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第3回 雪から通信を守る

雪への深い理解が通信を守る

雪害から通信網をいかに守るか。設備面での対応ももちろんだが、雪に対する深い理解と経験を持つ技術者たち個々の力量に頼る部分も大きい。

設備面では、パラボラアンテナの表面に超撥水剤を塗布して雪が付着し難くする技術も開発されている。一方、通常の車両で入れない場所では、NTT西日本管内で数少ない雪上車を使用する。一般道はトラックで運び、山間部の無線中継施設や被災箇所では除雪されない林道など山深い地域で活躍する雪上車が必要不可欠である。そのために高山統括営業所では、雪上車の運転が可能な大型特殊免許を所持する社員が4人いる。

上瀬所長は、「通信網の遠隔監視システムや測定技術の向上も、雪害への対応の重要な技術進展でした。一刻も早い復旧に向けては、裂断箇所の特定が第一で、今は誤差数メートルで特定できます。このおかげで無駄な作業が減り、迅速な対応が可能になり、より一層安全を確保できるようにもなったのです」と語る。

だが、やはり技術者たちの力が大きい。松下昌巳副所長は、「私が電話の仕事を始めた1960年代半ばは、新人は雪中訓練が仕事でした」と笑う。

技術者たちを苦しめるのはまず、現場に到着するまでに時間がかかり体力を消耗してしまうことだ。夏なら車で1時間程度の場所でも、雪が降ると2時間、3時間とかかってしまう。それでも車やスノーモービルで入れる場所ならまだ良い。

山間の積雪地帯には、車はもちろんスノーモービルも使えないような急峻な場所が多く、スキーやかんじきを付けての徒歩が多くなり、現場にたどり着くだけで半日を費やすケースもあるという。

必要な機材は全て背負っていく。スコップ、交換用ケーブル、倒木処理のためのチェーンソー等々。その重さはゆうに20キロを超える。しかも前述のように、常に雪崩の危険と背中合わせである。

現場にたどり着いても問題がある。木が倒れている場合、勝手に切ることができないのだ。私有財産の処理にあたるので、地権者を突き止めて、伐採の許可を得るまで待たなければならない。

それでいて作業遅延は許されない。1時間でも1分でも早く電話がつながるのを待っている人がいる限り、安全を確保しながら全力で修理にあたる。
「雪崩で道路が通行止めとなり、故障修理で現地に入るのに道路管理者から『念書を書いて欲しい』と言われたこともあった。今考えると、自分の安全よりも、故障を直すという使命感が先に立っていた」と語る技術者もいた。

技術者たちが持つ、雪と共存するための長年にわたるノウハウこそ、雪から通信網を守る大きな支えとなっている。

例えば、冬の到来が早い年では、冬の倒木被害が多くなるという。木に残った葉に雪がからみ、木が重くなって倒れやすくなるからだ。また、担当エリア内でも比較的雪が少ない地域に対して大雪警報が発令された場合は皆が緊張するという。雪が少ない地域の木は、雪の重みに耐える力が弱く、まとまって倒れてしまうことが多いからだ。

現在は、通信網監視システムの発達で異変対応ができるようになったが、かつてはスキーを履いての巡回点検が行われていたこともあった。こうした経験から蓄積されたさまざまな知識が、今なお受け継がれているのだという。

高齢者が多いエリアでは、どこに誰が住んでいるかも頭に入れている。大雪になった場合、行政機関と連絡を取りながら安否を確認し、その時は電話がつながっていても駆けつけ、除雪作業をしてくることもある。理由は簡単だ。電話が切れてしまっては外に連絡が取れなくなり、孤立してしまうからだ。
「かつて、孤立しそうなお年寄りの家に駆けつけたら通信ケーブルが隠れるほどの雪が積もっていて驚いたことがあります。でも、お年寄りは、『どうした、何かあったか』とお元気で、安心したと同時に、これが私たちの仕事なんだと実感しましたね」と松下副所長は言うのである。

NTTネオメイト高山統括営業所 松下昌巳副所長

超撥水剤を塗布したパラボラアンテナ

除雪されない林道など山深い地域で活躍する雪上車

必要な機材は全て背負っていく

木に残った葉に雪がからんで重みで倒れやすくなる

電話はお年寄りの孤立を防ぐための大切な連絡手段

取材:船木 春仁