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第6回 雷と闘う

雷の脅威

空を切り裂く稲妻、大地を揺るがす雷鳴(らいめい)…。

雷は昔、「神が鳴る」と考えられたことからこう呼ばれるようになったという。雷を生み出す雷雲(らいうん)は"空に浮かぶ巨大な発電機"とも比喩される。雷のエネルギーは極めて強く、電圧は約10億ボルト、電流は数万アンペアにもなるという。

この強大なエネルギーを持つ雷は、人体への危害をはじめ、火災、停電、電話の不通、パソコンやテレビなどの電子機器の故障といったさまざまな被害をもたらす。

雷害には、大きく分けて2つのパターンがある。1つは、避雷針や建造物、電柱などに直接落ちる「直撃雷」で、その影響により「雷(らい)サージ」と呼ばれる過剰電圧・過剰電流が通信設備などへ流入し、電子回路が破壊されるなどの被害が発生する。

もう1つは、直撃ではなく、離れた場所での落雷であっても被害を及ぼす「誘導雷」だ。落雷時に発生した強い雷電流が地中を伝わり、通信ケーブルなどに過剰電圧を誘起する。

  • 雷により瞬間的・断続的に発生する電気エネルギー。

近年、雷害による通信設備の被害は増加している。その原因の1つに、コードレスホンなどの多機能電話機が普及したことが挙げられる。かつての黒電話は電源につなぐ必要がなかった。多機能電話機は、電話線と電力線の双方につなぐ。電子機器などは雷サージが通り抜けることによって故障するため、複数の線に接続されていると、一方が雷サージの侵入口、他方が逃げ口となり、雷害を受けやすくなるのだ。

また、インターネットの普及により、電話線には電源を必要とするパソコンやモデムなどさまざまな機器が接続され、以前は想定していなかった経路で雷サージが侵入するようになってきている。

NTTグループは古くから雷害対策に取り組んできたが、組織的な取り組みを始めたのは1963年(昭和38年)ごろ。マイクロ無線中継方式による電話網とテレビ網が全国に行き渡り始めた時期だ。この方式は約50km間隔で中継所が必要で、見通しの良い山上に中継用アンテナを建てていたことから、雷による被害を受けやすかった。しかも、1つの中継所が被災するとそのルートはすべて使えなくなり、通信が途絶する事例が多発した。

そこで1971年、「雷害対策連絡会」を発足させ、それまで各部署で行っていた雷害対策を全国レベルで体系化・標準化し、雷害による故障件数を約4分の1にまで低減させた。

家庭の電話機を守るためには、各家庭へ電話線が入り込むところに「加入者保安器」と呼ばれる避雷器を設置し、お客さま宅内に入る前に雷を退ける。さらに、雷害の多いエリアの通信ケーブルの接続点には「ケーブル保安器」を取り付けて、二段構えの防御態勢を敷いている。

地下に埋設した通信ケーブルが誘導雷の被害を受ける恐れもあることから、異常をいち早く検知するために、乾燥空気を流し、ケーブルに損傷がないか常時監視している。

こうしたさまざまな対策に努めても、雷害をなくすことはできない。「直撃雷に関しては、残念ながら有効な防止策はないのが現状」と通信設備の保守を担当する技術者は言う。

雷は、いつどこに落ちるか分からない。気象庁においても、時刻や場所を特定した予報は不可能だとされる。通信ネットワークは社会にくまなく張り巡らされているため、被害をゼロに抑えることは難しい。

ならば、発生した故障をいかに迅速に修理し、復旧させるかが課題となる。「通信サービスの使命」第6回は、「通信を守ることは人々の暮らしを守ること」との使命感を胸に、心細さを感じやすい災害時だからこそ、誰かとつながっているという「安心」を届けたいとの思いで雷害対策に取り組む技術者たちに迫る。

雷防護回路を組み込んだ雷害対策器具

雷電流をバイパスすることにより通信機器を守る「雷防護アダプタ」

直撃雷を受けやすい山上のお客さま向けの「雷対策フィルタ」

誘導雷を受けた集合住宅用保安器

誘導雷を受けた接続端子函