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自主的に広がる“171”防災訓練

大規模災害に備えて 小さな命をあずかっているからこそ、つながる安心を大切にしている。 東京都練馬区立西大泉保育園 須永 由美 園長

阪神淡路大震災の後、災害用伝言ダイヤル(171)を利用して自主的に始まった東京都練馬区立保育園での“情報伝達訓練”。今では災害用伝言板(web171)や区独自の“保育園連絡メール”と伝達手段を拡大して実施しています。

3.11当時、つながらない不安に職員も保護者も動揺した

練馬区の保育園では災害用伝言板(web171)の訓練を2009年から試験的に開始。私たちは子どもたちに向き合うのが仕事なので、普段はパソコンを使わなくとも済んでしまいます。訓練の際、パソコンに長けていない職員については、初歩的なところから指導することもありました。
東日本大震災は、災害用伝言板(web171)での訓練を開始してから2年目に起こりました。大きな揺れから子どもたちの安全を確保した後、まず頭に浮かんだのは保護者たちの顔でした。災害用伝言板(web171)は使えることを確認出来たので、ただちにメッセージを登録しましたが、私たちも保護者もまだ慣れていなかったため、保護者からは電話が相次ぎ、職員の一人はその対応で付きっきりになってしまいました。余震が続き、子どもたちを守らなければならない中で、その対応に人手を取られたのは痛手でした。

練馬区が保護者に配布している避難所や災害時の連絡方法などを記載した冊子

避難訓練と情報伝達訓練を繰り返し“もしもの時に動けるように”

練馬区立の保育園では、避難訓練を毎月実施しています。保育園が第一避難場所ですが、施設の被災が大きかった場合に備え、近隣の区立小中学校を第二、第三避難場所として、そこへの移動避難も予行します。保育士たちの緊張感に満ちた表情に、子どもたちも「いつもと違う」という気配を感じ取り、アナウンスに真剣に耳を傾けます。館内放送が流れた瞬間に、子どもたちの表情が変わります。ふざけてはいけない時だと察知し、移動も素早いです。何をすべきか、どう動くか、職員も子どもたちも体で覚えているのです。災害用伝言ダイヤル(171)と災害用伝言板(web171)を含む情報伝達訓練は保護者の協力も得ながら年2~3回程度行なっています。毎月1日、15日や9月の防災週間にNTTグループが開放する、体験利用提供日を利用して実施しています。災害用伝言板(web171)の訓練を始めた頃、中にはスマホやパソコンを使うのに一苦労の職員もいましたが、繰り返し体験することでスムーズになりました。訓練の際には、経験したことのない職員から優先的に体験するように計画を立てています。今では西大泉保育園の全職員が災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板(web171)をただちに利用出来るようになっています。

保育園の電話から災害用伝言ダイヤル(171)に登録

メール、Wi-Fi、テレビ、そして人。さまざまな手段を駆使して不安を取り除く

災害用伝言板(web171)には登録したものの保護者がきちんと見てくれているかが不安でした。どれくらいの保護者が確認出来ているのか把握出来なかったのです。あの時は保護者の迎えを今かいまかと待つしかありませんでした。東日本震災後に課題を情報交換する中で、保護者から一斉メール配信への要望があがりました。そこで区は、“保育園連絡メール”を検討し、2013年より運用を開始しました。保護者が確認したことを、文中のリンクをクリックすることで区や保育園に伝達する機能も併せ持ち、現在では、不審者情報などの配信にも使用されています。
他にも区は次々と防災機器を配備しました。災害時の情報通信手段の環境整備を図るため、Wi-Fiが配備されました。また、ワンセグのポータブルテレビも各園に配置し、訓練でも使用しています。区立保育園園長で構成する防災プロジェクトでは、保育園の防災マニュアルの見直しも適宜行っています。とにかく親と子が「つながるんだ」ということが非常時に不安を取り除くうえで大切なんです。これからもNTT東日本さんに期待しています。

保護者は職場からさまざまなツールを通して安否を確認