株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 NTTデータ経営研究所)、千葉県農林総合研究センター、千葉県果樹園芸組合連合会なし部会、船橋市経済部農水産課、株式会社イーエスケイ(本社:千葉県木更津市、代表取締役社長:杉田 寛治)、及び東日本電信電話株式会社 千葉事業部(所在:千葉県千葉市、千葉事業部長:境 麻千子、以下 NTT東日本)、は、この度、スマート農業に関する取組の一環として、千葉県の特産品であるニホンナシの重要な病害である黒星病について、発生予測に基づく防除支援技術を携帯端末のアプリケーションに搭載し、ナシ園ごとの微気象を踏まえた病害虫発生予測と防除要否の情報を生産者に提供する実証事業に取り組みます。
実証事業の実施にあたり、千葉県、千葉県果樹園芸組合連合会なし部会、船橋市、株式会社イーエスケイ、NTT東日本及びNTTデータ経営研究所(代表団体)でコンソーシアムを結成します。なお、本事業は、総務省事業「IoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築」を活用しています。
千葉県はニホンナシの産出額150億円、栽培面積1,520haといずれも全国1位を誇りますが、その生産量は減少傾向※にあり、収穫量のピークだった平成7年から比較すると約17%減少しています。減少要因としては、就労人口の減少に伴う人手不足や気候変動による病害の増加等が挙げられますが、その中でも重要病害であるナシ黒星病の影響が大きな影響を及ぼしています。
ナシ黒星病への対策は、気象条件を踏まえて、適切なタイミング・時期に、適切な回数の薬剤散布を行うことですが、温暖化等に伴う気候変動の影響で、暦日単位で計画された薬剤散布では防除が難しくなっており、防除タイミングの高度な判断が必要となっています。ナシ黒星病を適切に防除するためには、圃場毎の環境データの可視化や、細やかな状況予測などが必要になります。
こうした状況の中、千葉県農林総合研究センターが地域のアメダスデータに基づいたニホンナシの黒星病発生予測・防除支援技術(通称:梨なび)を確立しましたが、パソコンの表計算プログラム上での利用にとどまっており、圃場でも簡単に利用できるスマートフォンやタブレットには対応していませんでした。
※総収穫量 平成7年:36,700t →平成27年:30,500t(約17%減少)今回の実証事業では、千葉県農林総合研究センターが開発した防除予測アルゴリズムを用いた「梨なび」を携帯端末等で操作できるアプリケーションを開発するとともに、より正確な圃場の微気象情報を得るために、圃場毎に気象センサを設置し、「微気象ネットワーク」の構築を目指します。これにより、圃場内の微気象情報を踏まえた病害虫発生予測と防除要否のナビゲーションを生産者に提供することを目指します。
アプリケーションの開発によって、生産者は、圃場毎の気象情報に合わせた作業ナビゲーションシステム「梨なび」を身近に利用できるようになり、適期・的確な防除、防除回数の削減、収穫ロスの抑制、減農薬栽培が可能となります。
時期 | 実施内容 |
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2019年7月18日 | 実証実験開始 |
〜2019年9月 | 微気象ネットワークの構築 |
〜2019年10月 | 「梨なび」クラウドプロトタイプの開発 |
2019年10月 | 中間報告 |
〜2020年1月 | 「梨なび」アプリの開発 |
〜2020年1月 | 実証データの取得・効果検証 |
2020年2月 | 成果報告 |
メンバー | 役割 |
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千葉県農林総合研究センター 千葉県果樹園芸組合連合会 |
・千葉県におけるスマート農業プロジェクトの推進・連携 ・気象情報からナシの生育状況や病害発生の予測を行うアルゴリズムの提供 ・ナシの生育、作業支援ナビゲーション利用に関するアンケート調査への協力 ・生産者への広報・普及活動 |
船橋市 | ・実証フィールドの提供 ・自治体におけるスマート農業推進策に関する助言 |
株式会社イーエスケイ | ・「畑らく日記」と連動させた「梨なび」アプリの開発 ※畑らく日記…農作業者が簡単に栽培履歴を記録することができるアプリケーション |
NTT東日本 | ・気象センサを用いたナシ園の気象データネットワークの構築 ・効率的なデータ収集に向けた電波検証 |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 経営研究所 |
・事業全般の管理・統括 ・アンケート調査等によるデータ収集・分析 ・効果検証、報告書のとりまとめ |
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