News Release

2003年3月26日


「双方向コミュニケーションソフトウェア」の
実証実験開始について

〜個人間のリアルタイム通信や情報の自動選別・収集などを実現するデスクトップ常駐型のソフトウェアを配布〜


 NTT東日本は、個人間のリアルタイム通信や情報の自動選別・収集などを実現するデスクトップ常駐型ソフトウェア「双方向コミュニケーションソフトウェア」のインターネット接続環境における利用実験を平成15年4月1日(火)から開始します。


1.実験の背景および目的
 常時接続環境の普及により、インターネット上で情報・知識を得るユーザが増加しています。インターネット上で情報・知識を得るためには、Webページの検索・閲覧はもちろんのこと、知人等とのメールやチャットによる連絡、各種データベースの検索など様々な手段があり、収集したい情報の内容やレベルなどに応じてユーザがその手段を使い分けているのが現状です。
 また、インターネット上に存在する情報は増加の一途をたどっており、ユーザにとっては欲しい情報を抽出・選別することに手間がかかり、情報の発信者にとっては、ターゲットユーザに効果的に情報を届けることが難しくなってきています。
 このような中、NTT東日本では、様々な情報収集手段を統合的に扱える機能を有し、ユーザの趣味・嗜好やプレゼンス*1に応じて自動的に情報の選別、収集、発信を可能にするデスクトップ常駐型のソフトウェア「双方向コミュニケーションソフトウェア」を開発し、インターネット接続環境において、リアルタイム性の高いコミュニケーション機能を提供する新たな技術の検証、およびその利用に伴い発生する大量のトラヒックに対応したサーバ構成・負荷分散技術・管理技術の検証を目的とした実証実験を開始します。
*1  プレゼンス:ユーザの現在の状態一般を表します。端末の動作、回線の接続状況、その他主観的な状態(「忙しい」、「楽しい」、「○○したい」など)も含みます。


2.ソフトウェアの構成および機能
(1)ソフトウェアの構成
 本ソフトウェアは<1>利用者<2>双方向コミュニケーションサービス提供者のそれぞれに向けたモジュールを用意しています。具体的には以下のとおりです。
<1>利用者向けモジュール
クライアントソフト(ユーザのデスクトップに常駐するソフトウェア)
<2>双方向コミュニケーションサービス提供者向けモジュール
プレゼンスサーバ(ユーザのプレゼンスや情報獲得のための設定条件などを認識・保持)
・メッセージサーバ(他ユーザとの会話を仲介)
・アラートサーバ(リアルタイムに各種情報を配信)

(2)ソフトウェアの主な機能
 本ソフトウェアを利用することにより、ユーザはWWW画面からどのジャンルの情報をいつ(どの期間中)ほしいかを設定することで、ユーザの嗜好にあった情報だけを収集することができます。
 情報を提供する側は、ユーザの登録情報を検索することで、ニーズのあるユーザがどの程度存在するのかを知ることができるとともに、ニーズのあるユーザだけを選別して、効率的に情報を提供することが可能となります。
 また、クライアントソフトには、同じソフトウェアを利用してネットワークに接続している他のユーザを検索することができる機能が搭載されており、検索結果から通信相手を選択し、クライアント同士でコミュニケーションを図ることができます。なお、自分の情報を非公開にすることが可能で、検索対象から外れることもできます。
 さらに、友達リストに登録した相手については、「オンライン」「オフライン」「退席中」などのプレゼンス情報が常に表示されるので、誰と会話可能かがリアルタイムにわかります。相手が「オフライン」の場合は、メッセージをメールに転送することができます。

(3)検証する技術
ファイアウォール/プロキシ経由接続に対応したプロトコルの自動変更技術
 ファイアウォールやプロキシを介してインターネットへ接続している場合、それらの設定によっては通信が阻害されることがあります。それらを経由した接続をスムーズに実現するためにプロトコルを自動変更する技術です。ベースとなる通信方式にはSIPプロトコル*2を採用しています。
*2  SIPプロトコル:「Session Initiation Protocol」の略。映像・音声・データなど双方向型の通信を確立するためのプロトコル。RFC3261で標準化されています。

・自動応答用スクリプト生成技術
 サーバへのユーザの問いかけに対し、ユーザ間で会話を行うように自動応答する技術です。あらかじめ簡単なシナリオファイルを作成する事で、FAQ等をユーザにとって分かりやすい形で提供することが容易になります。

・メッセージ/各種情報の自動転送機能・自動整形技術
 ユーザがPCでログインしていない時(オフライン時)やユーザの設定に応じて携帯メール等へメッセージや各種情報を自動整形、転送を可能にする技術です。

・大規模・安定運用技術
 LDAP*3を用いて大規模なプレゼンス等のデータを分散管理する技術と、サーバの不調などにより接続が切断された場合、クライアント側で自動的に他のサーバを検索し再接続を行う技術です。これによりユーザはサーバのダウン等の障害を意識せずサービスを享受することができます。
*3  LDAP:Lightweight Directory Access Protocol:ディレクトリ型データベースへのアクセスのための仕様(プロトコル)

・接続負荷軽減技術
 異なるルータに関する設定について、各設定情報を同一の構造に変換して保存することで、同一のインターフェースで設定、変更を可能にする技術です。これにより、ユーザの接続にかかる設定負荷とサポート対応の負荷を軽減することができます。


3.実験の内容
 本ソフトウェアを本実験の運用委託先である株式会社NTT-Xが運営するインターネットポータルサイト「goo」を通して、一般参加者に無償配布し、ログ解析及びアンケート調査によってユーザ利用動向を検証するとともに、各機能のシステム負荷、効率的なサーバ配置、運用コスト(システム、運用、ユーザサポート)のデータを取得し、実用化に向けた検討を行います。


4.実験実施期間
 平成15年4月1日(火)〜平成15年5月下旬


5.実験への参加方法
 実験期間中に、「goo」(https://www.goo.ne.jp/)から誘導し、NTT-Xが運用する実験サイト(http://www.desktoppartner.net)で参加許諾に合意していただき、クライアントソフトウェア「デスクトップパートナー」をインストールしていただきます。必要なパソコン・回線環境をお持ちであれば、どなたでも参加することができます。


6.今後の予定
 本実験で得られたデータを基に、企業のブランディング向上のためのメディアツール、顧客との関係強化のためのCRM、社内のナレッジマネジメントツール等としての実用化を目指すとともに、ユーザのエージェントとしての機能をさらに強化し、メールや音声・ビデオチャット、携帯電話等の多様なアクセス手段との連携をはかります。



<別紙>実験実施概要図


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