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1.業績の概況 |
当期におけるわが国経済は、個人消費の緩やかな増加や企業の設備投資の増加など、景気は堅調な回復基調にあったものの、期末にかけて個人消費がおおむね横ばいに推移するなど、景気の回復は緩やかなものとなりました。
情報通信分野におきましては、ブロードバンドサービスの利用ニーズが急速に高まる中、ADSLサービスの高速化や顧客獲得競争による料金の低廉化が進行する一方で、当期後半には光アクセスサービスの需要が本格的に拡大してまいりました。また、固定電話市場におきましても、ドライカッパを利用した直収電話サービスの提供による他事業者の基本料分野への参入など、競争環境は一層厳しいものとなりました。
このような事業環境のもと、当社は、「真のお客さま主導企業」を事業運営の基本に、当期を『離陸期に入った「光」を本格化する正念場』と位置付け、本社等組織の見直しにより、更なる販売力、サービス開発力の強化および意思決定のスピード化等を図るとともに、多彩なIP・ブロードバンドサービスの展開、付加価値の高いコンテンツの提供等に積極的に取り組み、新たな収益源の開拓と財務基盤の確立に努めてまいりました。
当期における主な取り組みは、次のとおりであります。
まず、ブロードバンド市場におきましては、多様なお客様ニーズに対応した更なるサービスの拡充と料金の低廉化に努めてまいりました。具体的には、新たに下り最大概ね47Mbps、上り最大概ね5Mbpsへの伝送速度の高速化を実現した「フレッツ・ADSL モアIII」を昨年8月に、最大1Gbpsの加入者光ファイバ区間を複数のお客様にて共用する最大100Mbpsのサービス「Bフレッツ ハイパーファミリータイプ」を昨年11月から提供開始しました。また、光アクセスサービスを利用した低廉な通話料金で固定電話並みに高品質なIP電話サービスにつきましては、「ひかり電話」として、昨年9月に集合住宅向け、本年2月に戸建住宅向けに提供を開始するとともに、すでに提供していた法人向けサービスにつきましては、より多くの法人のお客様にご利用いただけるよう、本年4月から、中堅・中小企業向けのメニューを追加することとしたほか、提供エリアの拡大に積極的に取り組んでおります。
このほか、タッチパネルによる簡単な操作でお使いいただけるIPテレビ電話端末「フレッツフォン VP1000」や首都圏主要駅等において、最大54Mbpsの汎用無線LANにより、高速・定額でインターネット接続がご利用いただける「フレッツ・スポット」の提供を開始するなど、お客様の利便性の向上を図りました。
さらに、ディズニーキャラクター達と一緒に楽しめる「DisneyBB on フレッツ」のメニューを充実するとともに、実在のゴルフ場をバーチャル体験できる「Try to ゴルファーズBB on フレッツ」など、他企業とのアライアンスにより、ブロードバンド環境を活用した付加価値の高いコンテンツの普及拡大に努めてまいりました。
一方、「法人向けIP電話サービス」の同一契約者間の通話料金を県内通話だけでなく、県間通話も無料とするほか、「Bフレッツ」の月額利用料等を値下げし、料金の低廉化に努めるとともに、フレッツサービスにおける月額利用料等の各種「無料キャンペーン」の延長等を実施するなど、販売促進施策を積極的に展開してまいりました。
また、電話料金につきましては、固定電話から携帯電話への通信におきまして、当社の事業者識別番号「0036」をダイヤルいただくことにより、従来、携帯電話事業者が設定してきた料金より低廉な料金でご利用いただける通話サービスを昨年4月に開始したほか、最近の電気通信市場における競争環境の変化を踏まえて、将来の光IP時代のフラットな基本料・通話料体系を展望した値下げおよび通話料割引サービス「イチリッツ」の提供等を本年1月から実施するとともに、施設設置負担金につきましても、本年3月から値下げを実施しました。
法人ビジネス分野におきましては、業種・業態別営業体制をベースとした企業グループ単位でのビジネスユニットを構築し、あわせて、サービス開発から販売までをトータルで提供する体制とするための本社組織の見直しを昨年7月に実施するとともに、お客様と課題を共有し共に新たなビジネスを創造していく「Team
m@rketing solution」(チーム・マーケティング・ソリューション)というビジネスコンセプトのもと、メガデータネッツ、スーパーワイドLAN、メトロイーサ等のビジネスユーザ向け光アクセスサービスおよびデータセンター等のサービス提供に積極的に取り組むほか、昨年4月に施行されました改正電気通信事業法に基づく相対契約制度の活用等により、高度化、多様化するお客様ニーズに的確に対応したトータルなソリューションビジネスを展開しました。このほか、ビジネスユーザ事業推進本部「e-Japan推進部」および各支店法人営業部「e-Japan推進室」を中心に、東日本エリアにおける各自治体の「e-Japan重点計画」に対しましても、積極的に取り組んでまいりました。
業務運営体制につきましては、「コンシューマ事業推進本部」、「ビジネスユーザ事業推進本部」、「ネットワーク事業推進本部」の3事業推進本部を新設するとともに、スタッフ部門の統廃合を行うなど本社等組織の見直しにより、支店等との関係を含めた意思決定のスピード化を図ってまいりました。また、東日本グループとして、構造改革に伴い設立した県域子会社(※)との連携により、ITホームコンサルタント事業を展開するなど、事業領域の拡大に向け積極的に取り組んでまいりました。
※県域子会社:都道県単位に設置した「株式会社エヌ・ティ・ティサービス〔都道県名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティエムイー〔都道県名・地方名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ〔都道県名〕」の各社
また、コンプライアンス(法令遵守)の確立が企業の存続を左右する重要な課題であるとの認識のもと、これまでも管理体制の整備や社員教育の徹底等に取り組んできたところでありますが、個人情報保護法の全面施行を捉え、本年4月に、当社の個人情報保護に向けた取り組みの基本方針を策定・公表するとともに、「個人情報保護推進室」を新設することとし、今後も個人情報の適正な取扱いの推進を図っていくこととしました。
環境保全への取り組みにつきましても、平成11年12月に制定した「NTT東日本地球環境憲章」に基づき、従来よりも耐久性や防食性を高めたエコ鋼管柱の開発をはじめ、地球温暖化対策、紙資源対策、廃棄物対策を中心とする環境負荷軽減に向けた取り組みや情報通信のライフサイクルアセスメント(LCA)を継続して実施するとともに、「NTT東日本環境報告書2004」を発行するなど、環境経営の推進に努めてまいりました。
さらに、昨年10月に発生した「新潟県中越地震」におきましては、通信設備およびサービスの早期復旧に向け全社を挙げて取り組んでまいりました。また、特設公衆電話の設置や災害用伝言ダイヤル(171)の運用により連絡手段の確保を図ったほか、被災による設備故障等で電話がご利用できなかったお客様につきまして、その期間の基本料金等を無料とするとともに、被災者への義援金募集に係るダイヤルQ2番組の回収代行手数料の無料化を行うなど、情報通信事業者として、被災者支援の一翼を担ってまいりました。
以上の結果、当期の営業収益は2兆1,809億円(前期比3.8%減)、経常利益は976億円(前期比0.2%減)、当期純利益は581億円(前期比0.2%増)となりました。 |
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