(報道発表資料)
ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社
有限会社臼井農産
東日本電信電話株式会社 神奈川事業部
『咳音検知技術/SoundTalks™』を活用した飼養豚の体調管理に関する
「日本初」の実証実験開始について
〜養豚業界における畜産動物の健康維持、養豚生産者の生産性向上・出荷品質向上に向けた
「スマート農業」への取り組み〜
ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社(代表取締役社長:ミッシェル・コレニオン)、有限会社臼井農産(代表取締役:臼井 欽一、「臼井農産」)及び東日本電信電話株式会社神奈川事業部(執行役員 神奈川事業部長:中西 裕信、以下「NTT東日本」)は、養豚業界における畜産動物の健康維持、農場の生産性向上・出荷品質向上に向けて、『咳音検知技術』を活用した飼養豚の体調管理に関する実証実験の取り組みを開始いたしました。
近年の養豚経営は、配合飼料価格や生産資材等の価格の上昇、生産管理を担う労働力不足、後継者確保問題など、経営を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。最近の豚肉販売価格は堅調に推移していることから、飼養規模拡大の意欲もある反面、家畜衛生対策、優良種豚の確保による生産性の向上、担い手の確保、畜産クラスター事業等の活用による投資資金の確保などが新たな経営課題となっています。※1
近代養豚において飼養豚の健康状態は、農場巡回と検査、生産成績のスクリーニングにより確認されています。従来の手法に加え、国が進めている「スマート農業」の概念にのっとり、デジタル技術を活用し、農場での豚の健康状態を客観的かつリアルタイムに把握することが、労働力の省力化や豚の健康維持管理に与える影響は少なくないことが考えられます。
ベーリンガーインゲルハイムでは「SoundTalks™ ※2」の名称で咳音検知技術(音声モニタリングテクノロジー)をグローバルにて広く展開し、飼養豚の健康維持管理において養豚農場をご支援してきた経験と知見があります。今回、日本でも国内の養豚場において、その実地検証をすべく、養豚におけるデジタル化を推進している臼井農産及びNTT東日本と連携して実証実験に取り組むことになりました。
なお、NTT東日本では2019年より神奈川県養豚協会、神奈川県畜産技術センターとの「飼養環境の見える化」(温湿度データや豚の衛生環境等監視)実証実験を皮切りに、臼井農産と連携し、「センサーを用いた適切なCO2濃度を維持・管理方法の見極め」「AIカメラを活用した体重・体格・肉質の計測および推定算出、飼育状況のデータ活用などのシステム化」に関する実証実験を実施しております※3〜5。
ベーリンガーインゲルハイムが専属的に販売権を有する「SoundTalks™」をベースにした咳音検知技術により、半径10m以内の飼養豚から発せられる咳音を24時間365日検知します。
計測したデータは、クラウド上のサーバーに蓄積され、SoundTalks™のAIにより農場独自の咳の発生状況をユーザーにスマートフォンアプリまたはコンピューターのWebサイトを介してお知らせいたします。また、咳音の検知と同時に、豚舎内の温度及び湿度の記録が可能です。
システムからのお知らせに応じて、遠隔地にいる農場スタッフと現地にいるスタッフが連携し、豚の健康状態や飼育環境の適正さを実地検証することが可能になります。必要に応じて、飼育環境の改善に向けた検討や、管理獣医師とのコミュニケーション等の迅速なアクションが可能になります。
また、ユーザーによるUI等のニーズ状況把握を行うことで、商用サービス化に向けた検討を行います。
なお、ベーリンガーインゲルハイムの「SoundTalks™」を活用した「咳音検知」の三者間での実証実験は、日本で初の試みとなります。
以下の通り飼育豚の健康維持が可能になり、結果として、少ない損失で継続的に健康で美味しい豚肉の生産・提供が可能となります。
2021年11月1日から2022年10月末まで(予定)
有限会社臼井農産・豚舎 (神奈川県厚木市飯山3575)
◆ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン
「SoundTalks™」の技術提供、咳音検知機器設置、システム運用・検証
◆臼井農産
実証フィールドの提供、飼養豚の体調情報提供、生産者目線でのニーズ・活用シーン情報提供
◆NTT東日本
通信機器の設置・管理、実証実験の遂行における総合的な支援
本取り組みにて集積したデータを活用し、臼井農産は最高品質の豚肉の提供を目指していくとともに、ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパンとNTT東日本は、養豚業へのIoT、ICTサービス導入のサポートを実施していくほか、各種連携等により養豚業の発展に向けた新たな仕組みづくりを検討していきます。
動物と人の命は、深く、また、複雑につながっており、動物が健康であれば、人間も健康でいられると信じています。世界中で9,700人の社員がイノベーションを通じて価値を提供し、動物と人の健康と幸福に寄与すべく邁進しています。
私たちの活動の根幹にあるのは、動物、人、環境に対する敬意であり、私たちは、病気や痛みから動物を守るためにソリューションを開発し、サービスを提供しています。そして、顧客の方々が動物の健康をケアするのをサポートし、生命や社会を脅かす病気から地域社会を守っていきたいと願っています。
ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルスは、動物薬市場で世界第2位のグローバルプレーヤーであり、2020年度に41億ユーロの売上高を記録し、150カ国以上でビジネスを展開しています。
ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルスの詳細:ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
私たちは“幸せと、笑顔になれる豚肉を”テーマに生産から販売まで一貫したプロセスに取り組み、豚肉の品質管理・向上を目指しています。
自然豊かな農場で豚がストレスなく健康に過ごせるように、衛生的で快適な環境づくりを行っています。
独自の種豚・母豚繁殖により肉質や生産性とのバランスの取れた独自の血統を持つ健康な豚を育てています。
母豚、父豚、離乳子豚から、肉豚まですべて独自設計・配合したオリジナルの飼料を与えて育てています。
最高の品質を追い求め、地域の方が自慢に思える豚肉“地豚”を創りたい、そんな想いをもって、今後も取り組んでいきます。
NTT東日本グループはすべての事業活動を通じ、社会の持続的な発展に貢献していくことを経営の基本姿勢として、社員一人ひとりが事業活動を通じたCSR活動に取り組んでいます。
2020年7月には、CSRや環境対策、ダイバーシティ、人権啓発等の取り組みを一元的に推進する「サステナビリティ推進室」を設置し、社会からの要請に迅速に対応していくとともに、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取り組みを強化しています。
事業活動においては、ICT(情報通信技術)を活用した付加価値の高いサービスをさまざまな分野に提供することで地域社会の課題解決に向けた取り組みを進めています。
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は世の中の常識や価値観を大きく変え、私たちは皆、人との接触を前提としないニューノーマルなライフスタイルへの変革を余儀なくされました。
この流れに対してNTT東日本では、自社の事業運営や働き方の変革に向けチャレンジするとともに、「デジタル」、「リモート」、「オンライン」といったサービスラインアップをさらに充実させ、新しいニーズにもお応えしていきます。
今後も、技術革新や市場の変化、さまざまな課題が顕在している世の中において、これまで通信事業で培った災害対応力の強化や、設備の強靭化に取り組むことはもちろん、地域とのつながりを大切に社会課題の解決に尽力してまいります。
NTT東日本 サスティナビリティレポート