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1.事業の概況

当事業年度における世界経済は、米国が堅調に推移し、欧州にも持ち直しの兆しが見られたものの、中国などの新興国経済の減速により、総じて成長は緩やかなものとなりました。わが国経済は、政府などの政策効果などを背景として、内需を中心に緩やかな回復が続きました。

情報通信市場においては、ブロードバンド化・グローバル化の進展、固定と移動の融合、クラウドコンピューティング※1やテレビのスマート化の進展、スマートフォン・タブレット型端末等の高速無線・Wi-Fi※2対応端末の浸透、無料の通話やメッセージ通信を実現するアプリケーションの普及等により、従来の枠組みを超えた構造変化が進展しております。

地域通信市場においても、光化を中心としたブロードバンドサービスでの設備競争およびサービス競争の激化に加え、多様な無線端末を利用した新たなサービスの拡大、それに伴うお客様の利用用途の多様化、データ通信量の増加によるオフロード※3ニーズの伸長など、大きく変化しております。

当社は、このような厳しくかつ激変する事業環境の中で、情報通信産業の責任ある担い手として、各種法令および社会規範の遵守はもとより、公正競争条件の厳格な確保に努めるとともに、経営基盤の安定・強化を図りつつ、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供、大規模自然災害等の際の迅速な復旧をはじめとした社会的インフラとしての信頼性の確保に努めてきました。

また、平成24年11月に日本電信電話株式会社が策定したNTTグループ中期経営戦略「新たなステージを目指して」の実現に向け、新しいサービス・商品の提供ならびにお客様にとって“使いやすい”・“より長くご利用いただける”料金メニューの提供等を通じて、ブロードバンド・ユビキタス環境の充実と光アクセスサービスの利用層拡大に努めてきました。

<1>光・IP系サービス推進に向けた取り組み

ブロードバンドサービスにおける競争が激化する中、「フレッツ光」※4の普及拡大や継続利用の促進、また、Wi-Fi対応端末をご利用中のお客様ニーズへの対応に向けて、新たなサービスの提供を開始しました。

「フレッツ光」については、平成13年の「Bフレッツ」提供開始以来、サービスの高速化・低廉化やラインナップの拡充、各事業者様とのアライアンス等に積極的に取り組むことで光の利用シーンの拡大に努め、平成25年10月12日に1,000万契約を突破しました。

  1. ⅰ.

    新たに「フレッツ光」をご契約いただくお客様を対象とした過去最大級の割引キャンペーン「思いっきり割」については、平成24年12月の開始以降、平成26年1月末まで継続実施するとともに、平成25年10月以降については、「フレッツ 光ライト ファミリータイプ」を対象サービスに追加しました。

    加えて、単身世帯の家族間コミュニケーションを支援する取り組みとして、「フレッツ光」の請求グループ毎に月額利用料金を割引く「単身&かぞく応援割」の提供を開始しました。

    また、法人のお客様ニーズにお応えするため、通信が混み合っている場合でも安定的な通信を可能とし、高速・高品質な通信を実現する帯域優先型の「フレッツ光」の新サービス「フレッツ 光ネクスト プライオ」の提供を一部地域で開始しました。

  2. ⅱ.

    スマートテレビの普及に向けては、株式会社T-MEDIAホールディングス様が提供する映像配信サービス「TSUTAYA TV」※5を、当社の「フレッツ光」を通じてご利用できるスマートテレビ端末「TSUTAYA Stick」※6の提供を開始しました。これにより、自宅のテレビでお好みの映画やドラマ等がインターネットを通じ手軽に視聴できるようになりました。

  3. ⅲ.

    パソコン・スマートフォン・タブレット等に保存した写真・動画等の各種データをインターネット経由でオンラインストレージ※7に保存・共有したり、データを予め設定した周期で自動バックアップする「フレッツ・あずけ〜る」の提供を開始しました。これにより、屋内外のWi-Fi等を経由し、外出先のモバイル端末からも保管データの共有・閲覧ができるようになるなど、利便性向上を推進しました。

  4. ⅳ.

    店舗向けクラウドサービスとして、レジ売上管理や会計をタブレット活用により実現するタブレットPOS※8サービス「ラクレジ」の提供を開始しました。これにより、これまでの据え置き型POSレジ専用端末に比べ低価格・省スペースでPOS導入ができるようになり、加えてタブレットならではの直感的な操作性も実現するなど、利便性向上を推進しました。

    また、多様なPOP広告※9の展開を支援するデジタルサイネージサービスとして、映像・画像を活用したコンテンツや情報が、タブレットにタイムリーに表示できる「ラクPOPボード」の提供を開始しました。

  5. ⅴ.

