コミュニティ創造のカフェ店主　五十嵐大輔

南会津を体験・体感して学ぶ手作りフェス「大宴会in南会津」

　五十嵐さんら有志８人が２０１０年（平成２２年）２月に立ち上げた「南会津ハッピーカンパニー」が開く「まねぶ会」では、南会津地方振興局や奥会津博物館などから講師を招き、南会津地方の歴史や産業、課題など、五十嵐さん自身がよく知らなかった地域についての知識を参加者と共に学び、味噌作りや塩の道など、地域を題材とした体験や勉強会を年に１０回程開いています。
　「僕自身が地域のことをまだよく知らないことが沢山あり、参加された人達と一緒に学びながら、人と人の繋がりを作っていくことが主旨です。昨年５月頃から始めた『大宴会ファーム』は、第１回目の『大宴会ｉｎ南会津』を開催した後に、ただ音楽イベントを作り上げることではなく、その経験や学びを日常の生活に落とし込みたい想いで模索し、地域には農業があり、農業に就くスタッフもいるので、最初は小さい規模でしたが、自分達も体験して学ぼうと始めました。今年は体験者を募って規模も大きくし、収穫した野菜を販売して活動資金にしたり、『大宴会ｉｎ南会津』に来て頂いたお客様に食べて頂こうと考えています。」
　２０１０年から始まった音楽イベント「大宴会ｉｎ南会津」は、南会津町の「会津山村道場うさぎの森オートキャンプ場」を会場に開催され、『南会津ならではのロケーションで、素敵な音楽を聴きながら、地域の食・暮らし・文化を体験、体感できる手作りのフェスティバル』のコンセプト通り、これまでアーティストによる音楽イベントと並び、ほうき作りや薪わり、火起こし、駒回し、笹巻き作りなど、南会津の「田舎の手業（てわざ）、遊び」を体験するワークショップや出店が企画され、地元はもちろん只見町、昭和村、三島町、会津若松市、福島市などから集まる、今年最初のスタッフミーティングを先の５月に終えた五十嵐さんに、２０１３年（平成２５年）の「大宴会ｉｎ南会津」をご紹介頂きました。
　「今年も９月１５日（日）に開催することに決定しました。最初は音楽イベントとして始まりましたが、音楽だけじゃない地元の良さをアピールしたい想いがあり、毎年開催して見えてきたものは、地域のものや暮らしに関わるものを取り上げると、その後の日常の生活に落とし込み易いことで、暮らしの根底にある地域性をテーマにしたワークショップを企画しています。新潟から海水を運んで大きな釜で前日から１日掛けて塩を作る祭り『塩炊き』や、お隣り昭和村の「ほうき作り」、旧山都町の実際にニワトリを絞めて食べる体験『いのちをいただく』ワークショップなどを考えていますが、それだけで終わりではなく、それからの日常に落とし込み、『まねぶ会』などに繋げて勉強会を開いていきたいと思います。」
　会場となる古今（ふるいま）地区の住人の方々とは第１回目から協力体制を整え、会場の設営や準備、スタッフのまかない作りなどを手伝って頂きながら、足を運んで頂いた地元のお年寄りから「自分達も楽しめるイベントだった」と言って頂いた時は、本当に嬉しかったと五十嵐さんは話し、２０１１年（平成２３年）３月の震災と、その後に起こった原発事故により、南会津町も南相馬市からの避難者の受入先となり、スタッフ全員が長く悩んだ末に開催を決めたその年にも、この時だからこそ少しでも楽しんで頂きたいと、避難をされて来た南相馬市の方々を招待しました。
　「お店でも年に３〜４回小さなライブをやっていますが、もっと回数を重ねていきたいと思っています。そういったことで地域の人達に必要とされる場所になっていければいいと思っています。」
　「まねぶ会」、「大宴会ファーム」、「大宴会ｉｎ南会津」と、南会津に暮らす五十嵐さんらが「南会津の幸せな暮らしとは何か？」をテーマに始めた活動は、自分達がよく知らなかった南会津を学ぶことから始まり、そのより良い行動が南会津の未来に確実に活かされています。

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