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1.事業の概況

当事業年度における世界経済は、米国経済が比較的堅調に推移したものの、債務問題による欧州経済低迷の影響が中国など新興国を中心に波及したことで、総じて減速した状態が続きました。わが国経済は、東日本大震災からの復興需要など内需を中心に緩やかな回復基調にあったものの、世界経済の減速などを背景として、弱い動きとなりました。

その後、平成24年12月から当事業年度の終盤にかけ、新たな金融緩和政策への期待から、先行きに明るい兆しも出てきております。

情報通信市場においては、IP化・ブロードバンド化の進展に伴うネット利用の普及による広がりに加え、固定と移動の融合、クラウドコンピューティング※1やテレビのスマート化の進展、スマートフォン・タブレット端末等の高速無線・Wi-Fi※2対応端末の浸透、無料の通話やメッセージ通信を実現するアプリケーションの普及等により、従来の枠組みを超えた構造変化が進展しています。

地域通信市場においても、光化を中心としたブロードバンドサービスでの設備競争およびサービス競争の激化に加え、多様な無線端末を利用した新たなサービスの拡大、それに伴うお客さまの利用用途の多様化、データ通信量の増加によるオフロード※3ニーズの高まりなど、大きく変化しております。

当社は、このような厳しくかつ激変する事業環境のもと、情報通信産業の責任ある担い手として、各種法令および社会規範の遵守はもとより、公正競争条件の厳格な確保に努めるとともに、経営基盤の安定・強化を図りつつ、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供、大規模自然災害等の際の迅速な復旧をはじめとした社会的インフラとしての信頼性の確保に努めてきました。更に、東日本大震災からの本格復旧の取り組みや、通信ネットワークの更なる信頼性向上を目指した各種対策を進めるとともに、首都直下地震等の将来起こりうる災害を視野に入れた対策にも取り組んできました。

また、平成20年5月に日本電信電話株式会社が策定したNTTグループ中期経営戦略「サービス創造グループを目指して」の実現に向け、次世代ネットワーク(NGN※4)を活用した新しいサービス・商品の提供ならびにお客さまにとって“使いやすい”・“より長くご利用いただける”料金メニューの提供等を通じて、ブロードバンド・ユビキタス環境の充実と光アクセスサービスの利用層拡大に努めてきました。

<1>光・IP系サービス推進に向けた取り組み

ブロードバンドサービスにおける競争が激化する中、「フレッツ光」※5の普及拡大や継続利用の促進、また、Wi-Fi対応端末をご利用中のお客さまニーズへの対応に向けて、新たなサービスの提供を開始しました。

  1. ⅰ.

    新たに「フレッツ光」をご契約いただくお客さまを対象とした過去最大級の割引キャンペーン「思いっきり割」を実施しました。

    また、24ヵ月単位での継続利用をお約束いただくことで月々のご利用料金がお得になる「にねん割」について戸建向けに加え、集合住宅向けに提供を開始するとともに、「フレッツ 光ライト マンションタイプ」の月額利用料金については、より多くのお客さまにご利用いただけるよう値下げしました。

  2. ⅱ.

    スマートフォンやタブレット端末の普及を受け、アパート等の小規模集合住宅内の複数のお客さまで光回線につながった無線LANアクセスを共用いただける「フレッツ 光WiFiアクセス」の提供を開始しました。更に、「フレッツ・スポット」とモバイル通信事業者様の「モバイルデータ通信サービス」※6がセットになった「フレッツおでかけパック」の販売を開始しました。

    また、自由が丘商店街振興組合様と協同で、駅前・商店街通り・店舗を「光ステーション」等によりWi-Fiエリアとし、「フレッツ・スポット」による高速インターネット接続に加え、自由が丘商店街の情報をスマートフォン等に発信できる環境を提供することで、商店街等の魅力の向上に貢献しました。

    更に、山梨県、宮城県、長野市、青森市等の自治体や観光協会と協同で観光地、商業地において近年急増しつつある外国人観光客にも対応したWi-Fi環境を整備し、これにより、観光施設や店舗・宿泊施設が発信する情報を入手できるようにするなど、利便性向上を推進しました。

  3. ⅲ.