    スマートフォン・タブレット等の普及を受け、山梨・東北全域の自治体や官庁等と協同し、観光地や商業地において外国人観光客にも対応したWi-Fi環境を整備しました。これにより、観光施設や店舗・宿泊施設が発信する情報を外国人観光客等が入手できるようにするなど、利便性向上を推進しました。また、株式会社リクルートライフスタイル様と協力し、日本有数の観光地である箱根において観光客向けに無料アプリ「たびな〜び 箱根」をトライアル展開しました。ジオフェンス機能※10により観光客は自分のいる場所に応じた観光情報や特典をスマートフォンを用いて自動取得でき、旅のプランやすきま時間がより充実する新しい旅の楽しみ方ができるようになりました。一方、観光地や店舗にとっては、観光客を店舗・宿まで誘導できるなど、新しい誘客の仕組みを実現しました。

  6. ⅵ.

    インターネットを通じた買い物が日常生活に浸透してきたことを受け、幅広い年代の方が安心・便利にネットショッピングをご利用できる「フレッツ光おトクマーケット」を「フレッツ光」ご利用のお客様を対象とした会員制プログラム「フレッツ光メンバーズクラブ」のサイト内に開設しました。これにより、会員のお客様は、協賛企業様が提供する日常生活に関わる商品を特別価格やお得な特典付きで購入できるようになり、また、当社のオペレーターが購入支援等をサポートすることで、初心者も安心してネットショッピングをご利用できるようになりました。

<2>ソリューションビジネスの取り組み

自治体・医療・教育等の分野に対し、業界の特性や動向を踏まえた業界特化型のソリューションを中心に、ICT※11利活用の推進により地域のお客様に喜んでいただけるよう、営業活動を展開しました。

  1. ⅰ.

    自治体等の分野については、大規模災害時等に職員等の安否状況が確認できる「Bizひかりクラウド 安否確認サービス」の提供を開始しました。本サービスは、東日本大震災発生時の大量アクセスなどにも安定稼動した実績あるアプリケーションを採用するとともに、震度6強の地震に耐えうる当社データセンターに設置したBizひかりクラウド基盤から提供することで、大規模災害時も安否確認や緊急連絡が安心して行えるようになりました。

  2. ⅱ.

    医療分野については、患者の治療を病院・診療所間で一体的に行う地域医療連携が重要になってきていることを踏まえ、診療所向けの電子カルテサービス「Bizひかりクラウド Future Clinic 21 ワープ」の提供を開始しました。これにより、初期導入費用を抑えつつ、手書き感覚の自由な操作性で簡単に電子カルテをご利用できるようになりました。加えて、電子カルテデータをデータセンターで一元管理・保管することで災害対策や危機管理上の備えになるなど、診療所等の利便性向上を推進しました。

  3. ⅲ.

    教育分野については、小中学校の教職員が行う膨大な校務事務の負担軽減に向け、以前より校務支援システムの導入、運用および保守をトータルでサポートしてきましたが、ご利用いただいたお客様からの要望を踏まえ、小中学校向け校務支援サービス※12「Bizひかりクラウド おまかせ校務」の提供を開始しました。校務支援サービスをクラウド型で提供することにより、初期導入費用の低廉化、システム納期の短縮化を実現し、より手軽にサービスをご利用できるようになりました。

    また、大学分野で基幹システムとして使用されている学務システム※13については、システム運用の負担軽減、コスト削減、BCP対策の観点からクラウド化へのニーズが高まっており、当社はその実現に向けて、学務システム主要ベンダーである日本システム技術株式会社様、株式会社システムディ様、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ九州様の3社と、クラウド化推進を目的とした協業に合意しました。

  4. ⅳ.

    中堅中小企業向けサポートサービス「オフィスまるごとサポート」の新たなラインナップとして、「フレッツ光」以外のインターネット接続回線をご利用のお客様向けに「ITサポート type Ⅰ」を、複合機をご利用のお客様向けに「複合機おまかせサポート」の提供を開始しました。

<3>事業運営体制の状況

事業運営体制については、急速に変化する市場環境・経営環境に対応し、タイムリーかつお客様ニーズに即したサービス提供や新たなビジネス市場の創出、更なる効率的な事業運営等を推進するため、平成25年7月に本社組織の見直しを行いました。

見直しの主な内容としては、急速な環境変化等に対応する観点から、市場別サービス開発体制を見直し、コンシューマ・ビジネスユーザ向けサービスについて開発からマーケティング(プレセールス)までを一体的に所掌する「ビジネス開発本部」を設置するとともに、更なる営業力強化・生産性向上を図る観点から、マスユーザ・SOHO向けのサービス販売等を所掌する「営業推進本部」、ビジネスユーザ向けのサービス販売・ソリューション営業等を所掌する「ビジネス&オフィス営業推進本部」、ネットワーク設備の開発・設計・構築・保守等を所掌する「ネットワーク事業推進本部」の4本部体制に再編しました。

<4>CSRの推進に向けた取り組み

情報通信サービスの提供を通じて、地球環境に優しく、社会の健全で持続的な発展に寄与していくことを企業の社会的責任と考え、CSR活動をNTT東日本グループにおける事業運営の重要な柱の一つと位置づけ、「NTTグループCSR憲章」(平成18年6月制定)を基本に、法令等遵守や環境負荷低減に向けて取り組みました。

  1. ⅰ.

