東日本電信電話株式会社千葉事業部(事業部長:池田 敬 以下、「NTT東日本」)は、千葉市の税業務をフィールドとし、AI-OCR※1による実帳票の読取精度及び、AI-OCR/RPA※2による業務効率化の効果を検証しました。
千葉市では、少子高齢化、市民の価値観・ライフスタイルの多様化など社会環境が変化する中、ITや限られた人的・経済的資源を有効に活用することにより、市民サービスの維持・向上、行政運営の効率化を推進しています。NTT東日本は『DXSuite®』※3のAI-OCR技術と、『WinActor®』※4の RPA技術を組み合わせることで、「紙を使用した業務の効率化」という、自治体に共通して存在する庁内課題解決に貢献できると考え、本実証実験に至りました。
今回の実証実験では、AI-OCRで帳票をデジタル化しRPAで千葉市税務情報システムへ自動入力することで業務効率化を図るため、千葉市役所課税管理課の個人住民税、法人住民税の業務を対象とし、AI-OCRによる対象帳票の読取精度及びAI-OCR/RPAによる職員の業務時間の削減効果を測定しました。
業務効率化により創出できた時間は、創造的事業や市民へのコミュニケーションに充てるなど、職員稼働の有効活用が期待できます。
市民や企業からの申請帳票内容を、職員が税システムへ手入力で投入している業務を選定しました。その中でも、特に年間処理数が多く、帳票が定型化されている個人住民税、法人住民税の業務を本実証実験の対象にしました。
対象業務 | 対象帳票 | 年間処理件数 |
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個人住民税 | 給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(千葉市様式) 従業員の退職・休職・および転勤等の事由が発生した場合に、事業主が従業員の居住している自治体に対し提出する帳票 |
年間約55,000件※5 |
法人住民税 | 確定・中間申告書 (千葉市様式およびeLTAXでの申請書) 法人が、事務所や寮等を設置している自治体に対して事業決算に基づき毎年提出する帳票 |
年間約27,000件※5 |
現状業務フロー内の赤枠部分をAI-OCR/RPAに置き換え、検証を実施しました。
AI-OCRは、手書き/活字 共に読取精度が高く、帳票のデジタル化への有用性を確認できました。この結果から、本運用時の想定導入フローでは、AI-OCR読取結果に対する確認・補正作業は実施せずに、システム投入後の確認作業においてエラーデータの確認やシステム修正を実施することで、帳票のデジタル化からシステム投入までの自動化が可能と考えられます。その場合、個人住民税の業務削減時間は、年間で最大約1,283時間と想定されます。なお、同時に全体業務フローの見直し、RPAのシナリオ精度向上等の改善が必要です。
また、AI-OCR/RPAは一連の操作が容易なため、新任職員や繁忙期における臨時職員が活用することで、更なる時間削減と自動投入による正確性向上が期待できます。
本実証実験により、自治体業務へのAI-OCR/RPA導入に向けた効果と課題の洗い出しができ、より効果的な導入検討が可能となりました。今後は本導入に向けて、「対象業務の見極め」「帳票の統一化」「運用保守体制の整備」等を検討しつつ自治体業務における更なる業務改善、効率化の支援を検討してまいります。
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