NTT東日本とNTT西日本(以下、NTT東西)は、NTT東西が独自に開発したPET*1粉体塗装を鋼管柱の地下埋設部に施した環境にやさしい鋼管製電柱(エコ鋼管柱)を、平成15年
11月から新たに導入開始することとしました。
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PET:ポリエチレンテレフタレート[Poly(Ethylene Terephthalate)]の略。飲料容器などに幅広く使われ、容器リサイクル法でリサイクルが強く推進されています。 |
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1. 概要 |
| NTT東西は、全国に多数の鋼管柱を敷設しています。鋼管柱は、ブロードバンドを含めて通信を支える重要な通信インフラ設備の一部であり、設備・資源の有効利用、廃棄の問題を鑑み、NTT東西は、鋼管柱の長寿命化に取組んでまいりました。
鋼管柱は、その下部を地下に埋設し固定しますが、鋼管柱の長寿命化のポイントは、地下という腐食性の高い環境において*2鋼管柱本体の腐食を長期に防ぐことにあります。この防食用塗装として、これまでコールタール*3を含有するタールエポキシ樹脂を使用してきましたが、防食性が十分ではありませんでした。これに対し、NTT東西では、極めて優れた防食性を有し、コールタールを使用しないだけでなく、環境3Rの機能を付与する塗装として、PET粉体塗装の開発を進めてきました。このたびPET粉体塗装を鋼管柱の地下埋設部に施した環境にやさしい鋼管製電柱(エコ鋼管柱)を開発しましたので、平成15年11月より順次導入を開始することとしました。
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鋼の腐食は、水、酸素(空気)、塩分が大きな要素で、これらの存在により腐食が加速されます。鋼管柱が埋設される地下土壌は、一般にこれら3要件がすべて存在します。 |
*3 |
既存の鋼管柱からコールタールが流出する恐れはなく、第3者にも影響を与える可能性はありません。 |
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2. エコ鋼管柱の特長 |
| エコ鋼管柱は、環境のキーワードである3R(リデュース・リユース・リサイクル)を満たしています。 |
| | (1)リデュース:省資源 |
| | | 製品寿命(ライフサイクル)が大幅に延びることにより、長期間のサービス提供を考えた場合、必要な天然資源が大幅に減少します。 |
| | (2)リユース:再利用 |
| | | PET粉体塗装が強靭で寿命が長いため、移転等により一度撤去した鋼管柱を再度別の場所で使用できます。 |
| | (3)リサイクル:再資源化 |
| | | 鋼管柱自体が鋼(スチール)でできており、廃棄時には良質な再生資源になります。
PET粉体塗装の原料には、ペット(PET)ボトルなどからのリサイクル材を使用できます。 |
| | (4)その他 |
| | | 粉体塗装※の工程では、有害な有機溶媒を一切使用しません。
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粉体塗装は、細かく砕いたプラスチック粉体原料を加熱した塗装面に付着させ、粉体原料を溶融させることにより、緻密で強靭な塗装皮膜を形成する技術です。良好な塗膜を得るためには温度制御がポイントで、PETは溶融温度が高く、この温度制御が非常に難しい技術でした。今回、長年蓄積した技術をもとに、温度を適切に制御することに成功し、良好な塗膜を得ることに成功しました。また、屋外の過酷な使用条件(紫外線、熱サイクルなど)に耐えるため、粉体原料の組成・微細構造・製法に特別な工夫(塗装工程で均一に粉体が付着するような粉体微細構造・組成の設計・製法など)を凝らしています。 |
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