1. 業績の概況


 当上半期におけるわが国経済は、輸出や生産の増加の勢いも緩やかとなり、個人消費も横ばいで推移するなかで、景気は一部に緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、依然として厳しい状況が続きました。
 情報通信分野においては、技術の飛躍的な進展などを背景にインターネットのブロードバンド化や移動体通信の急速な普及・拡大が進み、市場構造が急激に変化するなか、海外では競争激化や過剰投資により伝統的メガキャリアが凋落したり、通信事業者が経営破綻するなど、激動が続いております。国内においては、VoIPなど最新の技術を活用したベンチャー企業等が新規参入し、地域通信から長距離・国際通信までの全分野において激しい競争が展開されてきました。地域通信市場においても、中継系事業者やIP電話サービス事業者等のほか、ブロードバンド・アクセス分野において電力会社が光ファイバ事業へ直接参入するなど、DSL、光ファイバ、無線、CATV事業者等の間で料金値下げや顧客獲得競争が一段と激化しています。
 このような市場構造の変化や厳しい事業環境のもと、当社は、「真のお客さま主導企業」を事業運営の基本として、お客様への付加価値最大化に向けてそのニーズに誠実かつスピーディに応えていくとともに、「活力ある企業への変革」に向けてオープンでフラットな業務運営を推進してきました。また、新たな収益源の開拓と経営体力の強化に努め、電話から情報流通へ事業構造の転換を図るとともに、国家的重点課題となっている「e−Japan戦略」の推進に向け、積極的に取り組んできました。
 当上半期における主な取り組みは次のとおりです。
 まず、急速にブロードバンド化や低廉化が進むインターネットアクセス回線に対するお客様ニーズに対応するため、定額インターネット・アクセスサービスの拡充および料金値下げに努めました。具体的には、現在提供中のフレッツ・シリーズ(「フレッツ・ISDN」・「フレッツ・ADSL」・「Bフレッツ」)の提供エリア拡大を図るとともに、提供中の「Bフレッツ」4タイプに加え、6月に「ニューファミリータイプ」の提供を開始しました。また、「フレッツ・ADSL」においては、急速に拡大するDSL市場における更なる高速化に対応した下り最大12Mbpsのタイプとして「フレッツ・ADSL モア」のサービス開始に向け、9月から事前受付を開始したほか、「フレッツ・ADSL」に期間限定の特別料金サービスとして「いまだけ割引」及び「モア割」を設定するなどシェア拡大に努めました。さらに、ブロードバンド時代のコミュニケーションサービスの充実を図るため、6月には無線LAN技術を活用して自宅と同様の環境で外出先でもインターネット利用や企業等へのリモートアクセスが可能となる「Mフレッツ」の試験提供、8月にはフレッツ・シリーズをご利用のお客様向けに、お客様相互間で音声・映像・データ等の多彩な通信をご利用いただける「フレッツ・コネクト」の本格提供を開始するなどサービスの充実を図りました。
 このほか、昨年6月にサービス提供を開始した「Lモード」については、「Lメニューリスト」の拡大や対応端末の充実を図るなど、ディジタルデバイドの解消に貢献するとともに、インターネット利用者の拡大に努めました。
 また、法人向けの営業につきましては、「チーム・マーケティング・ソリューション」というコンセプトのもと、メガデータネッツ、スーパーワイドLAN、メトロイーサ等のビジネスユーザ向け光アクセスサービスおよび最先端のデータセンタ技術等を積極的に活用した先進的かつ効率的な情報流通ネットワークの構築を行うなど、お客様とのチームコラボレーションを通して、急速に高度化、多様化するお客様ニーズに的確に対応し、トータルなソリューションビジネスを展開しました。また、9月にはショールーム、「E−Frontier」を開設し、電子政府・電子自治体、教育IT化などの公共向けソリューションを中心とした紹介を行ってきました。
 なお、8月には通信ネットワークの信頼性を損なう恐れのある特定の回線からの多数の機械的不完了呼発信による輻輳(ふくそう)に対応するため、契約者回線の利用を停止、ならびに契約者回線の契約を解除することなどを電話サービス契約約款および総合ディジタル通信サービス(ISDNサービス)契約約款に明確化しました。
 子会社の設立につきましては、当社が保有する技術・ノウハウの活用と情報流通の促進に向け、ブロードバンド・アクセスラインの多様化に対応するため、無線LAN技術を利用した高速IP通信アクセスサービスの提供を目的として、「エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社」を7月に設立したほか、安定した離島への通信サービスを提供することを目的として、電気通信サービスおよび放送サービスを提供する「ジェイサット株式会社」へ衛星資産の譲渡を行うとともに、7月に株式を取得しました。
 経営の合理化につきましては、事業環境の急激な変化に対応できる経営基盤の確立および電話から情報流通への事業構造の転換に向け、業務のアウトソーシングや雇用形態・処遇体系の多様化などにより、事業の抜本的な「構造改革」に全社をあげて取り組みました。これにより、当社は企画戦略・グループマネジメント、お客様サービス提供責任等の機能に特化し、これにあわせ、販売・受付業務等を運営する「株式会社エヌ・ティ・ティ サービス〔都道県名〕(※1)」、設備運営業務等を運営する「株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー〔都道県名〕(※1)」、ならびに共通業務等を運営する「株式会社エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ〔都道県名〕(※1)」の計51社が業務を開始し、「新たな業務運営形態(※2)」への移行を5月に完了しました。


※1 〔都道県名〕:都道県単位に設置した各社共通の名称+都道県名を商号とする17社
※2 新たな業務運営形態の開始にともない退職・再雇用等により平成14年5月1日に2.7万人が当社より各アウトソーシング会社(51社)へ移行しました。(このほか、既存子会社からの移行は1.8万人)


 以上の結果、当上半期の主なサービス別の販売状況は次のとおりとなりました。 一般加入電話につきましては、9月末の施設数が2,499万加入、対前年度末比4万加入の減となりました。INSネットサービスについては、INSネット64の9月末の施設数が対前年度末比10万回線減の520万回線となりました。
 専用サービスにつきましては、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が対前年度末比0.6万回線減の30.4万回線となりました。
 また、当上半期における営業収益は、前年同期比8.5%減の1兆1,718億円、経常利益は493億円(前年同期は経常損失166億円)、中間利益は295億円(前年同期は中間損失156億円)となりました。


[戻る]