1. 業績の概況


 当上半期におけるわが国経済は、「IT不況」にともなう世界経済の減速を背景として、輸出や生産が大幅に減少するとともに、企業収益や設備投資も減少し、概ね横ばいで推移してきた個人消費も弱含みに転じるなど、景気悪化による厳しい状況が続きました。
 情報通信分野においては、情報通信技術の飛躍的な進展などを背景に、インターネットのブロードバンド化や移動体通信の急速な普及・拡大など、市場構造が大きく変化するとともに、外資系通信事業者による積極的な国内通信市場への進出や、VoIP技術を活用した低廉な料金でIP電話サービスを提供する事業者の新規参入など、地域通信から長距離・国際通信までの全分野において激しい競争が展開されています。地域通信市場においては、中継系事業者が優先接続制度の導入にともない本格的に市内通話市場に参入し、料金値下げや顧客獲得競争が激化するとともに、市内アクセス網分野における新規事業者の参入や急激な料金の低廉化により、DSL、光ファイバ、無線、CATV事業者等の競争が熾烈化するなど、激しい競争が急速に進展しています。
 このような市場構造の変化や厳しい事業環境のもと、当社は、地域のお客様に密着した「サービス事業会社」として、市場動向を的確に捉えた「安く」、「使い易く」、「信頼のある」魅力的なサービスをタイムリーに提供することを事業運営の基本として、経営体力の強化と新たな収益源の開拓に努めることにより、「電話」から「情報流通」への事業構造の転換を図り、国家的重点課題となっている「e−Japan戦略」の推進に積極的に貢献していくため、さまざまな取り組みを実施しました。
 当上半期における主な取り組みは次のとおりです。
 まず、急速にブロードバンド化が進むインターネット市場において、通信の高速化、料金の低廉化などのお客様ニーズに対応するため、完全定額制のインターネット・アクセスサービスのラインアップの充実および料金値下げに努めました。具体的には、現在提供中の「フレッツ・ISDN」・「フレッツ・ADSL」の提供エリアの拡大と、7月に料金値下げを実施するとともに、昨年12月から試験提供していた「光・IP通信網サービス(仮称)」を8月から「Bフレッツ」として、料金の低廉化と最大100Mbpsのメニュー等を加えて本格提供を開始しました。
 また、優先接続制度の導入に対応して5月に提供を開始した「マイライン(電話会社選択サービス)」・「マイラインプラス(電話会社固定サービス)」の登録にあたり、お客様に当社を選択していただくため、1月の市内通話料金の値下げに続き5月にさらなる市内通話料金の値下げと割引サービスの拡充等を実施し、お客様のご満足とマイラインプラスの登録獲得に向けた取り組みを全社を挙げて推進しました。
 このほか、家庭の電話から簡単・便利・安価にインターネット上の情報検索やメールの送受信ができる「Lモード」サービスの提供を6月より開始し、ディジタルデバイドの解消に貢献するとともに、インターネット利用者の裾野拡大に努めました。
 次に、法人向けの営業につきましては、「チーム・マーケティング・ソリューション」というコンセプトのもと、ワイドLAN、メトロイーサ等のビジネスユーザ向け光アクセスサービスおよび最先端のデータセンタ技術等を積極的に活用し、先進的かつ効率的な情報流通ネットワークの構築を行うなど、お客様とのチームコラボレーションを通して、急速に進展する情報流通分野におけるお客様ニーズに的確に対応したトータルなソリューションビジネスを展開しました。
 また、当社が保有する技術・ノウハウの活用と情報流通の促進に向け、ブロードバンド時代のデータセンタに対するニーズに迅速に対応し、当社との協業による競争力確保を目的として、「エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社」を7月に設立したほか、テレビ放送事業者による映像コンテンツ流通の事業化検討を行うため、日本テレビ放送網株式会社等と昨年9月に設立した企画会社について、「株式会社ビーバット」として9月に事業会社化しました。
 経営の合理化につきましては、事業環境の急激な変化に対応できる経営基盤の確立および「電話」から「情報流通」への事業構造の転換に向け、平成12年度に引き続き「中期経営改善施策」の早期実現を目指して、営業拠点の統廃合や本社・間接部門のスリム化、グループ各社への出向・転籍等による大規模な人員再配置、ならびに希望退職の実施など、全社をあげて取り組んでいるところです。さらには、極めて厳しい経営状況下における将来の事業発展に向け、日本電信電話株式会社の「NTTグループ3ヵ年経営計画(2001〜2003年度)」に対応した「さらなる構造改革施策」への取り組みを進めています。具体的には、「事業構造の抜本見直し」として、業務のアウトソーシングと雇用形態の多様化による人的コストの低減などを柱としています。
 以上の結果、当上半期の主なサービス別の販売状況は次のとおりとなりました。
 一般加入電話につきましては、9月末の施設数が2,524万加入、対前年度末比44万加入の減となりました。INSネットサービスについては、INSネット64の9月末の施設数が対前年度末比33万加入増の533万加入となりました。
 専用サービスにつきましては、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が対前年度末比1.2万加入増の30万加入となりました。
 また、当上半期における営業収益は、前年同期比7.4%減の12,808億円、経常損失は166億円(前年同期は経常利益305億円)、中間損失は156億円(前年同期は中間利益120億円)となりました。


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