平成16年10月14日
(報道発表資料)
東京国際映画祭組織委員会事務局
西日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社
日本電信電話株式会社


「第17回東京国際映画祭」において
世界で初めてハリウッド標準仕様の4Kデジタルシネマを上映


  東京国際映画祭組織委員会事務局(東京都中央区、ゼネラル・プロデューサー:角川歴彦、以下映画祭事務局)、西日本電信電話株式会社(大阪市中央区、代表取締役社長:森下俊三、以下NTT西日本)、東日本電信電話株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:三浦惺、以下NTT東日本)、日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫、以下NTT)は、平成16年10月23日(土)から開催される「第17回東京国際映画祭※1」において、次世代の標準的な映画上映方式と目されるハリウッド(DCI)仕様の4Kデジタルシネマ※2版「失楽園」の特別上映会を開催いたします。ハリウッド(DCI)仕様のデジタルシネマとしては、世界初の上映となります。


1.取り組みの背景と目的

 現在、映画業界は、従来のアナログフィルムを用いないデジタルシネマと呼ばれる上映方式への移行が進展しています。世界の映画製作・配給の中心地ハリウッドでは、7大メジャースタジオが2002年に「DCI(Digital Cinema Initiatives)」を設立し、デジタルシネマの映写及び配給に関する技術仕様を制定することを目的として、現在最終勧告に向けて議論を続けています。このDCI仕様は、デジタルシネマ技術の事実上の国際標準として世界中の映画業界へ大きなインパクトを与える可能性を持っており、日本国内でもデジタルシネマが本格的に普及すると予想されております。
 このような背景のもと、NTTグループでは、映画等の大容量コンテンツを高品質かつ高セキュリティを保持したまま配信するための技術を開発・検証してまいりました。また、NTT西日本は平成13年度に東宝株式会社と共同で、映画「千と千尋の神隠し」のデジタルシネマ配信実験を行うなど、将来の高速大容量伝送時代に向けた新たな配給−興行モデルの創造について先進的な取り組みを推進してまいりました。今回、アジアで最大の映画の祭典であり、日本で唯一の国際映画祭である「第17回東京国際映画祭」では、DCI仕様において最高水準の規格となる800万画素クラス(4,096×2,160画素)のデジタルシネマ(以下4Kデジタルシネマ)の驚異的な映像品質を体感していただくことを目的に、DCI仕様に準拠した4Kデジタルシネマとして世界初の上映会※3を開催することにいたしました。


2.開催概要

第17回東京国際映画祭
デジタルシネマ上映会
〜ITで広がる東京国際映画祭の新しい可能性〜

上映作品 「失楽園」4Kデジタルシネマ版 119分
監督: 森田芳光
  原作: 渡辺淳一
  出演: 役所広司、黒木瞳、星野知子、柴俊夫、寺尾聰、木村佳乃ほか
  製作: 97年 角川書店、東映、日本出版販売、三井物産、エースピクチャーズ

<大阪会場>
平成16年10月25日(月) 19:00開場  19:20開演
ナビオTOHOプレックス 大阪市北区角田町7-10(HEP NAVIO 8F)

<東京会場>
  平成16年10月28日(木) 19:00開場  19:20開演
シネマ メディアージュ 東京都港区台場1-7-1(アクアシティお台場 メディアージュ内)

主催 西日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社
  共催 財団法人東京国際映像文化振興会 第17回東京国際映画祭組織委員会
  技術協力 日本電信電話株式会社 未来ねっと研究所、日本ビクター株式会社、株式会社IMAGICA
  後援 デジタルシネマ実験推進協議会、NPO法人ディジタルシネマ・コンソーシアム

(上映会ご招待の概要)
・応募方法     インターネットから下記の応募受付ページでお申込ください。
 
R15指定のため15歳未満(中学生以下)の方はご応募・ご鑑賞いただけません。
<大阪会場>
上映会公式応募サイト( http://www.e-actos.com/special/cinema/ )
MovieWalker ( http://www.walkerplus.com/movie/ )
映画の花道( http://eiganohanamichi.com/ )
goo映画( https://movie.goo.ne.jp/

<東京会場>
  MovieWalker ( http://www.walkerplus.com/movie/ )

