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オルタナティブスペースUDOK. 小松理虔・丹洋祐

UDOK

“UDOK”がリデザインするコンセプト「自分が住みたい小名浜」

本町の銀座商店街へ実際の空間「UDOK.」がオープンすると、小松さんや丹さんを中心に、建築家やフォトグラファー、アーティストなど、地元や県内外からクリエイティブに携わる人が足を運ぶようになり、音楽ライブや即興芝居、ワークショップなどの会場にもなって、通りを歩く人が覗いていったり、写真やイラストなどに興味を持つ、地元の高校生も度々顔を出すようになり、思っていた以上に人の関心が寄せられたと、UDOK.オープン後の街の反応を小松さんは紹介する。
「イベントへの純粋な興味や知識がなくて、地方ならではの人間関係で観客が集まったとしても、来てくれた人へイベントの面白さや感動を与えることが出来たと、手応えを感じています。ただ小名浜へコミットをしていっても、小名浜の人だけで固まっては駄目で、東京はもちろん、海外との繋がりだってあってもいいと思います。外のアーティストやクリエイターとの繋がりをしっかりと作り、常にクオリティを維持しながら外へ向けて発信しないといけないし、それが自分達の役割りであり、試されるところだと思います。」
311の震災で大津波に巻き込まれて損壊し、解体することが決まった社屋ビルに絵を描き、建物の最後の瞬間までを彩って弔う屋外でのアートプロジェクト「オクリエ」では、ドローイングアートを制作する丹さんと共に、東京の建築設計事務所に勤務する傍ら、ライブペインターとして活動するナカジマシゲタカさんが小名浜に来雨(UDOK.に来るという意味の造語)する。ナカジマさんと企画を進めていた過程を丹さんは話す。
「彼はこれまで小名浜とは何の縁もゆかりもなかったのですが、オープン時に初めて来てくれて、部屋の壁に“晴耕雨読”のライブペイントをしてくれました。その後“オクリエ”でも何度か来てくれるようになり、すっかり小名浜を気に入ったと話します。つまり小名浜の人が気付かない魅力が実はこの街にはあって、東京からわざわざ来たいと思わせる場や人、作るシーンやモノを僕たちが上手に用意をしてあげて、そのクオリティを僕たちも上げていきたいと思っています。」
最後にお二人が考えるUDOK.の役割りとこれからの抱負を、丹さんは分かりやすい例えで紹介してくれた。
「小名浜全体を1軒の家に例えると、UDOK.はリビングだと思います。道路は廊下で、みんなでリビングに集まり、何かを話したり作ったりしながら、同じ意識や価値観をシェアします。雨読が終われば廊下(道路)に出て寝室(家)へ戻ります。ここに集まるみんなの生活が街にはみ出していくような、小さなスケールでも、長屋のような魅力的なライフスタイルを送ることが、小名浜の丁度いい住み方だと思っています。」
それぞれに本業を持つ同世代の若者がUDOK.へと集まり、議論して練り上げたコンテンツをUDOK.から発信することは、まるで雑誌の編集のようだと小松さんは続ける。
「バラバラの職業だからこそ、個々にそれぞれのコンテンツを持っていて、それをUDOK.という場所で再編集されてブラシアップされる。それに触れる地元の中・高生や若者の感受性に刺激を与えて育てていけば、きっとこのシャッター通りから地域が育っていくことに繋がると思っています。」
UDOK.の活動を続けて伝えていく上で、“晴耕雨読”のライフスタイルが大事なんですよ、と雨読時間の“小名浜のリビング”で、そんな明日に繋がる暖かい話しを聞いてインタビューは終了しました。

取材後記

今回ご登場頂いた「ふくしま人」は、小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を共同主宰する小松理虔(こまつ・りけん)さんと丹洋祐(たんようすけ)さんのお二人。約10名の仲間達と「晴耕雨読」のライフスタイルを提唱し実践しています。「UDOK.」は、晴耕(=本業)後の雨読(=本業以外のクリエイティブな活動)の意味。インタビューはもちろん夕方定時を過ぎた雨読時間に始まり、終わったころはすっかり夜。お二人の熱い思いに温められた一時を過ごして、“帰雨”(UDOK.から帰るという意味の造語)ということに。
〒971-8101 福島県いわき市小名浜本町29-2 UDOK
◎tetoteonahama:http://www.tetoteonahama.com
◎雨読ができるまで:http://d.hatena.ne.jp/udok/
◎いわきを代表するビデオグラファー田村博之氏による「オクリエ」映像:http://ow.ly/6FytL