機能をワンストップで提供するクラウド型学習プラットフォームサービス「ひかりクラウド スマートスタディ」を2015年11月13日より提供開始いたしました。また、製薬業界・金融業界等のお客様向けには、医師やお得意様などへの映像による情報配信・共有のニーズに応えるクラウド型映像配信プラットフォームサービス「ひかりクラウド スマートビデオ」を2015年11月13日より提供開始いたしました。

    さらに、訪日外国人の増加等を受けて、自治体や商店街等では観光拠点などに自ら公衆Wi-Fi(街Wi-Fi)をいち早く整備しようとする動きが広がっており、当社としてもこれに応えるため地域密着の営業体制を活用し、街Wi-Fiの整備や運用のサポートを行いました。

    中堅中小企業のお客様向けには、お客様の利用頻度が高い「Word」・「Excel®」・「PowerPoint®」 の文書を「フレッツ・あずけ〜る」上で直接編集することができるクラウドサービス「MS Office Online on あずけ〜る」を、「フレッツ・あずけ〜る」のオプションとして2015年4月15日より提供開始いたしました。また、「オフィスまるごとサポート」の新たなラインナップとして、タブレット・スマートフォン等の端末情報の管理や各種機能の制御等をクラウドで行えるサービス「スマートデバイスマネジメント」を2015年4月7日より提供開始するとともに、スマートフォンを活用して業務効率化を実現するクラウドサービス「αUC」を2015年12月16日より提供開始いたしました。

  2. ⅱ.

    お客様のマイナンバー制度への対応をサポートする商品として、当社の多彩なサービスを組み合わせて提供することや他社と協業することで、マイナンバーの情報収集や情報管理などをワンストップで対応できる「おまかせマイナンバーパック」を2015年9月30日より提供開始いたしました。

    マイナンバー制度の導入に関する他社との協業事例としましては、当社が提供するセキュリティ対策サービスと東京海上日動火災保険株式会社様の提供する情報セキュリティ保険の組み合わせにより、中小企業のマイナンバー(社会保障・税番号)対応に向けたセキュリティ対策を連携して支援していくこととしました。

    また、「フレッツ・あずけ〜るPROプラン」にオンライン上に保管しているデータファイルへのアクセス記録が自動収集できる機能等を2015年8月6日より追加することで、マイナンバーの情報管理が可能となりました。さらに、マイナンバー制度等を通じた企業活動におけるセキュリティ対策意識の高まりや、サービス利用料の低廉化を求めるお客様の声にお応えするため、「オフィスまるごとサポート(ITサポート)」を2016年3月7日よりリニューアルし、セキュリティ機能等の拡充、月額利用料値下げ等を行いました。

③事業運営体制の状況

当社は、コンシューマ中心の事業構造をビジネス分野・光コラボレーション分野中心の事業構造に転換するため、コンシューマ分野から強化分野へ積極的な人材のシフトを実施し、コンタクト機会の少ないお客様に対する新たな営業手法(ICTコンシェルジュ)によるアプローチ強化や、光コラボレーションモデル事業者様を積極的に開拓・支援する体制の整備に取り組みました。

また、設備の保守エリア見直し・ブロック化によるアクセス系設備運営業務の効率化に取り組みました。

④CSRの推進に向けた取り組み

当社は、情報通信サービスの提供を通じて、地球環境に優しく、社会の健全で持続的な発展に寄与していくことを企業の社会的責任と認識し、CSR活動をNTT東日本グループにおける事業運営の重要な柱の一つと位置づけ、ⅰ国民生活に欠かせない重要なインフラとしての高い安定性と信頼性の確保、ⅱ公正競争の確保、個人情報保護、適正な広告表示、労働者派遣をはじめとした各種法令等の遵守、ⅲ社会全体の環境負荷低減に貢献する情報通信サービスの提供や省エネルギー化・省資源化、節電などの環境負荷軽減に取り組みました。

さらに、災害時用公衆電話(特設公衆電話)については、災害等緊急時における通話ニーズに対応するため、法令に基づき都道府県知事が指定した避難所および都市部における帰宅困難者対策拠点に設置を進め、当事業年度末の施設数は、前年同期比0.6万台増の3.1万台となりました。

これらにあたっては、「NTT東日本グループがめざしていく姿」を明確にしたうえで、「NTTグループCSR憲章」(平成18年6月制定)の更なる浸透、CSR活動における重要テーマ毎に設定した「KPI」※6に基づくPDCAサイクルの実践など、情報通信産業の責任ある担い手として相応しいCSR活動を牽引するための取り組みを展開してまいりました。

取り組みの事例としましては、復興支援活動の一環として、被災地の農産物を優先的に仕入れ社員食堂で提供したり、福島での雇用創出やバイオディーゼルとしての活用等を目的にひまわりの種を育てて送る「福島ひまわり里親プロジェクト」への参画や、津波により更地となった宮城県東松島市の海岸に新たな防災林を作る植樹活動を実施いたしました。また、障がい者スポーツの普及・強化を目的として、「書道アート電報(夢・つなぐ)」の電報商品の売上額の一部を公益財団法人日本障がい者スポーツ協会に寄附いたしました。

なお、「NTT東日本グループCSR報告書2015」を発行することにより、ステークホルダーへの情報開示にも積極的に取り組みました。

⑤営業収益等の状況

以上の取り組み、およびコスト削減を行い、営業収益は1兆7,223億円(前年同期比2.4%減)、営業利益は1,618億円(前年同期比47.3%増)、経常利益は1,734億円(前年同期比42.1%増)、当期純利益は1,187億円(前年同期比70.7%増)となりました。

  • ※1Internet of Thingsの略。今までインターネットに接続される事のなかったモノがインターネットに接続されていく概念のこと。
  • ※2ネットワークを介してソフトウェアやハードウェアなどを提供するサービス形態。お客様はサーバーなどのハードウェアやソフトウェアを購入(所有)することなく、サービスとして必要なときだけ必要なだけ利用可能。
  • ※3Wireless Fidelityの略。無線LAN機器が、他の機器と問題なく接続できる互換性を備えていることを認定するブランド名。現在ではWi−Fiに対応した機器同士による無線LAN環境自体を示した用語としても使用。
  • ※4通信量の増大により発生する通信速度の低下や繋がりにくさを解消するため、負荷を分散すること。
  • ※5「フレッツ 光ネクスト」、「Bフレッツ」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」、「フレッツ 光WiFiアクセス」の総称。(光コラボレーションモデルを含む)
  • ※6Key Performance Indicatorの略。重要業績評価指標。目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと。