地域課題解決に向けた取り組み
安心安全な地域社会を支えるインフラ設備のメンテナンス技術の開発
スマートメンテナンス技術の研究開発
NTT東日本は、全国のお客さまにくまなくサービスを提供するため、電柱約565万本、電話線と光ケーブル約130万kmを保有しています。お客さまに安心してご利用いただける品質の高い通信サービスを提供するため、これらのインフラ設備を効率的かつ正確に点検を行うスマートメンテナンスに取り組んでいます。
以前はスキルを有する社員が目視で電柱を確認していたため、多くの手間を要していました。
そこで、高精細カメラや3Dレーザスキャナを搭載したスマートメンテナンスカーを走行させ、設備データを取得、集約センタにて設備のデータ分析・劣化診断を一元的に実施するように抜本的な改革をおこない、更にAIを活用することで点検の効率化と品質の均一化を実現しました。
スマートメンテナンスカーでは自社設備の他に、道路周辺のあらゆる構造物の情報が取得可能です。取得した画像データによる他社インフラ設備、路面や街路灯、標識などといった道路構造物の点検や、3Dレーザスキャナによる点群データを活用した地図整備・道路工事の際に実施する測量への適用等、様々な場面で地域の皆様と連携して取り組んでいます。
これからもNTT東日本では、安心して住み続けられる街づくりを目指して、自社設備のみならず他社インフラ設備も含めたトータルメンテナンスが実現できるよう、地域の皆様と連携して取り組んでいきます。
電柱点検で使用するMMS車両イメージ
3Dレーザスキャナで取得した点群データ例(ピンク色箇所:電柱抽出(NTT持株技術)
3Dレーザスキャナで取得した点群データ例(鳥瞰図、カラー処理版)
「スマート陸上養殖」での地域循環型社会の実現
水産業を取り巻く現状・社会課題
昨今、地球温暖化による海水温上昇等の海洋環境の変化、魚介類の世界的需要の増加などの要因により、生産拡大余地のある漁場資源の割合は7%程度※1とされており、水産資源の枯渇が危ぶまれています。
また、世界的需要の増加に伴い、水産物市場における購買競争の中で魚価は高騰し、燃料費や輸送費の高騰なども相まって、国際的にも日本の購買力は弱まってきています。国内における水産物の安定供給や安定した価格による消費者への提供は、喫緊の課題となっており、安定した水産物の供給を実現するには、天然水産資源のみに頼らず、養殖による国内生産によって国内自給率を高めていくことが不可欠です。
水産業のサステナビリティ確保に向けた取り組み
1.完全閉鎖循環型陸上養殖
NTT東日本グループでは、沿岸部や山間部等の立地を問わず、飼育水の排水による環境汚染影響が少なく、また寄生虫・病気の発生・混入リスクが最小であることによる安全・安心な養殖環境の構築が可能な「完全閉鎖循環型」の陸上養殖の産業化を志向しています。
飼育環境コントロールが可能な「完全閉鎖循環型」の陸上養殖を日本各地へ普及・展開することで、魚介類の安定供給の実現をめざします。
2.データ駆動型の陸上養殖プラント
NTT東日本グループとして開発するデータマネジメントツールを活用した、日々のプラント環境データの自動取得・一元管理(見える化)、最適な養殖環境維持に向けた自動制御、専門家からのリアルタイムな遠隔飼育指導を受けることが可能な、データ駆動型スマート陸上養殖プラントをご提供することにより、養殖の知識・経験がない方でも日々のプラント安定運用可能な体制を構築します。
陸上養殖産業化に向けた取り組み:ベニザケ養殖プロジェクト
2022年1月より、魚屋創業で東日本大震災以降の風評被害に負けない安全安心な魚を地域の皆様にお届けしたいという思いをお持ちの株式会社いちい様と連携したベニザケ養殖プロジェクトを組成しています。
本プロジェクトでは、内陸部に位置する福島市において、魚の知識や海面養殖の経験のない飼育員の方が生産に従事した中でも、ビジネスベースで世界初のベニザケ養殖に成功しました。
今後はこの成果を元に、地域アセットである廃校利活用等の地域連携を通じて、地域に根差した新産業としての拡大に取り組んでいく予定です。
今後の展望
NTT東日本グループは、地域の課題・特性に合わせ、養殖経験のない方でも安定生産可能な完全閉鎖循環型陸上養殖の産業化を通じて、水産資源の安定供給の実現をめざします。この仕組みをきっかけとしながら、地産地消の推進(地域経済循環の促進やフードマイレージ削減による脱炭素への貢献)や、新たな産業創出(廃校等の地域アセット活用や再生可能エネルギーを活用した6次産業化等)に取り組むことで、日本各地で持続可能な地域循環型社会を実現することに取り組んで参ります。
