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ICTで災害にも強い情報管理

ICTを活用した備え “シンクライアントシステム”端末にデータを残さない安全。 NTT東日本 いわき法人営業担当 矢吹 大樹 福島県大熊町 渡辺 利綱 町長

福島県大熊町は、福島第一原子力発電所の1号機から4号機が立地し、東日本大震災の発生直後から、福島第一原子力発電所の事故による全住民の避難を余儀なくされました。役場機能の度重なる移動という困難な事態をNTT東日本が提供するICTソリューション“シンクライアントシステム”の有効な活用で乗り越え、復興に向けて前進を続けます。

全ての住民の方々の避難。情報システム復旧が急務に

東日本大震災発生直後から、全ての住民の方々の避難を余儀なくされた大熊町は、会津若松市に役場機能を移転させて仮役場を開設し、復旧・復興の拠点としました。住民の安否・所在確認に加え、各種証明書の受付・発行など膨大な業務が発生し、役場職員の方々はまさに不眠不休の態勢で住民からの要望に応えていました。しかし、東日本大震災直後に大熊町から持ち出せたパソコンは数もわずか。膨大な業務に対応するためにはパソコンや通信ネットワーク環境が必須で、情報システムの復旧が急務でした。そんな仮役場の情報システムの復旧に寄与したのが、耐震性を備えたNTT東日本の通信ビルと、東日本大震災以前から導入していたシンクライアントシステムの活用でした。そもそもシンクライアントシステムを導入していた理由は大きく3つありました。1つ目は住民サービスの向上のため、情報システムの効率化・迅速化を図ること。2つ目は業務効率化によるコストの削減をめざすこと。そして3つ目はセキュリティの強化です。ICカードを活用した認証システムを導入いただき安心・安全なシステムを構築していました。

福島県会津若松市に役場機能を移転させた大熊町の仮役場

大熊町からサーバーやシンクライアント端末を搬出

役場機能の復旧のために、まずはシンクライアントシステムの再構築が必要でした。そのため、データを集約するサーバーを外部の安全な場所へ搬出・設置する必要があり、NTT東日本にその要請が入りました。要請を受け、2011年6月に避難指示区域への一時立入りが許可された際に、大熊町の担当者、NTT東日本の社員、機器搬出を手がけるベンダーの社員が大熊町役場に入りサーバーの搬出に成功。2時間という限られた時間の中で基幹系・情報系のサーバーとシンクライアントシステムのサーバー、および約80台の端末を持ち出しました。大熊町から運び出したサーバーは、NTT東日本の通信ビルに運び、耐震機能を備えたラックに設置しました。シンクライアント環境であれば、ネットワークを介して接続することにより自治体運営をサポートすることが出来ます。避難先、または新たな出張所整備の際にもリーズナブルかつ迅速な対応が可能でした。自治体運営拠点が変わる中、役場業務をシンクライアントシステムが支えることが出来たと考えています。

端末ごとのアップデート・更新が不要になり作業負担も軽減

NTT東日本のICTソリューションが復興を支える

大熊町の渡辺利綱町長は「避難されている住民からは、出来るだけ多くの情報が欲しいと要望がありますので、情報技術を使って最大限迅速に、正確な情報を伝えていけるように取り組んでいきたいと思っています。我々は避難当時より『大熊町はひとつ。皆で戻って、皆で力を合わせて復興再生を図る』ということをスローガンにしてきました。今は離れていますが、“絆”や“つながり”というものを大事にしながら、住民の心をひとつにして、これからも復興に取り組んでいきたいと思います」と語っています。また、大熊町総務課の方は、「シンクライアント環境により、複数拠点から光ネットワーク経由でサーバーにアクセス出来る環境が実現し、今後、大熊町仮役場の再移転などがあっても、セキュリティを維持しつつ、スムーズに移動することが可能になっています」と語っています。
大熊町では、“重要データこそ、データセンタで管理し活用する”そういった流れが生まれています。これからの防災の取り組みとしては、復興拠点でWi-Fiを利用したサイネージサービスが重要になってくると思います。平常時は町の案内板として利用し、災害時には避難指示や住民向けの情報提供に使えるインフラとして、活用いただけるように提案を進めていきたいと思います。大熊町は今、復興の拠点を作り、そこから町の再生を目指しています。復興計画に基づく町の基本方針と足並みを揃えながら、NTT東日本もまた伴走していきます。