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第2回 島を守る通信ネットワーク

島の暮らしを知ることで島を守る

多くの島を抱える海洋国家ニッポン。島の通信を守るためにさまざまな努力が積み重ねられている。NTT東日本/西日本によると、島には、本土とはまったく違う災害対策が必要だという。

前述したように、島は島であるが故に災害時にはさまざまなリスクが複合的に襲いかかってくる。美しい自然に近接しているが故に自然の猛威にさらされやすい。荒天時には、海や空の便といった交通手段を失ってしまう。土砂災害では復旧に必要な建設機材が十分とは言えない所もある。また、高齢化が進み、災害弱者であるお年寄りの救助が課題となっている地域もあるという。こうした中で、通信網はまさしく島の"命綱"となる。

島の通信の災害対策には、さまざまな経験と教訓が生かされている。

まず、孤立してしまった島にいかに早く技術者と機材を送りこむかがポイントである。荒れた海に船を出し、技術者と機材を運ばなくてはならない。荒れた海は流木が多く、しかも猛烈な勢いで船を叩いてくる。様々な危険が予想される状況下では、チャーター可能な船を見つけることすら難しいのが現状だが、それでも協力者を探し、いざという時の出動準備を整えておく。

2003年9月の台風14号で、沖縄県の宮古島では電話回線に大打撃を受けた。1380本もの電柱が倒壊するなどして、5540回線が不通になった。本土からも復旧要員を派遣したが、続いて来襲した台風15号に阻まれ、大阪から宮古島に到着するまで6日間もかかったという。

台風災害にあたっては"先回り戦術"が取られることが多い。台風の進路を予測し、非常準備をして先に島に渡る文字通り「先回り」である。台風被害の後では、機材の搬入などに手間取り、時間がかかるためだ。また、風向きを見て被害が多発しそうなエリアを予測するノウハウもまとめられつつある。

台風に関しては、さすがに沖縄や九州の設備担当者は経験が豊富で、台風の規模に応じた準備開始時期、準備すべき機材などの蓄積されたノウハウを標準化し、台風災害の少ない地域へも展開しているという。

ハード面では、通信網の二重化が大前提だが、二重化が未対応の島には小型の可搬型無線(マイクロ波)送受信装置を持ち込み、近くの中継塔につなげる作業が基本だ。

海底ケーブルの切断も珍しくない。原則として、海底ケーブルは埋設されている。しかし、大津島の切断事故の様に島の近接海域では、船の錨や底引き網に切断されることもある。

また、時には海底にある直径2〜3メートルもの巨石が潮に流され、ケーブルを引きちぎっていくという。さらに海底ケーブルから発生している微弱な電波にサメが反応してケーブルを噛み切ることすらあるという。

ケーブルの強度を高めて堅牢性を確保するために、ケーブルにワイヤーを入れたり、漁業エリアに近い所では、ケーブルの外皮をさらに厚くするなどの構造的な強化が図られている。

万が一、海底ケーブルが切断された場合、NTT-WEマリンのケーブル敷設船が現場に急行し、探索ロボットを使って切断箇所を確認する。切断された両端を海上に引き上げ、髪の毛のような細さの芯線を1本1本接続する。

また、ダイバーが目視でケーブルの状態を確認したり、スケールで埋設深度を測定するといった巡回点検業務も定期的に行われている。

無線(マイクロ波)送受信装置の塩害対策も島ならではのものである。塩分は鉄骨に浸みると赤さびとなり、膨張した赤さびがやがて鉄塔を崩壊させる。そのため、塩害に強い船舶用の塗料を鉄骨に塗ることもある。

NTT西日本山口支店の山田災害対策室長は、「島の通信を守るためには、やはり島の暮らしをよく知ることが大事です。それが結果的に命綱である通信網を守る最善策に結びつくのです」と話す。

豊かな海の恵みを存分に享受できる島の暮らし。島の命綱を支え、自然のリスクに向い合うために、日常の業務の中で真剣な努力が重ねられている。

「島の暮らしをよく知ることが大事です。」NTT西日本山口支店 山田徹災害対策室長

猛威をふるった台風14号の被害は想像を絶するものであった。

台風を予測して文字通り島に「先回り」して待機する。

敷設された海底ケーブル

切断された海底ケーブルを引きあげ、髪の毛のような細さの芯線を1本1本接続する。

取材:船木 春仁

サメが海底ケーブルを噛む?
1990年9月、宮崎〜沖縄間の海底ケーブルで原因不明の切断事故が発生した。X線で調べた結果、ケーブルの一部に2cmほどの穴が開いており、ミツクリザメの歯が発見された。サメは弱った魚を襲う習性がある。弱った魚は異常な動きをして微弱なプラス電気を発生し、サメはそれに反応する。海底ケーブルも電気的にプラスの「気のエネルギー」を出していたものと考えられている。