1.目的 |
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高品質なHDTV映像コンテンツを技術的な制約や混乱なく制作し、確実に視聴者のもとにお届けしていくために、HDTV映像に最適化したデジタル放送技術や機器の開発、通信事業者による高品質、大容量のデジタルHDTV映像コンテンツ中継配信用インフラの開発、整備が急務となっています。
今回の実験は、TBS、NTT、NTT東日本、NTT Comの4社が、各々の事業分野で培った技術とノウハウを集結させ、HDTV映像伝送技術の総合的な実用検証を行うことを目的としています |
2.実施内容 |
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NTT横須賀研究開発センタ(横須賀市)と「Inter BEE'99」会場である幕張メッセを、ATMメガリンクとOFDMデジタルFPUで結び、NTTが開発した世界最小、最軽量のポータブルHDエンコーダを使用してHDTV映像を会場内の複数モニターに実況中継します。
具体的には、ATMメガリンクとOFDMデジタルFPUによる「伝送折り返し*4実験」、ATMメガリンクによる「双方向通信実験」及び「マルチキャスト*5実験」を、実際の番組放送と同様の中継スタイルを通じて実施します。
なお、本実験における各社の作業分担は、TBSがHDTV番組制作及びOFDMデジタルFPU装置の実証、NTTがポータブルHDエンコーダの各種中継システムとの接続性の実証、NTT東日本とNTT ComがATMメガリンクによるデジタルHD映像伝送の技術評価及びネットワークサービスとしてマルチキャスト機能を試験提供した場合の技術評価を担当します。 |
3.実験の技術的ポイント |
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(1)世界最小、最軽量のポータブルHDエンコーダ |
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「HD-WAVE」で使用するエンコーダは、試作段階ながら、NTTが独自に開発したMPEG-2ビデオエンコーダ用LSI「Super ENC」を9個並列連結したもので、世界最小サイズ(従来体積比約1/2〜1/4)を実現しています。また、低消費電力(従来品比約1/2)なのでDC12V電源動作が可能となり、機動力が要求される屋外中継での使用が可能となりました。
本エンコーダは複数のLSIチップが分担して画像処理を行いますが、新開発の「マルチチップ間最適符号量配分制御法」により、高画質・高圧縮効率のエンコードを実現しました。 |
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(2) | 安定した映像・音声伝送を可能にするOFDMデジタルFPU装置 |
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アナログFM方式に比べ電波の変動や障害に強く、安定した映像・音声の無線伝送を実現するのがTBSが開発したOFDMデジタルFPU装置です。
本装置を利用することにより、例えばマラソン中継など建造物による電波障害が起きやすい移動中継でも、コース沿いの受信点の数を従来より減らしながら乱れのない映像が得られるなど、高品質なHDTVコンテンツの制作が可能となります。 |
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(3) | ATMメガリンクを利用したデジタルHD映像伝送とマルチキャスト映像分配 |
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本実験のインフラ面での基盤になるのが、高速・広帯域なNTTグループの光伝送サービス『ATMメガリンク』です。NTT横須賀研究開発センタで撮影された映像をMPEG-2 HDTVエンコーダによりデジタル化し、ATMメガリンクでNTT幕張ビルへ伝送します。
そこでATM-SLT(ATM Subscriber Line Terminal)というノード装置*6でセルコピーした後マルチキャストでデコーダ等の機器に分配して映像信号に戻します。こうして、幕張メッセ内の複数のモニターに表示します。 |
4.今後の予定 |
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Inter BEE'99での実験後も、引き続きフィールド実験を行っていきます。 |