    これまでデジタルコンテンツ等情報サービスの扱いに限定していた料金回収代行サービス「フレッツ・まとめて支払い」について、食材や衣料など取り扱い商品を拡大し、インターネット上で物品等を販売する事業者様にもご利用いただけるようにしました。これにより、インターネットを利用して情報サービスや物品等を販売する事業者様は、クレジットカードや代金引換等の既存の決済手段に加え新たに、NTT東日本から請求するフレッツサービス等の利用料との合算請求という安心な決済手段をお客さまに提供することができるようになりました。

  4. ⅳ.

    単身世帯の方と離れた家族とのコミュニケーションを支援する新たな取り組みとして、「単身&かぞく応援アプリ(miFa:ミーファ)」の提供を開始しました。加えて、「フレッツ光」の請求グループ毎に月額利用料金を割引く「単身&かぞく応援割」の申込受付を開始しました。

    また、「フレッツ光」をご利用のお客さま向けに、写真や動画などのデータをインターネット経由でオンラインストレージ※7に格納し、共有・閲覧を可能とする「フレッツ・あずけ〜る」の提供予定時期を発表しました。

    更に、経済産業省の「平成23年度エネルギー管理システム導入促進事業(HEMS※8導入事業)」の補助金が交付される「フレッツ・ミルエネ」対応機器一式と、機器取付工事を組み合わせた「フレッツ・ミルエネお手軽パック(補助金対象)」の販売を開始しました。

  5. ⅴ.

    「フレッツ光」をご利用のお客さまを対象とした会員制プログラム「フレッツ光メンバーズクラブ」については、加入促進に努め、平成25年2月に400万会員を突破しました。

<2>ソリューションビジネスの取り組み

自治体、医療、教育等の分野に対し、業界の特性や動向を踏まえた業界特化型のソリューションを中心に、ICT※9利活用の推進により地域のお客さまに喜んでいただけるよう、営業活動を展開しました。

  1. ⅰ.

    自治体分野については、東日本大震災を契機とした重要データ保全に関するニーズの顕在化や、「所有から利用へ」というクラウドニーズの高まりを受け、当社のクラウド基盤上で仮想サーバーをお客さまにお貸しする「Bizひかりクラウド 安心サーバーホスティング」と、お客さまが所有するデータをクラウド基盤上の仮想サーバーにバックアップする「Bizひかりクラウド 安心データバックアップ」の提供を開始しました。

    また、自治体・NPO※10等からの情報配信ニーズに応えるため、低廉な料金で手軽に複数の方へ映像等の配信が可能なサービス「フレッツ・キャスト シェア」の提供を開始しました。

    加えて、ICTを活用した地域の活性化や産業の創出等について相互に連携することを目的に、公立大学法人会津大学様と連携協力基本協定を締結しました。

  2. ⅱ.

    医療分野については、異なる医療機関の電子カルテの診療情報を時系列順に結合することで、医療機関の情報連携を可能とする「光タイムライン」診療情報連携システムの提供を開始しました。

  3. ⅲ.

    日本マイクロソフト株式会社様と中堅中小企業・SOHO市場におけるICT利活用の促進に向けた協業について合意し、日本マイクロソフト株式会社様が提供するOS(基本ソフト)・アプリケーション・クラウドサービスと当社の「フレッツ光」、「オフィスまるごとサポート」といった両社の持つリソースを、デル株式会社様と連携して、デル株式会社様の最新パソコン・タブレット端末と一体化したワンストップサービスとして提供を開始しました。

<3>事業運営体制の状況

事業運営体制については、東北地方の自治体に情報通信システムを活用した「街の防災機能強化」や「街の活性化・高度化」を一元的に提案・構築するため、平成25年3月に、ビジネス&オフィス事業推進本部内に「東北ICT推進室」を設置しました。

<4>CSRの推進に向けた取り組み

情報通信サービスの提供を通じて、地球環境に優しく、社会の健全で持続的な発展に寄与していくことを企業の社会的責任と考え、CSR活動をNTT東日本グループにおける事業運営の重要な柱の一つと位置づけ、「NTTグループCSR憲章」(平成18年6月制定)を基本に、法令等遵守や環境負荷低減に向けて取り組みました。

  1. ⅰ.

