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デコ屋敷大黒屋本家人形師 橋本彰一

橋本彰一

元美術教師がカタチにする“伝統を作る”三春人形師NEO

 2011年の6月、橋本さんの元へ元サッカー日本代表の中田英寿氏から、プロジェクト参加への連絡が入ります。中田氏は2009年春から日本全国を巡る旅を始め、旅先で会った伝統工芸家や職人らの技術の高さと矜持に感動し、世界に誇る匠の世界と技が新しい価値を見出し、伝統文化の継承と発展を促すことを目的に「REVALUE NIPPON PROJECT(リバリュー ニッポン プロジェクト)」を立ち上げました。橋本さんはこのプロジェクトの発表を、偶然テレビニュースを見て知っていて、もし自分が関わることができれば、何か面白いものが作れると思っていたと話します。
 「昨年の6月、中田さんからプロジェクトに参加してほしいと、直接連絡が来た時には本当に驚きました。念ずれば叶うとはこのことかと思いました。RNPプロジェクトは毎年テーマが決まっていて、参加した昨年は“和紙”がテーマでした。異業種の方と3人でチームを組み、コラボレーションすることで、新しい伝統工芸の技を生かした作品を作りました。チームリーダーにファッションデザイナー、DJのNIGO(ニゴー)さん、そして国際的に高く評価されるインテリアデザイナーの片山正通(かたやままさみち)さんと組み、毛並みも和紙で原寸大の白クマを作ることになりました。」
 橋本さんは、以前からどの程度の大きさまで張子で作れるのか試してみたいと、張子の可能性を考えていた矢先のことで、願ったり叶ったりのテーマで、意欲的に取り組むことができましたと話します。
 「自分のこれまでの経験で、等身大の白クマを作れる自信はありました。住宅用断熱材の発泡材を張り合わせて、カッターで削り、その上に和紙を貼って、自分が描いていた通りに型を作ることができました。当初、毛並みを和紙で作る予想をしていなかったので、毛並みの再現に適した和紙を日本中から取り寄せて試しましたが、結果的に二本松の上川崎の楮を使い、イメージに合った雰囲気のある毛並みに仕上げることができました。」
 橋本さんは伝統を守るというより、伝統を作っていくと話し、代々受け継いできたものを大切に継いで、それを糧にして新しいものへチャレンジすることで、300年に渡り伝えられきた張子がより際立ち、時代に合った新しい作品を作ることが、それぞれの時代でいつも魅力的な張子があることになり、受け継いでいくものと新しいものの二本立てで、これからの制作に挑んでいきたいと話します。

取材後記

今回、「ふくしま人」へご登場を頂いたのは、郡山市高柴デコ屋敷の人形師、橋本彰一(はしもとしょういち)さん。約300年の伝統工芸三春人形を受け継ぎながら、新しい張子の可能性を追求されています。今まで作り伝えてきた先人らも、きっと常に新しい発展に繋がる挑戦をしてきたはずだと考える橋本さん。意表をつく張子の白クマを作り終えた今、既に次ぎの作品のイメージが出来ていると話します。乞うご期待!
デコ屋敷本家大黒屋21代当主:橋本彰一/株式会社デコ屋敷大黒屋代表取締役:橋本彰一
株式会社デコ屋敷大黒屋:http://www.dekoyashiki-daikokuya.co.jp/
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