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郡山市 郡山市開成館

開成館の写真明治6年にこの地に建築された、擬洋風・3階建ての「開成館」

 「郡山市開成館」は、開成館を中心に安積開拓・安積疎水についての歴史資料を展示する施設です。
 開成館が建つこの一帯は、現在すでに市街地となっていますが明治時代の初めには、まだ大槻原と呼ばれる原野でした。旧福島県は、明治6年(1873年)に安積一帯の原野を開墾して耕地にする事業を始めました。さらに猪苗代湖から水を引く開削事業を計画し、それを国家事業として行うよう国に願い出ます。これが国営事業の第1号として認められ、明治11年(1878年)に安積開拓・安積疎水事業が始まりました。明治15年(1882年)に疎水が開通すると、耕地を増やす大きな助けとなります。疎水はやがて電力として利用されて多くの産業を興し、現在の発展に続きます。それに至る多くの功労者や関わりの深い人物たち、時代の大きな流れなどを資料展示により知ることができます。
 「開成館」は安積開拓の核となる「福島県開拓掛(かかり)」の事務所が置かれた建物でした。明治9年(1876年)、明治天皇の東北行幸の際は、行在所(あんざいしょ)という宿泊所の役目をはたし、明治14年(1881年)の東北行幸の際は昼食会場として使用されるという特別な施設でした。郡役所や学校として使用される時期もありましたが第二次世界大戦前の昭和8年(1933年)には国の史跡に指定され保存されていました。同戦後は制度も変化し、市営住宅として使用された例もあるなど起伏の大きい変遷をたどっています。
 昭和35年(1960年)に県重要文化財指定を受け、平成21年(2009年)には経済産業省が選定する近代化産業遺産に認定されています。
 安積開拓・安積疎水の事業には、9つの旧藩から約500戸といわれる多くの入植者がありました。遠く久留米藩からは、最も多い141戸、次は土佐藩からの106戸、鳥取藩が69戸、松山藩15戸、岡山藩4戸と記録されています。近くは米沢藩から11戸、二本松藩41戸、会津藩32戸、棚倉藩27戸とされています。施設の敷地内には、各藩の現在の市町から届いた「市の木」「町の木」が植えられています。

旧小山家住宅(安積開拓入植者住宅)

旧小山家住宅の写真明治15年に建築され
草屋根、土壁、土間、板の間という造り

 小山家は明治15年(1882年)4月、松山藩から牛庭原(現在の郡山市安積町牛庭)に入植しました。「愛媛松山開墾」という一団の第一陣として移住してきた1戸だったとのことです。
 国家の体制が大きく変わった明治時代の初期は、拠り所としてきた価値観も崩れ、大いに混迷していました。版籍奉還・廃藩置県で生活の基盤を失った旧藩士が全国にいます。明治政府は士族授産・殖産興業などの政策を試み、安積開拓・安積疎水の国家事業では、入植する士族を国が募集しました。認められ開墾にあたった人々は、全国の9つの旧藩から移り住みました。
 遠方から入植し、慣れない生活環境で、磐梯山を仰ぐ厳しい自然と闘い、貧困にも陥る中、自身の新しい生活に目を向けて開墾を続けました。旧小山家住宅はこの事業を顕彰するうえで重要であるとして同施設に移築復元されました。

旧坪内家住宅(安積開拓入植者住宅)

旧坪内家住宅の写真入植者規格住宅は5ランクあり、中でも最上級の設計

 鳥取から明治14年(1881年)に移住し「鳥取開墾社」の副頭取だった坪内氏の住宅です。明治政府が補助金を交付して建築させた規格住宅の一例です。市へ寄贈され移築復元しています。黒田清隆、奈良原繁などの明治政府の要人達がこの事業を視察に訪れ、旧坪内家住宅で休憩したことが記録に残っています。
 「鳥取開墾社」が入植したのは廣谷原と呼ばれた地域で、現在の喜久田町の宇倍神社には多くの資料が残され、入植の碑や開墾碑が置かれています。

旧立岩邸

旧立岩邸の写真職員用官舎は3棟あり
「一番」から「三番」まで番号が付けられていた

 「福島県開拓掛」職員用官舎の1棟で「一番」官舎に該当するものです。また、明治政府高官の宿舎にもあてられ、岩倉具視や伊藤博文、松方正義などが宿泊しています。当時からこの敷地内にあり、後に開拓出張所長・立岩一郎が使用・払い下げをうけました。立岩氏の子孫より土地・建物が市に寄贈され復元が行われました。
 この立岩一郎を母方の祖父とするのが作家の久米正雄で、劇作家として出発した「牛乳屋の兄弟」という作品は、開成山の牧場をモデルにしています。

お問い合わせ

郡山市開成館
住所:福島県郡山市開成三丁目3-7【地図
電話:024-923-2157
郡山市開成館」(郡山市ホームページ)

こおりやま文学の森(郡山市文学資料館 郡山市久米正雄記念館)
住所:福島県郡山市市豊田町3-5【地図
電話:024-991-7610
こおりやま文学の森ホームページ