    公正競争の確保、個人情報保護、適正な広告表示、労働者派遣をはじめとした各種法令等の遵守に向けては、これまでの取り組みに加え、とりわけ、平成24年3月の日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)違反容疑による社員の逮捕に鑑み、NTT東日本グループにおける「すべての職場」「すべての就労者」を対象に、NTT法の趣旨ならびにコンプライアンスの重要性についての社員教育を再徹底し、企業倫理意識の向上に取り組みました。

  2. ⅱ.

    節電に向けた取り組みとして、夏期においては全国的な電力需給状況を踏まえ、通信設備については、通信サービスの確保を前提としつつ、昨年度と同様、最大限可能な範囲で節電に取り組み、オフィスについては、昨年度と同等の平成22年度比▲30%以上のピークカットを目標に節電に取り組みました。

    また、冬期においても、北海道電力エリア等を中心に、節電に取り組みました。

  3. ⅲ.

    多様な人材を受容し活用することで、新たなイノベーションを起こし、企業力の強化を図る観点から、ダイバーシティ・マネジメントを重要な経営戦略として位置づけ、「かがやきをちからに。モチベーションをイノベーションに。」というダイバーシティビジョンのもと、社員のキャリア開発支援やワーク・ライフ・バランスの推進等、積極的にダイバーシティを推進しました。また、社員の仕事と育児の両立支援を目的とし、事業所内保育所「DAI★KIDS(ダイキッズ)初台」を本社ビル内に設置しました。

  4. ⅳ.

    これらCSRの取り組みについて、「NTT東日本グループCSR報告書2012」を発行する等、ステークホルダーへの情報開示にも積極的に取り組みました。

<5>東日本大震災からの本格復旧に向けた取り組み

  1. ⅰ.

    東日本大震災からの本格復旧に向けては、中継伝送路の信頼性確保(津波エリアを避け内陸ルート迂回、河川下越し)、倒壊・流出したビルの高台移転、浸水した通信ビルの水防対策、劣化バッテリー更改などのサービスの信頼性レベルを更に向上させる取り組みを進めてきました。

  2. ⅱ.

    「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」について、東日本大震災における教訓を踏まえ、伝言登録件数の拡大、伝言保存期間の拡大を図り、新たな機能として、携帯・PHS版災害用伝言板サービスとの連携、メールや音声による伝言登録内容の通知などの機能を追加し、「災害用伝言板(web171)」として提供を開始しました。

  3. ⅲ.

    このほか、将来の災害発生に備えた対策として、平成24年10月に休日の災害発生を想定した本社ビル等への参集訓練、平成25年2月には災害発生に伴う本社ビル機能停止を想定した代替拠点への参集・本部立上げ訓練を実施しました。

<6>営業収益等の状況

以上の取り組み、およびコスト削減を行い、営業収益は1兆8,317億円(前年同期比1.1%減)、営業利益は650億円(前年同期比29.3%増)、経常利益は888億円(前年同期比18.2%増)、当期純利益は528億円(前年同期比64.3%増)となりました。

  • ※1データサービスやインターネット技術等がネットワーク上にあるサーバー群にあり、ユーザーは今までのように自分のコンピュータでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要な機能だけ」利用することができる新しいコンピュータ・ネットワークの利用形態。
  • ※2Wireless Fidelityの略。無線LANの標準規格である「IEEE802.11a/b/g/n」を製品に搭載した際、他のIEEE802.11a/b/g/n搭載機器と相互運用が可能となるように、互換性の保証をするためのブランド名。
  • ※3他のシステムに処理を分けることで、あるシステムに対する負荷を軽減させる仕組みのひとつ。
  • ※4Next Generation Networkの略。次世代ネットワーク。
  • ※5「フレッツ 光ネクスト」、「Bフレッツ」、「フレッツ 光ライト」および、「フレッツ光 WiFiアクセス」の総称。
  • ※6携帯電話の電波を使用して、パソコン等をインターネットに接続するデータ通信サービス。
  • ※7インターネット上でファイル保管用のディスクスペースを貸し出すサービス。
  • ※8Home Energy Management Systemの略。家庭におけるエネルギー管理を支援するシステム。
  • ※9Information and Communication Technologyの略。情報通信技術を表す言葉。
  • ※10Non Profit Organizationの略。様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称。