地域連携による資源循環モデル実証と食育の推進
脱炭素者社会の実現に向け、エネルギーの地産地消や、地域内資源の有効活用などの取り組みが必要となっています。また、食を取り巻く環境においては、食品ロスの増加や、食品残さの処理コストの削減及び有効利用が課題となっています。これらの課題解決の一環として、環境への配慮や食に関する理解の重要性が高まっており、そのきっかけとなる「食育」の推進が重要になっています。
学校給食における「デジタル化に対応した食育」の推進
調布市では、市内の企業・大学等と共同でスマートシティの実現を目指す「調布スマートシティ協議会」を2021年6月に設立。「都市型資源循環モデル」の実証実験として、「超小型バイオガスプラント」による給食調理残菜を活かした再生可能エネルギー及び液体肥料の生産や、「ローカル5G実証ハウス」による最先端技術を活用したトマト栽培を進めており、NTT東日本とNTTアグリテクノロジーも参画しています。
調布市立学校では、市内農産物を活用した給食の提供を通じて地産地消を進める「S&A(スクール&アグリカルチャー)」に取り組んでおり、循環型社会について生徒の理解を深めるため、ハウス内の栽培動画をタブレット等で視聴し、新しい農業技術を学ぶ「デジタル化に対応した食育」、収穫された新鮮なトマトの給食への提供、実際の実証環境を見学する郊外学習を実施しています。これらの学習環境の提供を通じて、先端技術や地産地消の大切さを学ぶ場を創出してまいります。
文化芸術のデジタル化と活用を通じた地域活性化の実現
災害や経年劣化による文化財の消失等のリスク、文化伝承の担い手不足などの要因により、有形無形を問わず地域の文化芸術を守るニーズが高まっています。また、先進技術を活用した新たな芸術鑑賞の楽しみ方も拡がっています。
高精細なデジタル化による保存・継承と鑑賞体験の拡大
株式会社NTT ArtTechnologyを設立し、自治体や博物館・美術館、企業などが所蔵する有形文化財を、協業パートナーのアルステクネが有する三次元質感画像処理技術(DTIP)の活用により、高精細なデジタルデータ(所蔵元認定)として保管。併せて無形文化財のデジタル化にも取り組みます。NTT東日本通信ビルの持つ「耐災害性」でしっかりと保存するとともに、高速ネットワークの「閉域網によるセキュアな環境」という特性を生かし、AR・VR・サイネージ・3D・プロジェクションマッピングなどの先進技術を活用して、これまで文化芸術の鑑賞が難しかった場所での鑑賞や新しい鑑賞体験を実現。地域の価値ある文化や芸術の発信を通して、地域と地域、地域と世界をつなぐことで、地域の活性化に貢献致します。
文化芸術のデジタル化の取り組み事例
葛飾北斎が晩年に描いた長野県小布施町の岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(間口6.3m、奥行5.5m)をアルステクネと連携して高精細にデジタル化。東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で「Digital×北斎」特別展「大鳳凰図転生物語」を開催し、原寸大の高精細複製画や最新デジタルアプリケーションにより本堂を模した空間で「鳳凰図」の世界を体感する作品を展示したところ、大きな反響をよび、岩松院を訪れる人が大幅に増加しました。
その他の取り組み
- 「IoTセンサーを活用したCO2濃度と豚飼育状況の相関に関する実証実験を開始します
- 立教大学とNTT東日本によるリアルとバーチャルが融合したバーチャルキャンパスの実現に向けた取組みについて
- 水田の小鮒養殖における IoT センシングの活用について[156KB]
- 労働力不足などの農業現場の課題解決に向けたナシ栽培スマート農業の実証を開始
- AI問診を活用した医療現場の働き方改革支援と、地域医療連携の推進
- 「林業における労働災害抑止」および「獣害対策」〜地域活性化にIoTを活用した“Smart Village”をめざして〜
- 松前町「ワーケーション推進」に向けた環境検証等を行います[127KB]
- 須賀川市の地域活性化と、持続的に発展するスマートなまちづくりをめざすICT環境を備えた「シェアスペースSTEPS 」 の オープン について[493KB]
- 人口減少社会の到来を見据えた「スマートストア」の実証実験を開始
- 信用金庫さまとお取引先さまをつなぐコミュニケーションアプリ「しんきんdirect」