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復興の中心、東北復興推進室

大規模災害に備えて 被災3県と共に歩む、東北復興推進室。 NTT東日本 東北復興推進室 大塚 健太

NTT東日本の東北復興最前線の司令塔である“東北復興推進室”は宮城県仙台市にあり、約40名のメンバーが新しいまちづくりのための通信設備工事に忙しい毎日を送っています。朝9時と夕方5時過ぎの全員による定例ミーティングでは、それぞれ日中帯、夜間帯の工事の内容、安全の確認事項が伝えられ、金曜日には同じように週末の工事予定を確認しています。東日本大震災から5年経ち、今は新しいまちづくりのための通信設備工事で慌ただしく、壁には23ヵ所の復興現場と現地事務所を遠隔カメラで捉えているモニターが並び、現場状況をリアルタイムに映像で確認しながら遠隔で会議が開ける環境になっています。

復興のフェーズ。“新しいまちづくり”のプロジェクトが進んでいる

東北復興推進室は震災直後の2011年5月に発足しました。当時は応急復旧後の本格復旧のフェーズとして、“つなぎ続ける使命を果たす”ということを至上命題に活動し、津波被害を受けた通信ビルの高台移転工事など震災前以上の信頼性確保に取り組む日々が続きました。現在は、本格化している新しいまちづくりや道路づくりに合わせて、必要な通信設備を建設・移転する復興工事が目白押しです。一旦仮の通信ルートをつくり、まちが出来てから、もう一度新しいルートでつくり直すといった仕事を中心に行っています。常時、岩手、宮城、福島の3県をまたぎ、数十の新しいプロジェクトが稼働しており、各自治体や復興事業を請け負う企業体などとの折衝、設計、工事管理、工事日程や稼動の調整など、通信設備に関わる復興工事全体を統括しています。

岩手、宮城、福島の復興のキーステーション

“新しいまちづくり”に合わせ、通信設備の工事を進める

復興は現場や地域の声を聞きながら

復興は地域によって課題がかなり異なってきています。例えば、すぐに住宅建設が高台に決まった地域もあれば、かさ上げを待つ土地もあるなど、事業の進捗に違いが出てきています。また、同じ地域内でも、工事の判断に気を配っています。現場で工事をしている中で、関係機関との定例会で直接得られる情報と併せて、そこで知り合った方々との会話や昼食時に聞こえてくる声などから、「ここはまだ少し調整が必要だな」、「こっちから工事をした方がいいかな」という生きた情報をいただいて、工事をチューニングすることもあります。これらの工事は、机上の計画だけでなく、ヒューマン・ネットワークなしには成り立ちません。単に工事をするだけでなく、積極的に地元のものを食べ、地元の人と話し、地元の空気を感じ、私たちが“通信”で出来ることは何かを考えながら、肌感覚で課題に応えていく姿勢が地域に根ざしたまちづくりには不可欠だと思います。

通信は未来に何が出来るのか?

震災当時、私はNTT東日本のグループ会社でGIS技術を使い被災状況を空中写真から把握する仕事に従事していました。その1年後、岩手支店に着任して本格復旧に携わり、それから2年後、仙台にある今の東北復興推進室に着任しました。通信サービスの使命とは、“伝えたい時に、伝えたい人に、伝えることが出来る”ということだと思います。通信を安定的に供給することに専念しながらも、復興フェーズでは、そのまちの未来のために、通信を使って何が出来るかということを私もチームも思考するようになりました。あっては欲しくありませんが、もし次に災害が発生しても、安心して使ってもらえる強靭な通信設備をつくらないといけないと思います。新しいまちが出来て、人や産業がそのまちに戻ってきてもらうためには、やはり“通信の力”というのは非常に重要です。だからこそ、私たちNTT東日本は、自治体と多くの復興事業を請け負う企業体等の方々と一緒にその地域の一員として、過去を学んだ上で、魅力的なまちを創造しないといけないと思っています。

復興が進む宮城県沿岸部

新しいケーブルをつなぐ。通信がつながっていく

その土地に戻りたい帰りたい、という一人のためにも

東日本エリア全域に対して通信サービスを安定的に提供し続けることは、NTT東日本の大きな使命の1つです。以前、復興の現場から帰るときに、「いまは首都圏に住んでいるけど、実はここが地元なんです。今日は地元が気になったので、みんなで見に来ました」と声をかけられました。会話の中で「だから、復興の仕事をされている方をいつも応援しています」と言われて、本当に嬉しく、自分たちがやっていることに自信と、もっと頑張らないと、という自負が生まれました。被災した地域にはその土地に愛着を持った人たちが沢山いらっしゃいます。大切なことは、その土地を離れたくない、いつかは戻りたいというお客さまのことを考えながら、復興の仕事をすることだと思います。戻ったお客さまがすぐに安心して使っていただける通信設備を用意しておきたい。そのことが、NTT東日本を末永くご愛顧をいただけることに必ずつながっていくと思っています。新しいまちが出来て人や産業がその土地に戻ってきてもらうためにも、やはり“通信の力”というのは、とても重要なファクターであるという意識を持ち続けることだと思います。最後は“人対人”。私たちは一人ひとりがその地域のお客さまをしっかり見る努力がいつも必要です。東北復興推進室には、若い世代が多く在籍していますので、いつもそういうことをチームとして心がけています。

“チーム”として被災地の復興に向け取り組んでいる

まちを“立体的”にイメージした設計・施工が特徴
NTT東日本 東北復興推進室 沼畑 茂

宮城県南三陸町に限らず、沿岸部のかさ上げした土地での設計・施工で特徴的なのが、“立体的にイメージする”ことです。かさ上げはブロックに区切って実施されますので、地面が一斉に10メートル近く盛り上がるわけではありません。通信設備を移設する場合も、新しく設置する場合も、高低差を立体的にイメージすることが必要です。従来、これ程の高さの変化を意識するような工事は、NTT東日本管内でも被災地沿岸部の他にはあまり例がありませんし、もちろん私も初めての経験です。災害に強い通信設備にするためにも、経験を積みながらしっかりやっていかなければならないと思っています。

かさ上げされた土地への建柱作業(宮城県南三陸町)