    コンプライアンスの徹底、公正競争の確保、個人情報保護、適正な広告表示、労働者派遣をはじめとした各種法令等の遵守に向けては、これまで、継続的に社員の意識啓発等に取り組んできたところですが、平成25年12月に、「日本電信電話株式会社等に関する法律」における収賄容疑で当社社員が逮捕・起訴されたことから、契約業務に関わるチェックの強化や社員の意識啓発等に一層努めるなど、再発防止に徹底して取り組みました。

  2. ⅱ.

    節電に向けた取り組みとして、通信設備の電力については、通信サービスの確保を前提としつつ、昨年度と同様、最大限可能な範囲で節電に取り組みました。オフィスの電力については、これまでの節電施策に加え、シンクライアントシステムの導入拡大や照明のLED化を実施し、更なる節電に取り組みました。

  3. ⅲ.

    情報通信のリーディングカンパニーに相応しいCSR活動の展開に向けては、「NTT東日本グループがめざしていく姿」の設定、理念としての「NTTグループCSR憲章」の更なる浸透およびCSR活動における重要テーマ毎に設定した「KPI」※14に基づくPDCAサイクルの実践等の取り組みを展開しました。あわせて、これらのNTT東日本グループにおけるCSRの取り組みについて、新たに「CSR活動フレーム」として体系的に整理しました。

  4. ⅳ.

    これらCSRの取り組みについて、「NTT東日本グループCSR報告書2013」を発行する等、ステークホルダーへの情報開示にも積極的に取り組みました。

<5>東日本大震災からの本格復旧および信頼性向上に向けた取り組み

  1. ⅰ.

    東日本大震災からの本格復旧に向けては、津波被害を受けた通信ビルの高台移転など信頼性レベルを更に向上させる取り組みを進めてきました。

  2. ⅱ.

    このほか、首都直下地震等の発生に備え、自治体や自衛隊、NTTグループ等と共同で防災訓練を実施するなど、更なる連携強化と災害対処能力の向上を図りました。

<6>営業収益等の状況

以上の取り組み、およびコスト削減を行い、営業収益は1兆7,738億円(前年同期比3.2%減)、営業利益は667億円(前年同期比2.5%増)、経常利益は917億円(前年同期比3.2%増)、当期純利益は539億円(前年同期比2.1%増)となりました。

  • ※1データやソフトウェア等がネットワーク上にあるサーバー群にあり、ユーザは今までのように自分のコンピュータでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要な機能だけ」利用することができる新しいコンピュータ・ネットワークの利用形態。
  • ※2Wireless Fidelityの略。無線LAN機器が、他の機器と問題なく接続できる互換性を備えていることを認定するブランド名。現在ではWi-Fiに対応した機器同士による無線LAN環境自体を示した用語としても使用。
  • ※3他のシステムに処理を分けることで、あるシステムに対する負荷を軽減させる仕組みのひとつ。
  • ※4「フレッツ 光ネクスト」、「Bフレッツ」、「フレッツ 光ライト」および、「フレッツ光 WiFiアクセス」の総称。
  • ※5HD画質の映像コンテンツを配信するVOD(ビデオ・オン・デマンド)およびEST(エレクトロニック・セル・スルー)サービス。
  • ※6テレビのHDMI端子に接続することでVODサービス「TSUTAYA TV」にアクセス可能となるスティック型STB(セット・トップ・ボックス)。
  • ※7インターネット上でファイル保管用のディスクスペースを貸し出すサービス。
  • ※8Point of salesの略。店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステム。
  • ※9Point of purchase advertisingの略。小売店の店頭に置いたり、商品につけたりする広告。ポスターや価格カード、店内のディスプレイなど。
  • ※10スマートフォンを持っている人が地理上の境界線内に入ると、情報を受信したり、ポイントを取得したりといったダイナミックな情報取得を可能にする機能。
  • ※11Information and Communication Technologyの略。情報通信技術を表す言葉。
  • ※12小中学校の教職員の方々が職員室で行う事務処理をICT化し、これまで手書きでやり取りしていた情報資産(児童生徒情報や成績情報等)のデータベース化により業務の一元化を図り、業務効率を向上させるシステム。
  • ※13大学の学籍情報や学生の成績管理等、大学の業務に必要な処理を一元的に管理するシステムの総称。
  • ※14Key Performance Indicatorの略。重要業績評価指標。目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと。