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昭和村からむし織姫 齋藤環

齋藤環(さいとうたまき)

手から手へ時を紡いで想いを織り継ぐからむしの織姫

 11月の中旬、今年も初雪を迎えた奥会津昭和村。標高の高い博士峠(はかせとうげ)や舟鼻峠(ふねはなとうげ)には、うっすらと雪が降り積もり、これから本格的な冬を迎える頃となりました。
 この時季の奥会津のこの山里には、約600年もの昔から「カラカラ、トントン・・・」と、静かに奏でる「からむし織」の機織りの音が村の各農家から聞こえ、今は少なくなったとは言え、村役場に隣接した「からむし会館」の織子さんや、全国から集った織姫たちの作業場などから、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた、遠い悠久の昔から続くリズム音が静かに響きます。
 からむし織は、苧麻(ちょま=からむし)と呼ばれるイラクサ科の植物繊維で作られる日本最古といわれる織物で、からむしの栽培から製糸、そして織りに至る全てが手作業で、今では沖縄県宮古島と、本州では唯一昭和村が上布(じょうふ)※用高品質苧麻の生産地となっています。
 今回「ふくしま人」にご登場を頂いたのは、1994年(平成6年)から昭和村で始まった「織姫体験生制度」で2004年(平成16年)に来村し、現在も村に居住し、NPO法人苧麻倶楽部(ちょまくらぶ)に所属する傍ら、からむし織の小物などの製作に取り組む齋藤環(さいとうたまき)さん。織物や染色に憧れ、ものを作る工程に惹かれて来村し、昭和村に暮らす8年目の思いをお聞きしました。
「私は出身が神奈川で、高校の頃から織や染色に興味があり、東京の服飾の専門学校を出てから、本格的に織が出来るところをずっと探していました。たまたまからむし織の織姫募集を知人から聞いてすぐに応募し、10人以上の全国からの応募の中から4人の体験生に選ばれて、8年前に昭和村に来ました。」
 「織姫体験生制度」は、高齢化と過疎化の進行で懸念される後継者不足を補い、都市との交流と定住人口を増やして、特産の「からむし織」の織り手を育成するために作られた昭和村の制度で、1年間の体験期間中を村に定住し、からむしの栽培から糸績み、機織に至る一連の技術を村のお年寄りから直接指導を受け、希望者には体験生の指導補助や各自のテーマに基づいたからむし研究をすることを条件に、体験終了後も「研修生」制度(3年まで延長可能)が設けられています。
 2年間の体験生と研修生期間を経て、齋藤さんは今も昭和村で暮らし、からむし織を通じて地域と関わりを持ちながら、からむし織に惹かれる魅力を次のように話します。
「からむし織の魅力は、材料となるからむしの栽培から始まり、糸を作って布に織り、そこから商品を作るまでの全工程を自分の手で出来ることだと思います。そして商品を車に積み、東京や様々なところで開催されるクラフト展へ運んで販売にも関わります。今も昭和村に住んでいるのは、一年を通して毎日の生活にからむし織が在る、そんな生活に魅力を感じているからだと思います。」
 からむし織に携わる毎日を話す齋藤さんに、もうひとつの「NPO法人苧麻倶楽部(ちょまくらぶ)」での活動も合わせ、昭和村での生活をもう少しお聞きをしました。

※上布(じょうふ):細い上質の麻糸で織った軽く薄い織物。通気性、吸湿性、肌触りが共に優れ、高温多湿の日本の夏に適する。