・締切 平成16年 10月18日(月) 13:00
・発表 招待状の発送をもって発表にかえさせていただきます。


3.「4Kデジタルシネマ」について

 100年にわたり映画の撮影や上映に使用されてきたアナログフィルムは、マスターフィルムから複製を重ねることによる複製段階での映像劣化と、更にはそのような過程を経て作成されたフィルムを繰返し上映することによる映像劣化が避けられません。映画をデジタル化することによりこの2つの劣化を克服したのがデジタルシネマですが、従来の200万画素クラスのデジタルシネマでは、35mmオリジナルネガフィルムが持つクオリティを十分に再現することが困難であるため、より高品質な映像が要求されていました。
 これに対して、NTT未来ねっと研究所は次世代のデジタルシネマ規格に関する研究活動を推進し、従来と比べて約4倍の800万画素クラス(4,096×2,160画素)映像を再現できる超高精細映像技術を開発しました。この技術を応用した同研究所の4Kデジタルシネマ配信システム(システムの写真は別紙)は、ハリウッドのデジタルシネマ評価機関「ETC」※4における実験で「35mmフィルムのアンサープリント品質と同等」という高い評価を得た革新的なもので、DCIの技術仕様でも最高水準の4K規格として同研究所の4Kデジタルシネマ配信システムの超高精細映像技術が採用されています。
 今回の上映会で使用する本システムの専用D−ILAプロジェクタ※5は、画素数800万画素(4,096×2,160:従来のハイビジョン映像の約4倍)を有しており、また1画素あたり各色10bitの精度を持つもので、35mmフィルムのマスター映像と同等品質の再現を可能にしました。同研究所では、圧縮・暗号化された超高精細映像をIPネットワーク経由で送る配信技術や、デジタルシネマ映像に電子透かしを刻印するセキュリティ技術の開発も行っています。


4.NTTグループの今後の取り組みについて


 光ブロードバンドによる高速大容量のコンテンツ流通が期待されるなか、製作−配給−興行をネットワークで結ぶデジタルシネマの新たなビジネスモデル確立に向けて、映画コンテンツを高速かつ高セキュリティを保持したまま高品質に映画館へ配信するための技術を開発・検証してまいります。


5.その他

  東京国際映画祭開催に合わせて、ブロードバンドを利用した取組みの一環として、フレッツご利用者専用サイト「フレッツ・スクウェア」※6で東京国際映画祭特集※7を展開致します。



※1 「第17回東京国際映画祭」について
 
主催: 財団法人東京国際映像文化振興会 第17回東京国際映画祭組織委員会
期間: 平成16年10月23日(土)〜10月31日(日) 9日間
会場: Bunkamura(渋谷区)、六本木ヒルズ(港区)をメイン会場として、ほか都内及び各都市の各劇場及び施設・ホールを使用します。

※2 4Kデジタルシネマ (4K Digital Cinema)
  DCIがハイエンドの仕様に採用したデジタルシネマの規格です。各色10bitの800万画素(4,096×2,160画素)、24fpsで、圧縮フォーマットにはMotion JPEG 2000を採用。映画では解像度を水平方向(横方向)の走査線数で表記するため、「4K規格」と呼ばれています。

※3 今回はデモンストレーションのため、ネットワークを使わない構成での上映となります。

※4 ETC(Entertainment Technology Center)
  ハリウッドのデジタルシネマ標準評価機関である南カリフォルニア大学の施設です。

※5 D−ILAプロジェクタ
  日本ビクター(株)開発の、各色にフル解像度(4,096×2,160画素)の反射型液晶パネルを用いて合成する方式を持つプロジェクタ。高開口率で高解像度を実現できるという特徴を持っています。

※6 「フレッツ・スクウェア」
  フレッツ・アクセスサービス(Bフレッツ、フレッツ・ADSL、フレッツ・ISDN)ご利用のお客様向けにNTT東西が提供するサイトです。フレッツ網上のサーバからコンテンツを配信するため、安定したスループットでブロードバンド体感コンテンツ等幅広いコンテンツをご利用いただけます。

※7 東京国際映画祭特集
  映画祭で上映される特別招待作品、コンペティションなどの予告編や、オープニングセレモニーのレッドカーペット模様、映画祭期間中のニュースを動画で配信します。



【別紙】4Kデジタルシネマ配信システムの写真


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