ホーム > 企業情報 > お知らせ・報道発表 > 報道発表資料 > 2014年 > 10月


(報道発表資料)

2014年10月3日
東日本電信電話株式会社
日本電気株式会社
農事組合法人和郷園

長距離無線通信を活用した露地栽培向け農業ICTソリューションの実証実験を実施
〜センサーネットワークと農業クラウドサービスを活用した農場監視システムにより、農家の生産性を向上〜

東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:山村 雅之、以下NTT東日本)と、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:遠藤 信博、以下NEC)と、農事組合法人和郷園(本社:千葉県香取市、代表理事:木内 博一、以下和郷園)は共同で、農家の生産性向上を目的とした効率的な農場監視システムの実現に向けて、農業ICTソリューションの実証実験を実施いたします。

長距離無線通信により実現した、露地栽培向けのセンサーネットワークとメンテナンスフリーを実現した機器により、霜害等の自然災害への対策や農産物の品質向上を効率的に実現し、働き手の高齢化や後継者不足等の課題を抱える日本の農業活性化に貢献いたします。

1.背景

日本の農業分野は、働き手の高齢化や後継者不足などによる農業就業人口の低下※1が進んでおり、農業産出額は過去20年で2割程度減少する等、日本の食糧事情が危ぶまれています。一方、政府の成長戦略における農業分野の規制・制度改革、一般法人の農業参入による農業生産法人数の増加※2、企業のICT活用による農業支援の拡大等、農業分野を後押しする動きも拡大しています。

農業分野におけるICT活用では、温度や湿度を計測するセンサーを農場に設置し、それらを結ぶ通信ネットワークを構築してインターネットに接続することで、データ収集と見える化を実現する方法が一般的です。しかし、露地栽培の農場では、特にセンサーやネットワーク機器の電源確保や、飛び地になっている農場間の通信ネットワーク確立等の課題があります。

このような背景の中、NTT東日本・NEC・和郷園の三者は、農家の生産性向上を目的とした効率的な農場監視システムの実現に向け、共同で実証実験を実施いたします。

  • ※1総務省統計局「日本の統計」、総務省統計局「労働力調査」より
  • ※2農林水産省経営局「農業生産法人、改正農地法により参入した一般法人」より

2.取り組み概要

(1)実証実験の内容

本実証実験は、NTT東日本が提供する長距離無線通信が可能なセンサーネットワークと、NECが提供する農業クラウドサービス※3を活用し、和郷園の管理する農場で実施いたします。露地栽培の農場に設置したセンサーから温度・湿度・照度のデータを収集し、インターネットを経由してクラウド上に蓄積することで、農場の環境情報をスマートフォンやタブレット端末等で簡単に確認可能な農業ICTソリューションの事業化を目指し、有用なデータの検証や効果的なデータの利活用方法の検討を行います。農業ICTソリューションの実現により、霜害等の予防のため従来手作業で実施していた微気象情報(温度・湿度・照度)の収集を自動的に実施することができ、農家の生産性向上を実現いたします。

実証実験では、NTT東日本とNECが、和郷園から農業に関する専門的な助言を取り入れ、ご利用者様へ、より高いメリットを提供できるセンサーネットワークや農業クラウドサービスを検討いたします。また和郷園は、本実証実験を通じて得られるセンシングデータを用いたノウハウの見える化など、農業生産活動の一層の効率化に取り組みます。

  • ※3NECの提供するM2M(Machine to Machine)ソリューション「CONNEXIVE(コネクシブ)」、及びネポン株式会社と共同で開発したクラウドサービス「アグリネット」を今回の実証実験に利用。「CONNEXIVE」はNECの登録商標。「アグリネット」はネポン株式会社の登録商標。

<実証実験イメージ>

・農場にセンサを設置し、センシングデータ(温度・湿度・照度)を遠距離無線技術と光回線を利用してクラウド上に送信 ・農家は、クラウドに蓄積された情報から農場の様子を把握

(2)特長

1.長距離無線通信

センサーネットワークの通信距離を最大で数kmクラスとしたため、農場管理事務所から遠く離れた農場や飛び地となっている農場からでも、環境データを収集することが可能です。

2.温度・湿度・照度センサーの電源不要化・メンテナンスフリー化

センサーをソーラー発電のみで動作可能とすることで、従来の農場監視システムの課題である電源の確保・電池交換等の作業を不要としました。そのため、低コストで長期間利用可能なシステムを構築できます。

3.利便性の高いクラウドサービスの提供

センサーから収集する温度・湿度・照度のデータをいつでもどこでも確認出来る手段として、NECの提供するM2Mソリューション「CONNEXIVE」、及びネポン株式会社と共同で開発したクラウドサービス「アグリネット」を利用しています。「CONNEXIVE」と「アグリネット」を使ったクラウドサービスは、既に約500の施設園芸栽培農家にご利用頂いている実績があります。

(3)各社の役割

NTT東日本:光回線の提供、センサーネットワークの提供

NEC:農業クラウドサービスの提供

和郷園:農業ICTを活用した効率的な農業の実践・検証

(4)実施期間

2014年10月〜2015年8月(予定)

四季を通じて様々に変化する農場環境の環境情報を取得することで、センサーネットワークの実用性、耐久性などを検証すると共に、農場環境の変化を数値で客観的に把握することにより、農業生産での新たな知見獲得を目指しています。

3.今後の予定

今回の提携を通じ、センサーネットワークや農業クラウドサービスの改善・機能追加に取り組み、2015年度を目指して、農家や自治体で利用可能な農業ICTソリューションの商品化を検討してまいります。また、NTT東日本が提供するセンサーネットワークと、NECが提供するクラウドサービスの連携により、農業に限らず、様々な社会ソリューションの提供を推進してまいります。

4.本件に関するお客様からのお問い合わせ先

センサーネットワークについて
NTT東日本 ビジネス開発本部 第一部門
TEL:03-5359-4088
農業クラウドサービス(「CONNEXIVE」「アグリネット」)について
NEC 第二キャリアサービス事業部
TEL:03-3798-8027

報道発表資料に記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。