東京ホーム > お知らせ > 目黒区とのAI-OCRおよびRPA活用実証実験結果について〜2つの業務において、高い読取り精度と大幅な稼働時間の削減を実証〜


(報道発表資料)

2019年8月28日
目黒区
東日本電信電話株式会社 東京事業部

目黒区とのAI-OCRおよびRPA活用実証実験開始について
〜2つの業務において、高い読取り精度と大幅な稼働時間の削減を実証〜

 

  目黒区( 区長:青木 英二 )と 東日本電信電話株式会社 東京事業部( 取締役東京事業部長:中江 康二、以下「NTT東日本」)は、AI-OCR※1 及びRPA※2 を自治体業務に活用し、業務効率化の有効性を分析・検証する実証実験を共同で実施しました。
※1 AI-OCR=AI (Artificial Intelligence)とOCR (Optical Character Recognition/Reader)の頭文字で、手書き書類や帳票の文字読取を行い、データ化するAI技術を使ったOCRサービス
※2 RPA= Robotic Process Automation の頭文字で、ソフトウェアロボットが業務プロセスを自動処理


 

1. 背景

  住民からの各種申請書類など、自治体における事務手続きには、依然として多くの紙帳票が使われており、紙帳票からシステムへのデータ入力は職員の手作業に頼るところが多く、データ入力業務の作業量削減が、各自治体の共通課題となっています。
  今回の実証実験では、AI-OCRにて実帳票をデータ化し、一連の業務プロセスをRPA で自動化することにより得られた稼働削減効果などを検証しました。

 

2. 実証実験内容

   (1) 実証実験期間:2019年5月9日〜2019年6月30日

   (2) 実証実験対象業務
     庁内アンケートで要望のあった業務のうち、AI-OCR・RPAとの親和性や、業務プロセス改善の必要性などを考慮し、
   保育課の「保育施設運営費支出」および、人事課の「研修評価シート集計」の2業務を対象としました。

  (3)実証実験利用ツール
   ・AI-OCRツール     『DXsuite®』※3   簡易オンプレミス端末 (AI inside社製)
   ・RPAツール        『WinActor®』※4   (NTT-AT社製)

※3 『DXsuite®』は 大量の紙書類を高精度で仕分け・データ化し、業務効率化を支援するAI inside社( 本社:東京都渋谷区、代表取締役社長CEO:渡久地 択 )が提供するAI-OCRサービス
※4 『WinActor®』は NTTアクセスサービスシステム研究所 で研究開発された技術をベースに、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社; ( 本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:木村 丈治 )が商品化した純国産RPAツール


 

3. 実証実験効果

   (1)  保育施設運営費支出業務
   紙帳票の児童名簿をAI-OCRでデジタル化し、電子稟議システムへの入力をRPAによって自動化しました。これにより年間での稼働削減率は、9割を超える見込みとなりました。
   AI-OCRの読取り精度については99.9%と、個別チェックを必要としないレベルの精度が確認できました。
   その他の効果としては、入力作業の正確性向上や、同じ稟議システムを使用する他業務への展開などが期待できます。


【保育施設運営費支出業務の自動化イメージ】

 

 

   (2)  研修評価シート集計業務
   職員研修実施後の手書き評価シートをAI-OCRでデジタル化し、集計用Excelファイルへの入力をRPAによって自動化しました。これにより年間での稼働削減率は、3割を超える見込みとなりました。(Excelファイルへの転記後に自由記述文章を整理、修正する時間を含めた場合。Excelファイルへの転記で完結した場合、稼働削減率は96.3%に高まります。)
    AI-OCRの読取り精度については、手書き文字も含め98.2%と、十分実務に活用できることが確認できました。
    定性的な面では「作業が集中する時期でも一定の品質を確保できる」「自由記述欄が長文であっても正確に転記できる」といった効果が期待できます。


【研修評価シート集計業務の自動化イメージ】

 

 

4. 今後について

   本実証実験により、自治体業務へのAI-OCR/RPA導入に向けた効果と課題の洗い出しができ、より効果的な導入検討が可能となりました。 今後は本格導入に向けて、「対象業務の見極め」 「帳票の統一化」 「運用保守体制の整備」等を検討しつつ、目黒区以外の自治体に対しても、更なる業務改善の支援を実施してまいります。