平成19年12月19日
(報道発表資料)
北海道岩見沢市
東日本電信電話株式会社
日本電信電話株式会社


既存の複数ネットワークを活用した市民向け
「防災情報伝達の強化に向けた共同トライアル」の
実施について


 北海道岩見沢市(市長:渡辺孝一、以下岩見沢市)、東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、社長:高部豊彦、以下NTT東日本)、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、社長:三浦惺、以下NTT)は、岩見沢市民へ迅速かつ確実に防災情報を伝達するための新たな情報伝達方法の検証を行う「防災情報伝達の強化に向けた共同トライアル」(以下、本トライアル)を、岩見沢市内において平成19年12月20日(木)より開始いたします。


1.岩見沢市におけるこれまでの取り組み
 岩見沢市では、市民サービス向上の観点から「岩見沢市におけるコミュニティの安全と市民の安心を高める条例」(平成10年制定)をはじめ、市民、民間企業、行政等が協働し、安全・安心な地域コミュニティを形成するための取り組みを積極的に推進しております。その一環として、災害時における市民への防災情報伝達を目的に、防災行政無線網や各種ICT※1基盤(光ファイバ網、衛星通信網等)の構築、高度利活用の検討を行ってきましたが、「迅速」かつ「確実」に情報伝達を実現するには、より広範囲への基盤整備を行うことが課題となっておりました。
※1 :ICT:情報通信技術(Information&Communication Technology)


2.防災情報伝達制御システムの開発
 NTTの環境エネルギー研究所では、防災行政無線網だけではなく、既存のネットワークを利用することで、安価で確実な情報伝達を実現可能とする仕組みの開発を進め、この度「防災情報伝達制御システム」(以下、本システム)を開発いたしました。
 本システムは、既存の岩見沢市光ファイバ網※2、インターネット、携帯電話網、MCA網※3等の複数のネットワークを活用し、岩見沢市役所等防災情報発信元から行う一つのサーバ操作によって複数のネットワークへ防災情報等の同報配信を可能とするシステムです。さらに、それぞれのネットワークの故障状況や輻輳※4状況に応じて、ネットワークの帯域に合わせた情報内容の自動編集を行い、重要情報等を優先的に伝達する機能も有しています。
※2 :岩見沢市光ファイバ網:岩見沢市が敷設し、独自で運用している光ファイバ網。
※3 :MCA網(Multi Channel Access System):業務用無線通信網の一つで、防災行政無線の一部としても利用されている。
※4 :輻輳:特定の通信設備に対し通信が集中することにより、通信設備の疎通能力が継続して著しく低下する現象。

 また、本システム導入により見込まれる効果は次のとおりです。
<1> 低コストでの導入、及び確実な防災情報伝達の実現
  既存の複数ネットワークの活用により、防災情報伝達手段の多様化や、より広範囲に向けた防災情報伝達の仕組みを低コストで実現可能とします。
<2> 迅速な防災情報伝達の実現
  複数ネットワークに対して、岩見沢市役所等防災情報発信元での情報発信の一元化が可能となるため、一時を争う防災情報伝達のスピードアップ化が図れます。


3.本トライアルの目的、概要
 岩見沢市は市民への防災情報の迅速かつ確実な伝達による防災力の強化を目的に、またNTT東日本、NTTは他の行政地域での展開を視野に入れ、以下4点について、サービス面、技術面の検証を行います(別紙参照)。
(1)市民向け情報配信
<1> 既存の複数ネットワークを活用した一斉同報配信
  既存の複数ネットワーク(岩見沢市光ファイバ網、携帯電話網、MCA網)を経由した、屋外スピーカーへの防災情報配信
<2> 低出力型FM放送による避難所などへの情報配信
  岩見沢市光ファイバ網、及び低出力型FM放送を利用した、避難所に設置されたラジオへの防災情報配信
<3> インターネットを利用した各家庭への双方向情報配信
  インターネットを利用した各家庭への防災情報の一斉同報配信と、双方向通信の利点を活かした各家庭からの応答・安否確認

(2)行政内情報配信
・代替ネットワークへの切り替えによる、重要情報等伝達制御
岩見沢市役所等防災情報発信元と支所等情報拠点までのネットワークを、岩見沢市光ファイバ網や携帯電話網で複数構成とし、ネットワークの輻輳や切断等の故障時における利用可能なネットワークへの切り替えと、切り替え後のネットワークの帯域に合わせた重要情報等の分離化、及び優先的な配信


4.トライアル実施期間(予定)
平成19年12月20日(木)から平成20年3月31日(月)


5.トライアル実施場所
北海道岩見沢市内
(大願地区、岩峰地区、北村支所、新産業支援センター、自治体ネットワークセンター 等)


6.トライアル実施者の役割
<岩見沢市>
トライアル参加者の選定
トライアルフィールドの提供
市民向け災害情報コンテンツの提供

<NTT東日本>
「Bフレッツ」の提供
本トライアルの企画、立案
防災システム等コンサルティング

<NTT>
防災情報伝達制御システムの開発、構築
トライアル端末やソフトウェアの提供
本トライアルの評価、検証


7.今後の展開
 本トライアルにおける、運用性、操作性、システム技術性の評価結果を踏まえ、岩見沢市では、更なる市民の安心、安全を確保するために、引き続き各種ICT基盤の整備を進め、防災情報の確実な伝達手段をNTTグループとともに検証し、本システムの他自治体との共同利用による構築費・運用費の低減化についても検討していく予定です。
 また、NTT東日本とNTTは、今後も自治体の防災業務のICT化に向けたシステム開発や提案を積極的に取り組んでいくと同時に、NTTでは、今後さらに検証を重ね、本システムの製品化を目指していきます。



(別紙) 本トライアルでの検証範囲


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