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コミュニティ創造のカフェ店主 五十嵐大輔

五十嵐大輔

未来へ活かす地域の学びから人が繋がるコミュニティデザイン

 福島県の南西部に位置する南会津町は、田島町・舘岩村・伊南村・南郷村が2006年(平成18年)3月に合併して誕生した新しい町で、その中心地の田島は、鎌倉時代に奥州長沼氏によって鴫山城が築かれ、古くから会津城下から現在の栃木県日光市に至る下野街道(しもつけかいどう=会津西街道・現在の国道121号線)の宿場町として発展してきました。
 例年、7月22日から3日間、田島の夏に彩りを添える風物詩として、京都の祇園祭と福岡の博多祇園山笠と並ぶ日本三大祇園に数えられ、鎌倉時代から約800年の歴史を誇る国重文「会津田島祇園祭(あいづたじまぎおんさい)」が開催され、古式ゆかしい七行器(ななほかい)行列や屋台歌舞伎、太々御神楽(だいだいおかぐら)などが披露され、田島の街は沢山の観光客で賑わいます。
 「会津田島祇園祭」や檜枝岐村の「檜枝岐歌舞伎」、大内宿の「半夏祭り(はんげまつり)」など、古くから続く伝統芸能や祭りが大切に南会津地方に残るなかで、地域の若者らが楽しみながら地域の課題に取り組み、音楽イベントや地域を題材とした勉強会を通したコミュニティデザインにより、地域の内外と新しい人の繋がりを作っているのが、今回「ふくしま人」へご登場を頂いた南会津町田島のカフェ店主、五十嵐大輔(いがらしだいすけ)さん。
 「僕はこの街で生まれて、高校を卒業後の18歳の時に大学進学のために上京しましたが、大学生活に目的や意味が見出せず1年で中退しました。その頃からカフェをやってみたいという想いを持っていて、それに繋がる仕事とか、そうじゃない仕事も経験してみたいと思い、5年程東京で生活し、その後こちらへ戻って来ました。実家の弁当屋を手伝いながらお店を開く準備をし、2007年(平成19年)12月に開店し、今年で6年目になります。」
 五十嵐さんは、若者の間に新しいことへの試みが乏しく、変化の少ない地域性を感じながら、音楽が好きなことから何度かお店で音楽ライブを開き、地元の若い人達の力で地域を盛り上げる音楽イベントを模索していたところ、或る一人のお客様との出会いで意気投合し、その日の内に音楽イベント開催を決め、連日のように打合せを重ね、1週間後にはアーティストのピックアップやイベント会場の候補を当たっていました。
 「普通の音楽イベントではなく、地域の人達と一緒にやっていけるようなお祭りを作りたいという想いで、『大宴会in南会津』という名前をつけました。何も分からないところから始めたので最初は大変でしたが、いろいろな方に協力して頂いたり、怒られたり、仲間を集めながら、なんとか2010年(平成22年)9月に第1回目を開催できました。」
   第1回目の「大宴会in南会津2010」を開催するにあたり、五十嵐さんら有志8人は、2010年2月、『南会津に暮らす僕らが、南会津の幸せな暮らしとは何か?をテーマに様々な課題に取り組み実践していくことを目的とした団体』として「南会津ハッピーカンパニー」を立ち上げ、南会津ならではのロケーションで素敵な音楽を聴きながら、地域の食・暮らし・文化を体験、体感できる手作りのフェスティバル「大宴会in南会津」を開催し、地域を真似て学び、地域外のことも真似て学びながら、過去を知り未来に活かすために今できることを真似て学ぶ「まねぶ会」。また、地元の若手農家の指導の下で、5月から10月までの月1回、参加者が有料で大豆(収穫後、味噌に)やトマトなどの野菜作りを体験しながら、収穫期に参加者へ野菜が送られるシステム「大宴会ファーム」の活動を進めています。
 自分達が住む地域を学ぶ勉強会や農業体験、音楽イベントを通して、五十嵐さん自身がよく知らなかった地域の生活や歴史を学びながら、人との繋がりを作る五十嵐さんのお話しを引き続きお聞きしました。